起業準備のジャンル選び|ランキング比較が空振りする本当の理由と「自分起点」の絞り方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

「起業準備のジャンル、ランキング上位から選んだほうが安全ですよね?」「会社員の私でも続けられるのは、ランキングで人気の○○系ですか?」。起業18フォーラムにはこの数年、「ランキング比較で何を選ぶか」を相談される方が増えています。

お気持ちは分かります。情報が多すぎる時代ほど、人は「みんなが選んでいるもの」を選びたくなります。けれど、26年の支援現場で見てきた限り、ランキングを横目に走り出した人ほど、止まるのが早い傾向もあります。

なぜランキング思考が空振りしやすいのか。何を起点にすれば続くのか。順を追ってお話しします。

ポイント ランキング思考が空振りする構造:人気の理由と会社員の条件は違う

ランキング上位=続けやすい、とは限らない

失敗

「起業準備のジャンルランキング」を扱う記事のキーワードは、2026年5月時点の検索データで月間検索数1,300。これだけ多くの人が「上位から選ぼう」としている、ということです。

ところが、ランキング系の記事で上位に出やすいジャンルは、必ずしも会社員の起業準備に向いているとは限りません。フリーランス志望者、すでに退職して時間を使える人、SNS発信に慣れた若い世代など、会社員とは前提の違う人向けの情報も多く混じっています。

会社員の起業準備で大事なのは、「平日の朝晩30分で続けられるか」「家計と両立できるか」「在職中でも無理なく進められるか」という条件です。ところが、ランキング上位を決める評価軸は、「最高月収」「短期収益性」「始めやすさ」に偏っていることが少なくありません。

  • ランキング評価軸が「最高月収」「短期収益性」中心で、会社員の継続条件と一致しにくい
  • 対象読者に、脱サラ済み・フリーランス・専業の人が多く含まれている場合がある
  • 「人気=始める人が多い=競争も激しい」という飽和構造がある
  • 自分の経験・人脈・既存スキルが評価軸から外れている
  • 記事の更新時点が古く、現在の市場環境とズレているケースもある

起業が続かない理由は、「市場性が悪かった」だけではありません。むしろ支援現場で多いのは、「自分の暮らしと噛み合わない事業を選んでしまった」というケースです。いわば、登山靴ではなく流行りの革靴で山に登ろうとしている状態です。靴そのものが悪いのではなく、登る山に合っていないのです。

ランキング上位から選ぶ前に、自分の生活と噛み合うかという別の評価軸を立てるほうが、続けられる確率は高くなります

ポイント 自分起点の絞り方:4500日逆算と「半径3メートル」

残時間と既存資源で輪郭を描く順序

会社員

拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』に「4500日理論」という考え方が出てきます。45歳から65歳までの20年間を、会社員が起業準備に使いやすい「平日ベース」で考えると、使える日はおよそ4500日。この時間を「平日の朝晩30分」で積み上げると、累計で約2,250時間になります。

もちろん、毎日完璧に使えるわけではありません。残業、家族行事、体調不良、気分が乗らない日もあります。だからこそ、実際に使える時間はさらに絞られます。ここで大事なのは、「時間がある前提」でジャンルを選ばないことです。

起業準備のジャンル選びは、ランキング検索よりも「自分に残された時間で続けられるか」と「半径3メートルの相談相手で価値が伝わるか」の2軸で絞るほうが現実的です

順を追って整理しましょう。まず残時間です。45歳の会社員なら65歳まで約20年、35歳なら約30年、55歳でも約10年があります。ただし、実際に起業準備へ使える時間は、年齢だけでは決まりません。勤務時間、家族構成、健康状態、家計の余力によって変わります。

次に既存資源です。会社で頼まれてきたこと、社内で当たり前にやってきた業務、家族や友人から相談されてきたテーマ。これらを書き出すと、ランキング記事には出てこない、自分にしか描けない事業の輪郭が見えてきます。

最後に半径3メートルです。家族・同僚・幼馴染・取引先・近所付き合い。「いまの自分が説明したら、いくらまでなら払うか」を聞ける身近な人たちです。最初から広い市場を狙うより、まず近くの人がうなずくかを見るほうが、失敗の傷は浅くなります。

  • 残時間:定年または独立希望時期までの期間を確認する
  • 既存資源:社内で頼まれてきた業務・家族から相談される話題をリスト化する
  • 半径3メートル:話を聞ける身近な人10人の名前を書き出す
  • 1日30分の継続可能性:平日の朝晩30分で動かせる粒度かを試す
  • 家計許容度:起業準備にあてられる月額予算の上限を決める

この5つの条件が見えるだけで、ランキング上位の100ジャンルから、自分が動かせる3つくらいまで一気に絞り込めます。私のこれまでの起業支援の経験では、この条件を埋め切らずに走り出した方ほど、半年後に「結局どれもピンとこなかった」と戻ってこられます。

ポイント 実例:ランキング思考から自分起点に切り替えた会員さんのV字

迷走から月14万円継続までの13ヶ月

Instagram

起業18フォーラムの会員Kさん。45歳・大手食品メーカーの商品企画部・夫と中学生の子ども2人。会社員月収46万円で、起業準備ゼロからのスタートでした。

最初の半年は、起業準備ランキング記事を読み込み、上位の物販・FX自動売買・ハンドメイド販売・SNS運用代行・WEBライターを順に試しました。6ヶ月でかかった教材費とツール代は累計18万円。稼げた金額は2,300円。家族との会話が少しずつ減り、夫からも遠回しに不安を伝えられたのが転機でした

7ヶ月目に起業18フォーラムに参加され、最初にやってもらったのは「自分が職場で頼まれてきた仕事」を50件書き出す作業です。すると「新商品の試食会の段取り」「お客様アンケートの設計」「社内向けの食レポ報告書」が頻出していました。

Kさんにとっては当たり前にこなしていた仕事です。けれど外から見ると、食品業界の現場感と企画力をあわせ持った、十分に価値のあるスキルでした。

10ヶ月目、半径3メートルの知人5名にヒアリングしたところ、近所のお菓子工房とパン教室の主宰者から、「新商品の試食会の段取りを助けてほしい」と依頼がありました。最初のモニター単価は1件1万8,000円。13ヶ月目には継続クライアント3件となり、月14万円が安定しました。

その後も会社員を続けながら、土日中心で支援を継続。現在は、家族の状況に合わせて仕事量を調整しつつ、月18万円前後を維持されています。

  • 0〜6ヶ月目:起業準備ランキング上位を順に試す→累計教材費18万円・収益2,300円
  • 7ヶ月目:起業18参加・社内で頼まれてきた仕事50件を書き出し
  • 10ヶ月目:知人5名にヒアリング・お菓子工房とパン教室からモニター依頼
  • 13ヶ月目:継続クライアント3件・月14万円が安定
  • 現在:会社員のまま土日中心で月18万円前後を継続

Kさんの13ヶ月を分解して見えるのは、ランキング思考でいた6ヶ月は「自分の話」がゼロだったこと、参加後は「自分が頼まれてきたこと」から逆算する作業を最初に置いたことです

ポイント 次のステップ:今日からできる自分軸の書き出し

今夜30分でできる自分起点の整理

point

ランキング比較から抜け出す具体的な一歩は、今夜の30分で十分始められます。

手元のノートに「これまで職場や友人から頼まれてきたこと」を、思い出せるだけ書いてみてください。10件でも20件でも構いません。書き出した後、その中で「相手が困っていたから頼まれた」項目に印をつけます。

この印が、自分起点の起業準備の出発点になります。

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記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)最終更新日:2026/05/01パンデミックの後、デフレからのインフレ反転。最低賃金の上昇に人手不足。この時代を生き残れる新しいタイプの起業家と、時代に合ったアイデアが求められています。今、どのなビジネスアイデアが求められているのでしょうか? しかも、大企業が手掛けるビジネスではなく、会社員でもできる副業、フリーランスでもできるスモールビジネスの世界で、一体、どのようなアイデアならば実現可能、そして持続可能なのでしょうか?このコラム「起業アイデアの出し方~...
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ランキング比較は、地図として使うなら便利です。ただし、目的地を決めるものではありません。目的地を決めるのは、自分の時間、経験、人間関係、家計の余力です。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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