持病や体力の不安があっても、無理なく続けられる起業の形は?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

数年前から持病があり、体調に波があります。会社勤めも正直ぎりぎりで、フルタイムで毎日きっちり働き続ける自信がありません。

体力に自信がなくても、自分のペースで無理なく続けられる起業の形はあるのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

体調に波がある働き方は、天気を読んで漁に出る仕事に少し似ています。凪の日に動き、荒れた日は休むので、毎日同じ量を求めずに済みます。自分が動き続けなくても回る仕組みを軸にし、受注量を自分で決められる事業を選べば、体調に波があっても無理なく続けられます。

ポイントは「どの業種か」よりも「量を自分で決められるか」です。ここを外すと、体力があるうちは走れても、波が来た月に一気に苦しくなります。

作業量を自分で決められる形を選ぶ

予約や件数を相手に合わせ続ける形だと、体調が悪い日ほど無理がたまっていきます。逆に、いつ・どれだけ受けるかを自分の手元に置けると、悪い日は減らし、いい日に取り戻すという調整ができます。

体調に波がある人ほど、納期や受注件数を自分で調整できる事業を選べるかどうかが、続けられるかどうかを分けます

そもそも、働きながら体の不調と付き合う人は、決して珍しくありません。

厚生労働省が2026年2月に告示した「治療と就業の両立支援指針」では、病気を抱えながら通院して働く人の割合が年々増加しているとされています。治療と仕事を両立する人が増えているからこそ、体に合わせて量を減らせる形を、最初から設計に入れておく意味があります。

自分が動かなくてもいい部分を8割に寄せる

体力に不安があるなら、自分の体を直接使う時間をできるだけ減らす設計が要になります。2025年に書いた拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』でも、自分の手を動かす時間を減らして仕組みに寄せる考え方を軸に据えています。

自分が動かなくても回る仕組みを8割に寄せ、自分が直接手を動かす仕事は2割以下に抑える、という時間の使い方です。体調が悪くて動けない日があっても、残りの仕組みが働いてくれるので、収入が完全に止まりにくくなります。

仕組みといっても、大がかりなものは要りません。一度作った教材や動画、申し込みの自動返信、よくある質問をまとめたページ。こうしたものは、あなたが休んでいる間も働いてくれます。最初に少し手をかけておけば、あとは体調のいい日に手直しするだけで回ります。

体調に波がある人にとって、続けやすい形と消耗しやすい形は、はっきり分かれます。

  • 時間の切り売り一本:
    自分が動いた分しか収入にならず、休むとその日はゼロになる
  • 相手に握られた納期:
    締め切りを人に決められると、体調が悪い日でも無理を重ねてしまう
  • 在庫と発送の負担:
    毎日の梱包や発送が続く物販は、体力の波と相性が悪い
  • 受注の上限を自分で引く:
    「今月は2件まで」と、引き受ける量を自分で決められる
  • 一度作れば残る商品:
    教材や録画講座は、作業した分がそのまま積み上がっていく
  • オンライン中心の設計:
    移動の負担がなく、体調に合わせて時間を選べる

起業18フォーラムの会員に、宮下さん(仮名・50代・製造業の事務)という方がいます。転機は、毎年受けている健康診断でした。C判定がいくつも並び、「この働き方のままでは、定年まで体が持たないかもしれない」と感じたそうです。

とはいえ、毎日フルでは働けない自分に何ができるのか分からず、しばらくは動けずにいました。変わったのは、起業18フォーラムの勉強会に出てからです。体調に波がある前提で仕事を組んでいる先輩会員の話を聞き、「自分が動く時間そのものを減らせばいい」と発想が切り替わったといいます。

宮下さんは、これまで社内で作ってきた業務マニュアルを、同じ作業でつまずく人向けの教材にまとめ直しました。今は体調のいい日に、オンラインで教える講座を月に3〜4件のペースで続けています。件数を無理に増やさず、受けた人が次の人を紹介してくれる流れができてきました。

続けやすい形の注意点

いい面ばかりではありません。正直に、気をつけたい点も伝えておきます。体調に合わせて量を絞るぶん、収入も月ごとに波が出ます。会社の給料のように、毎月きっちり同じ額とはいきません。だからこそ、生活費のすべてをこれでまかなおうとせず、勤めを続けながら育てるのが現実的です。

元手のかけ方も、体力に不安がある人ほど大切になります。日本政策金融公庫総合研究所の2025年度新規開業実態調査によると、開業費用の中央値は600万円で、長期的には少額化の傾向が続いています。この数字は店舗や設備を持つ事業も含むため、自分の事業に必要な額は別に見積もります。大きく借りて始めるほど、体調を崩したときに引き返しにくくなります。

ここまで読んで、何から手をつければいいか迷うかもしれません。順番は、それほど難しくありません。

できることから始めるなら、まず自分の体のリズムを知るところからです。体調が安定しやすい曜日や時間帯を、この1週間だけ意識して確かめてみてください。動ける時間の総量が見えると、引き受けられる仕事の量も決めやすくなります。

大きく始める必要はありません。月に数件でかまいませんから、まずは無理のない仕事を1件だけ引き受けてみるところから始めてください。毎日動けなくても、動ける日に動けばいい。人のペースではなく、自分の体に合わせて選んでいく。その感覚さえ持てれば、持病や体力の不安があっても、続けられる形はちゃんと作れます。


さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

起業アイデア診断
【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!

【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!

ポイント この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます!