記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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私は国際ビジネスも専門分野のひとつなのですが、今日は、最近お問い合わせも増えている「海外起業」について書いてみます。
世界的な視線で、グローバルに活躍している外国人に訊くと、起業しやすい国の上位はほとんどが英語圏で、登記が非常に簡素で済む国が多く、最近ではニュージーランドが注目されていますね。
ニュージーランドは「起業のしやすさ」「資金調達のしやすさ」では1位「資産登記のしやすさ」で2位「少数株主の保護」で3位を獲得しており、総合ランキングで1位となりました。
ヨーロッパ、特にドイツは、専門的な技術者やエンジニアなら駐在員としては働きやすいです。ですが、起業となると、現在は移民問題などもあるため、ちょっとリスクが高いといえるのではないでしょうか? 知人がワイナリーをやっていますので、もちろん不可能なことではないと思いますが、アジアに比べるとハードルが高い気がします。
海外起業・ビジネスをする上で注意する点とは?
海外で起業する場合、現地の言葉、最低限でも英語力は大前提ですが、日本人として気を付けたいのは、やはり「宗教観の違い」でしょう。海外では宗教は、日本以上に生活や思想に影響し、生き方も時間の概念も異なります。
また、海外で起業する際には、必ずと言ってよいほど取引上の問題が発生します。もちろん、海外のビジネスパートナーは、国内のそれと全く事情が異なり、相手から見れば私たちは外資であり、よくわからない存在です。
海外ビジネスでは知的財産を共有し、共同で相手国における市場を拡大することがよくあります。相手を信用して丸投げしてしまうのが、よくある「日本式」ではありますが、当然ながら、どのような契約を締結するかは、非常にセンシティブな事案となります。
私の経験では、私が仲介のブローカー的な立場で参加したシンガポールでのブランド拡販プロジェクトにて、私と現地の輸入代理店との契約やコミュニケーションは極めて順調に運びましたが、日本のメーカーサイドが、シンガポール側の動きのペースを待つことができず、大きな契約が破綻してしまったことがあります。
相手には相手の事情、商慣習があります。海外ビジネスには、契約以外にも、お互いに信頼関係を構築しつつ、調整しなければならないことがたくさんあるのです。
海外で起業するときのもう一つの課題は「雇用」です。ビザの条件にもよりますが、大抵の場合には現地雇用を念頭に置かなければなりません。海外で起業する上では、その会社が存在する地域に貢献する意味でも、非常に重要なことです。そして、外貨預金、利益の日本への送金などのお金の流れについても、しっかりとした下調べ手が必要になります。中国のように複雑なルールがあることもあります。一般的には、現地銀行と日本の金融機関を使い分ける工夫も必要となります。
また、単純な日本企業の代理店や子会社機能としての会社設立であれば簡単でよいのですが、共同出資、合弁企業ともなれば、その国や地域の規制や相手の腹の内で未来が大きく変わル可能性があるので、小規模な会社であっても、常に何があるかわからないということは頭の片隅にはれておくべきですね。
海外で起業・ビジネスをする際、交渉術は大切なのか?
「新井君、人間、やっぱりハートだよ。信頼関係だよ!」
そう言いたい方が多いのも知っていますし、それは事実です。ですが、交渉相手もサラリーマンだったりと立場があったり、経営者でも守るべき従業員、会社があるわけです。ハートだけじゃどうにもならないことばかりです。それ故、相手も交渉してきます。こちらにとっても、交渉術はとても大切なのです。
ビジネスではどの国であっても、借地契約や土地の購入、設備導入でも数多い契約書が交わされます。特に海外の取引先との交渉に臨む際には、見積りに関しては相手の話を丸呑みせず、現地での調査を入念にして妥当な予算を自ら設定しておくことも必要になります。大手の現地法人(子会社)でさえ、本社から利益をぶんどってやろうなんて考える輩が実際にいますから。
こうした情報収集は、日本人が海外でビジネスをする際にはとても大切になります。支払いやトラブルの責任に関しても、全ての場面で、契約の履行に関する交渉が必要となります。たとえば、作業を依頼しても、勝手に止めてしまったり、品質を勝手に下げてしまったり、勝手に材料を変えてしまったり、そんなことはいくらでも起こるわけです。日本人からすれば「え?なんで??」ということを、当たり前のこととして説明もせずにやる。こうしたことは、特にアジア、中国では常識として覚えておいてもよいかもしれません。
海外で起業をする際には、多くの会社と契約を結ぶことになります。そして、その契約が命とも言えるのです。理解が曖昧な場合には、法務の専門家などとも相談するべきです。特にアジアの国を相手にする場合には、相手にいい加減にされないようにするためにも、あらかじめフォームを定めて自ら提示する姿勢で挑む必要があるでしょう。
英語圏のビジネスでの留意点とは?
米国は典型的ですが、契約から履行まで、かなり早いペースで進んでいきます。日本のように、会議、また会議、検討、また検討、そのうち、なんて言っていられません。そして、契約交渉でも、相手から先に契約書案が出されることが多くなります。
その際、書式は当然英語で相手の基準であり、自社都合だけに主眼を置いた案であることが多いです。公平・公正な交渉というものは、日本国内では倫理として成立しても、海外では通用しません。話し合いも交渉も前提が契約書に基づくため、なぁなぁの引き分け解決はほぼ不可能です。
特に米国などの英語圏ではビジネス、契約のシビアさに驚かされることが多いでしょう。日本の特に中小企業の浪花節で育ったサラリーマン出身者には、最初はハードルが高いかもしれません。また、アジア、特に中国では逆に、そのいい加減さ、適当さに驚くことがたくさんあるでしょう。
まとめ
こういう事を考えると、日本人が海外で起業する場合には、決して同じではないですが感覚的に近い東南アジアあたりが、やはり最初はやりやすいということになるかもしれませんね。
若いうちに留学を経験した人ならば、海外で直接起業をせずとも、ぜひ、せっかく得たチャンスでもありますし、海外と関わるビジネスを展開したいですよね。
また、もしあなたがこれから留学をするチャンスがあるのなら、単位の取りやすさでメジャーを選ばずに、ビジネスに備えた知見を得るために学ぶ方がよいと思います!
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起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全12冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。
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