記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
ヤフオク! はもう古い、フリマアプリの時代だ、と聞いた読者の方もいるかもしれません。ただ、起業準備の入口として見たときのヤフオク! には、フリマにはない固有の価値があります。値段が自分では決まらず、複数の落札希望者のあいだで動いていく、という一点です。
自分の名前で値段をつける経験を持ちたい。この感覚を、家にある不要品1点で試せる場所として、私は開設当初から26年間ずっとヤフオク! を勧めてきました。フリマアプリの隣にあるオークション形式は、価格が動く現場を毎日眺められる観察室になります。
私はこれまで26年、延べ6万人の会社員と向き合ってきました。物販の入口としてヤフオク! を実験場に使い、そこで値段の動きを言葉にできた方は、後に自分の商品を作る段階で値付けに迷いません。
ヤフオク! を起業準備の実験場として捉える全体像

経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年のCtoC-EC市場規模は2兆5,269億円で、前年比1.82%増と3年連続で拡大しています(出典:経済産業省 令和6年度電子商取引に関する市場調査 報告書)。
個人間の売買はもう「小遣い稼ぎ」の枠ではなく、事業者が乗り入れる市場に育ってきました。そのぶん、起業準備で「まず値をつけてみる」練習の場として、ヤフオク! のオークション形式は独立した意味を持ちます。
フリマアプリは自分で値段を決めて出す固定価格の世界です。ヤフオク! は開始価格だけを決めて、あとは落札希望者どうしが価格を押し上げていく仕組みになっています。この差は、机上で価格表を作るのと、お客さまの前で値段を口にするほどの差があります。自分の値付けが安すぎたのか高すぎたのかが、入札の動きから毎回はっきり返ってきます。
価格が動く6要因をヤフオク! の落札画面で観察する

拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』に、「価格が変動する6つの要因」という考え方を紹介しています。タイミング、季節、場所、目的、非日常、信用の6つです。この6つは通常、対面の営業現場で意識するものですが、ヤフオク! の落札結果画面ではそのまま数字で確認できます。
たとえば同じスキー板でも、9月と1月では落札価格が倍近く違うことがあります。これが季節要因です。同じカメラでも、平日昼と週末夜では入札の伸びが違います。これがタイミング要因です。
自分の商品の値段が「なぜその価格に落ち着いたか」を、要因ごとに分けて眺める練習ができます。これがヤフオク! を起業準備の実験場として使う最大の理由になります。
本業とは別に自分の収入の柱を持ちたい方にとって、いきなり自分の商品を作って価格をつけるのは怖いはずです。まず家にある不要品で、市場に値段を決めてもらう側に回ってみる。値段がついた瞬間の感覚と、その値段が動いた理由の観察を、頭ではなく体で持つことから始めるのが早道になります。
- タイミング:
出品曜日と終了時間で落札価格が変わる。週末夜21〜23時終了が伸びやすい傾向 - 季節:
スポーツ用品・衣類・イベント関連は季節前の値上がりと季節後の値下がりが顕著 - 場所:
発送地の記載や引取限定条件で、対象読者の広さが変わる - 目的:
コレクション目的の落札者は付属品完備を高く評価する - 非日常:
限定モデル・生産終了品は年数が経つほど値が動きやすい - 信用:
出品者評価の数と直近の取引履歴が、同じ商品でも最終落札価格を左右する
費用構造と法的な足場を先に確認する

ヤフオク! の落札システム利用料は、2024年(令和6年)6月以降、落札価格の一律10%(税込・特定カテゴリを除く)に統一されています(出典:Yahoo!オークション公式のお知らせ・ヘルプ)。中古車・新車など一部の特定カテゴリでは、落札価格にかかわらず所定の落札システム利用料がかかります。かんたん決済で受取る場合は商品代金から差し引かれ、それ以外の場合はYahoo!ウォレットの登録支払方法に請求されます。
もう一つ、押さえておきたいのが古物営業法との関係になります。自分の不要品を売るだけであれば古物商許可は不要です。ただし、リサイクルショップやフリマで仕入れた中古品を反復継続して転売する場合は、古物商許可が必要になります(出典:警察庁・都道府県警察の古物営業案内)。無許可で反復転売を行うと、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
起業準備の入口として使う分には、「自分の不要品1点」から始めるという原則を外さないことが最初の安全弁になります。仕入れて売る段階に進む時点で、管轄警察署の生活安全課に相談し、古物商許可(申請手数料1万9,000円)を先に取ってから動く。この順番を頭に入れておくと、後から法的な足場で慌てずに済みます。
ヤフオク! を起業準備に活かせる人・活かしにくい人

これは向き不向きの話であり、良し悪しの話ではありません。ヤフオク! の値動きを毎日眺めて「なぜ?」を一つずつ言語化できる方は、起業準備の全期間を通して大きな財産を持つことになります。
逆に、値段が上がった・上がらなかったの結果だけを見て一喜一憂して終わる使い方だと、フリマアプリで固定価格を試すほうが精神的な負担は少ないかもしれません。
- 活かせる方の特徴:
値段の動きを要因分解して記録するのが好き。落札されなかった理由を検証したい方 - 活かしにくい方の特徴:
値段を自分でコントロールしたい。相場より少しでも安く売れるとストレスを感じる方
会員さんの実例:出品データの見せ方を変えた芦田さん

起業18フォーラムの会員さんで、精密機器メーカーで購買を担当されている芦田さん(仮名・42歳・都内在住)の話をご紹介します。芦田さんは奥さまの実家整理をきっかけに、2年ほど前からヤフオク! で古いカメラ機材を出品するようになりました。
最初の半年は落札成立率が伸びなかった
最初の半年は月2〜3件、落札額の平均は3,000円台で、落札されないまま終わる出品が全体の4割ほどありました。本業の購買業務でメーカーからの見積書を毎日読む芦田さんでも、いざ自分が出品者側に回ると「相場」に自信が持てず、開始価格を極端に安く設定してしまう癖がついていたそうです。
同じカテゴリの他出品者と見比べても、なぜ値がつく人とつかない人がいるのか、感覚では掴めないと話されていました。
転機は勉強会で受けたデータの提案
変わり始めたのは、起業18フォーラムの勉強会で出品データの見せ方を相談したときでした。他の会員さんから「終了時間の分布と落札成立率をエクセルに落として1ヶ月分並べてみたら」という提案を受けたそうです。
実際に自分の過去出品を集計してみたところ、週末夜21〜22時終了の落札成立率が平日昼終了の1.7倍あることが数字で見えました。会員間の個別相談でも、写真の枚数と説明文の文字数と落札額の関係を、他会員さんの出品と横に並べて比較しました。
15ヶ月目に常連の落札者が12名まで積み上がる
そこから芦田さんは、出品曜日を週末に固定し、写真は最低8枚、説明文は付属品リストと使用歴を分けて記載する運用に切り替えました。15ヶ月目には、月の出品数は6〜8件と大きく増えていないのに、リピート落札してくれる常連の落札者が12名まで積み上がりました。
このうち4名は、新しい機材を出品するたびに開始と同時に入札してくれる関係になっています。芦田さん本人が「金額よりも、待ってくれている人がいる感覚が続ける支えになっている」と話されていたのが印象に残っています。
本業の給与とは別の収入軸として月4〜6万円台で安定するようになり、その常連関係の中から「業務用の測定機器の出品予定があれば先に教えてほしい」という声も届くようになりました。落札者との関係が1回きりで終わらず、次の出品を待つ人ができる状態を、芦田さんは「オークションのなかにストックができた」と表現されています。
ヤフオク! と組み合わせると効果が倍増する3つの行動

- 落札結果の要因メモを1行だけ残す:
自分の出品1件ごとに、終了時に「なぜこの価格になったか」を6要因のどれか一つに紐づけて1行メモする。20件で自分の値動きパターンが見えてきます - 同カテゴリの他出品者を週1回だけ観察する:
自分と同じ商品カテゴリで落札額が伸びている出品者の商品説明文と写真を、週1回30分だけ横に並べて眺める。真似ではなく差の言語化が目的になります - 常連の落札者に手書きの一言を添える:
2回目以降の落札者には発送時に手書きのメモを1行だけ添える。次の出品予定を書くのではなく、相手の落札歴に対する短い感想でよいです
ヤフオク! を続けたその先に見える起業準備の景色

ヤフオク! の出品を続けていくと、ある時点で「自分の商品を作りたい」という気持ちが自然に立ち上がってきます。これは他の副収入手段では意外と起こりにくい変化で、値段の動きを毎日見ているうちに「自分ならどう値付けするか」を考える回路が育つからです。
6要因を意識しながら不要品の出品を続けた方が、半年から1年後にハンドメイド作品やスキル販売に自然に移行していく事例を、私は現場で何度も見てきました。大切なのは、いきなり自分の商品を作ろうとしないことです。
まず家にある不要品1点で、値段が動く現場に自分を置く。この体験の積み重ねが、後で自分の商品を持ったときの値付けの土台になります。
よくある質問

Q.ヤフオク! で不要品を売るだけで、確定申告は必要ですか?
生活用動産(家具・衣類・家電など)を売った利益は、原則として非課税で確定申告は不要になります。ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とう品などは課税対象です。会社に勤める方が副収入を得た場合は年間20万円を超える所得で確定申告が必要になるため、仕入れて売る段階に進む前に国税庁の該当ページで確認しておいてください。
Q.出品者評価がゼロの状態で、いきなり高額商品を出しても大丈夫ですか?
お勧めしません。評価数と直近の取引履歴は「価格が動く6要因」の信用要因に直結します。まず数千円台の商品で5〜10件の取引を重ね、評価数を二桁に載せてから高額商品に進むほうが、最終落札価格が安定します。芦田さんの事例でも、最初の半年で評価数を積み上げたことが、後の常連関係の土台になりました。
Q.反復して転売したいと思ったら、いつ古物商許可を取ればよいですか?
「他から仕入れた中古品を売る」段階に進むと決めた時点で、その前に取ります。管轄警察署の生活安全課で申請手続きを行い、審査は40日ほどかかります。申請手数料は1万9,000円です。無許可で反復転売を行うと古物営業法違反として3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されるため、順番を逆にしないことが最初の安全弁になります。
今日できる次の一歩

会社に勤めながら自分の名前で値段をつける経験を持ちたい方は、まず家にある不要品を1点だけ選んで、ヤフオク! に出品してみてください。値段が動く現場に自分を置くこと。ここから始めた方の多くが、半年後には自分の商品を作る側に自然に移っていきます。
今日は、家にある不要品を1点だけ手に取ってみる時間を10分だけ持てば十分です。

ヤフオク! の落札画面は、あなたの値付け感覚を毎日鍛えてくれる場所になります。焦らず、月に数点の出品でも構いません。値段が動いた理由を自分の言葉で説明できるようになった時点で、起業準備は次の段階に入っています。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
★【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!
★【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!
