起業する時に役に立つ資格と、ほとんど使えない資格の差は?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

起業アイデアがどうしても思い浮かびません。

元々心理学に興味があります。調べたところ、一般社団法人の民間資格で、たくさんの資格があることが分かりました。コーチングの資格なども種類が多いのですね。

そこで、それら心理学系の資格のどれかを取って、そこの講師になることを考えました。まずはこれでいいですか?

起業する時にどんな資格を得れば役に立つのですか? 逆に、とってもほとんど使えない資格はありますか?
 

起業前質問集
 

● 回答

「資格は起業には必要ない」「時間とお金の無駄になることが多い」とお伝えしていますが、それでも人は資格を求めるものです。どうしてもその資格が起業のために必要だと判断されたのでしたら、それを止めることはしません。

ですが、正直、役に立たないことの方が多いと思います。

起業する時に最も心得ておくべきは「流れに乗る」ことです。「今、目の前にあるタイムリーなニーズに対して、今、解決する提案ができるか」です。その資格が、そのような価値のあるものか、或いは、その資格取得に使う時間とお金でそのチャンスを逃さないか、考えてみましょう。

そんな難しく考えなくてもいいかもしれませんが、とにかく、あなたのビジネスにその資格が役に立つのか、特に、集客につながるのかを考えましょう。

調理師などもオーナーがシェフを雇うケースがありますよね。自分で取らなくてもいい資格もあるくらいなので、要するに、ビジネスに必要かどうかで決めればいいのです。
 

ポイント 起業する際に役に立つ資格を敢えて言うと?

起業に役に立つ資格と使えない資格

カウンセラー
 

まずは、税理士などに代表される、独占業務のある国家資格ですね。不動産事業、土地販売仲介業を行うのに、宅建の資格を得ないのはおかしいですし、建築士の資格がないのにリフォーム業者をしていては、利用者の方が不安になるでしょう。

これは、その業種で起業するには必須なので、ライセンスのようなものです。ただ、取得したからと言って、食べていけるかどうかは別です。

それ以外では、いわゆる専門家としての国家資格はいいですね。その資格で起業することはできなくても、知識として持っておくこと、ブランドになるという意味で、理学療法士などの国家資格はとてもいい響きです。
 

理学療法士
 

総合的な知識ということでは、中小企業診断士ですね。これ自体で起業できる資格ではありませんが、専門知識と経験を持った○○コンサルタントと名乗った上で、中小企業診断士であるというのはブランドとしては悪くありません。行政からのお仕事も受けやすくなるでしょう。

意外と役に立つのは簿記です。これは、起業できる資格という意味ではなく、実務で使える知識という意味です。正確な資産や損益計算を把握するには、簿記の知識はあった方がいいですね。

ただ、起業するので資格として持っておくことが必要か、と訊かれると微妙です。知識としてあるのはいいことです。
 

ポイント 資格の本来の意味

起業に役に立つ資格と使えない資格

資格
 

資格とは、本来「仕事を依頼する側が必要とする人材の能力の裏付け」ですよね。第三者が「この人は勉強して、一定の能力を得ましたよ」と証明するものです。

仕事を出したり、雇用をしたりする側が「正しい税務処理をお願いしたい」とか「著作権や、版権、特許に関する手続きをお願いしたい」などの要求に対して、相手がそれをできる人なのかどうか判断するための材料にするわけです。

よって、質問者様が、どんな仕事を依頼される立場になり、それをどんな人に証明する必要があるのか、それによって得るべき資格は違いますし、必要かどうかも異なります。

ようするに、先に「起業したい職種」が決定していて、そのためにその資格をどう生かすのか使い道も決まっているという場合、資格を取ることは無駄になりませんが、先に資格があって、その先で起業や雇用を考えると、無駄になってしまうことが多いということなのです。
 

ポイント まとめ

起業に役に立つ資格と使えない資格

資格
 

資格を取って起業する人は、実はそう多くありません。一方で、起業するために資格を取りたがる人はとても多くいます。

近年、ネット事業の拡大で、ITエンジニア、プログラマーが自ら起業して成功するケースが年々増加していますが、そうでないケースでは、スキル(資格)は「人材確保で得るもの」という認識が当たり前です。そのためにも、経営でのスピーディな決断が非常に重要なので、経営者には財務を把握する能力がさらに求められるようになるでしょう。

資格は、先に資格ありきではなく、資格を出す団体に組み込まれて仕事を得るためではなく、業務に必要なら取得する。目的は、仕事を得るための「他者に対する証明」です。

どんな知識も、実務で得てきた経験にはかないません。まずは、あなたの経験値の高い職種での起業を考え、その後で必要なら第三者への証明書として資格を検討してもいいでしょう。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。


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