記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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飲食店が元気を取り戻しつつある今、再び、料理教室で起業しようと考える人が増え始めています。

得意分野で起業できるのは理想的ですが、料理は得意でも起業や経営に詳しいかどうかは別の話。初めてのことでさっぱりわからないことも多いでしょう。
やることは、以下の通りです。
- 法的要件の確認(資格や届け出は必要か)
- コンセプトメイク(どんな料理教室にするのか)
- 開業資金の準備(開業場所を選びながら・・なるべく自己資金・小さく)
- 料理教室の価格体系・集金方法を決める(サブスク or 単発)
- SNSで発信(集客にはInstagram YouTube Tiktok が良い)
- オープン(開業)
- 開業届の提出(独立する場合)
この記事では、開業場所や届け出など、料理教室で起業する際に必要な基礎知識を解説しています。
料理教室での起業に資格や届出は必要?

料理教室での起業に資格は必要ありません。料理教室は、レストランとはみなされず、自宅を教室とする場合は「ホームパーティーのようなもの」とみなされるため、保健所などへの届出は必要ないのです。しかし、規模が大きくなるとその限りではありません。
注意点としては、自宅で開業する場合、契約が事務所としての利用を禁止している場合が多いので、事前に確認し、必要であれば許可を得ておきましょう。法人登記はNGでも、会場としてたまに利用する程度であれば、人の出入りが多くなければOKしてくれるオーナーさんもいます。
料理教室で起業するならコンセプトをはっきりさせる

和食、中華、フレンチ、イタリアンなどなど、挙げればキリがないほど料理にはたくさんの種類があります。最初は大雑把に「和食教室」でも良いとお考えかもしれませんが、これではちょっと大雑把すぎます。集客を考えると、もう少し絞り込まないと未来の生徒さんに「通いたい」と感じてもらえません。
- パートナーといっしょに味わいたい簡単和食
- パーティーでさりげなく料理センスをアピールしたい方向けの和食教室
など、未来の生徒さんに伝わる「料理教室に通いたくなるコンセプト」を、まずはっきりさせましょう。
料理教室開業資金の準備

コンセプトや物件の家賃によって必要な資金は異なりますので、開業場所の選定と同時進行で行います。
自宅開業が絶対おすすめ
まずは、自宅で開業することを前提に考えてみましょう。毎月の家賃や、生徒が集まらなかった時の場所のレンタル代の負担は、想像以上のものがあります。自宅ならちょっとした備品の追加やリフォームなどで、少額の投資で十分間に合います。
費用目安:0~10万円程度
次のお勧めは、都度、キッチンをレンタルすること
開催する度にキッチンスタジオを借りれば、固定費は掛かりません。ですが、参加者を募る前に会場は確保しなくてはなりませんし、毎回同じ会場を取ることも難しい場合が多く、開催の度に開催までたどり着けない人がでるなど、安定した運営は・・・難しくなります。
費用目安:1~2万円/回
月極めでスタジオを借りる(絶対やめた方が良い)
居住用のマンションを借りる場合、もう一軒、家を借りるのと同じ感覚ですので、数百万円は掛かります。商業利用可能なビルの一室やスタジオを借りる場合には、さらに高額な費用が掛かります。スタジオなら場所や広さにも寄りますが、20万円~、敷金も3カ月~半年分が一般的です。
費用目安:300万~500万円/年
手持ち資金がない場合
開業資金は自己資金を使うことが最も安全ですが、手持ち資金がない場合には、融資や補助金制度を使うことができる場合があります。ですが、副業や開業届を出していない状態では使えないものも多いので、事前に確認をしましょう。
補助金の情報は、ネット検索で出てくるものは古い場合がほとんどです。地元市区町村の窓口、商工会議所、都道府県などに、最新の情報を問い合わせてみてください。融資は「政策金融公庫」一択になると思います。まずは問い合わせてみましょう。
料理教室開業場所別・注意点

料理教室には、コンセプトに沿った活動ができる会場が必要です。たとえば、大人数で試食会ができる、カウンターが欲しい、オーブンが必要など、実現したい内容によって会場は異なってきます。
自宅教室の場合の注意点
料理教室で起業しようとしている方の多くが、開業場所として自宅をお考えだと思います。自宅で料理教室が開ければ、諸経費も含め、初期費用を大幅に抑えられます。
たくさんの生徒さんを相手にした教室は開けませんが、近隣に住む主婦をターゲットに考えているのであれば、理想的な開業場所だと言えます。チラシをポストに入れるなど、アナログ的な集客ができることもメリットだといえるでしょう。
注意しなければならないのは、自宅がマンションなどの集合住宅の場合です。上述のように集合住宅は、事業での利用が制限されていることがあるので、起業の準備段階で必ず確認しておきましょう。
キッチンスタジオを借りる場合の注意点
自宅やテナントなどの特定の場所ではなく、レンタルのキッチンスタジオで料理教室を始めることも可能です。インテリアもおしゃれで設備も十分にそろっています。
レッスンごとにスタジオを借りるため、常に同じ場所で教えられません。これが意外と厄介です。ですが、自宅で料理教室を始める場合と同様に、初期費用を抑えられることは大きなメリットです。スタジオのレンタル料金も1時間5,000~10,000円と比較的リーズナブルです。
テナントを借りる場合の注意点
料理教室用にテナントを借りて起業する方法もあります。キッチンから内装、厨房機器まで、すべてこだわりを反映できることは、テナントを借りる大きなメリットです。しかし、家賃は非常に高額ですので、毎日のようにレッスンを行わないと、初期費用を回収して利益を出すことは難しいでしょう。
※この方法はお勧めしません。
料理教室の価格体系・集金方法を決める(サブスク or 単発)

料理教室のレッスンには、2つの価格体系があります。
- レッスン毎に参加料を取る
- サブスク
また、それぞれにマンツーマン、集合型があります。
レッスン毎に参加料を取る場合、起業18会員さんの事例では、集合型であれば2000~4000円程度。個別であれば5000~7000円。サブスクであれば、集合型なら1500~3000円、個別なら10000~15000円前後が相場。そこに食材費が上乗せされる感じです。
スタジオを借りる場合は、食材の運搬も一苦労ですから、タクシーを利用した場合などでも利益が出るようにしたいところです。個別は、できれば自宅でレッスンしたいですね。
SNSで発信(集客)

ビジネスは集客が全て。教室は特に、いつも人がいないところには、人が寄り付かなくなります。
料理教室の集客には、最初はホームページは必要ありません。申し込みは、ストアカなどのポータルサイトで受け付ければ十分です。
とにかくSNSを徹底的に強化しましょう。お勧めは、InstagramとTikTokです。楽しそうなところに、人は集まってきます。起業18にも、Instagramで日々料理の写真やレッスン風景をアップしている先生がいます。美味しい料理ができたり、失敗して皆で笑ったり、とても楽しそうです。レシピをショート動画で紹介するのも効果的です。
固定の会場がある場合には、チラシも有効な集客方法です。地味ですが、地域の掲示板への張り紙、ポスティングなども試してみましょう。
生徒が集まらない場合は
とは言え、集客は簡単なことではありません。今は人とコンタクトすることを避ける傾向もあり、苦戦する教室もたくさん出てくることでしょう。
そんな場合には、オンラインライブでレシピを紹介したり、料理技、風景を中継したりして、見込み客を集める活動を積み上げておきましょう。
また婚活やワイン会など、相性の良い他の教室とのコラボイベントを開催することも効果的です。
オープン(開業)

ここまで来たら、いよいよオープンです。最初は友達だけでシミュレーションするのが良いでしょう。失敗だらけ、段取り通りに行かないことだらけでしょうから、修正していきましょう。
しばらくやってみて、本格的に独立を目指す場合には、税務署に開業届を提出しましょう。最初は焦って出す必要はありません。
料理教室に「飲食店営業許可」は必要か? 食品衛生法の境界線

「料理教室を始めたいけど、飲食店の許可が必要ですか?」という質問は、料理教室で起業を考える方の多くから届きます。結論から言うと、一般的な料理教室は飲食店営業許可が不要なケースがほとんどです。
食品衛生法(令和3年改正対応)において、飲食店営業許可が必要なのは「不特定多数に飲食物を継続して提供・販売する場合」です。料理教室は「調理技術の指導」を本来の目的とし、試食はその附属行為とみなされます。そのため、調理法を教えることが主目的であれば許可は不要とされています。(参考:厚生労働省「食品衛生法に基づく食品取扱施設について」令和3年版)
- 自宅で少人数に調理技術を教える教室 → 原則、許可不要
- 試食が「作ったものを確認する」程度の附属行為 → 許可不要
- 料理教室の延長でお弁当・お惣菜を販売する場合 → 飲食店または食品製造業の許可が必要
- 規模が大きくなり「飲食サービスの提供」に近くなった場合 → 保健所へ事前相談が必要
判断に迷ったときは、地元の保健所の「食品衛生相談窓口」に直接問い合わせるのが最も確実です。「こういう形で始めたいが許可は必要ですか?」と具体的に説明すれば、無料で回答してもらえます。スタート前に一度確認しておくと、安心して開業できます。
会員Mさんの事例:自宅料理教室で月収8万円を実現した段階的なステップ

起業18フォーラムの会員Mさんは、30代後半の専業主婦で、夫は会社員、小学生の子どもが2人います。パートタイムで月収5万円ほど稼いでいましたが、「子どもが学校に行っている間に、料理の好きを生かした仕事をしたい」という思いからセミナーに参加されました。
Mさんに私がお伝えしたのは、拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』に書いているSTAGE別フレームワークです。売上をSTAGE I(0-1万円)→ STAGE Ⅱ(1-5万円)→ STAGE Ⅲ(5-10万円)→ STAGE Ⅳ(10-30万円)と段階的に上げていくという考え方です。
Mさんはまず、友人・知人への「モニターレッスン」(無料または格安)でスタート。6ヶ月目に自宅キッチンでの和食教室を本格開始し、同時にInstagramに毎日料理写真を投稿し始めました。転機は「子どもと一緒に作れるお弁当」のレシピ投稿が3,000いいねを獲得したことです。フォロワーが一気に増え、ストアカからの申し込みが途絶えなくなりました。
現在は月4-6回のグループレッスンで月収8万円を安定して得ており、次のステップとしてオンラインコースの準備を進めています。「料理教室で起業」というと難しく聞こえますが、Mさんが最初にかかった費用は調理器具の補充費用3万円程度でした。
まずは「友達3人にモニターレッスン」から始めてみましょう。うまくいけば口コミで広がり、改善点も自然に見えてきます。最初の1人を集めることが、起業の9割を決めます。

料理教室の起業は、「いつかやろう」ではなく「今日の料理が誰かの役に立つかもしれない」という気持ちから始まります。まずキッチンで一人実践してみた人だけが、次のステージへ進めます。
よくある質問:飲食店営業許可と料理教室

Q.マンションの自室で料理教室を開くと規約違反になりますか?
- 多くの分譲・賃貸マンションは「居住用途のみ」で事業利用を制限している場合がある
- 「たまに少人数の生徒が来る程度」なら容認されるケースも多いが、事前にオーナー・管理組合への確認が必須
- 法人登記はNGでも、教室としての使用を個別に許可してくれる場合もある
後から「近隣の苦情で教室ができなくなった」というトラブルを防ぐため、スタート前に管理会社へ問い合わせておくことをおすすめします。一戸建て持ち家の場合は制限がなく、最初の教室場所として理想的です。
Q.料理教室で作ったものを持ち帰り用に販売してもよいですか?
- 「作ったものをその場で食べる(試食)」は許可不要
- 「作ったものをお土産として販売・配布する」は食品販売業の許可が必要になる場合がある
- 菓子類は「菓子製造業」、惣菜は「そうざい製造業」など品目ごとに許可区分が異なる
収益を増やすために「作ったものを販売したい」と考えるのは自然な発想ですが、販売を始める前に地元の保健所でご確認ください。許可取得は思ったほど難しくなく、費用も数万円程度のケースが多いです。
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