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● 質問
起業して独立した後に、健康保険や年金はどうなりますか?
● 回答
税金と同じように支払わなければいけないのが「社会保険」です。独立すると、この支払いもバカになりません。社会保険と一言で言っても、いろいろなものが含まれています。例えば、健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険、年金保険なども社会保険です。
独立すると直接関係してくるのは「健康保険」と「年金保険」です。会社を辞めると負担が一気に増えます。
健康保険とは?
(2021年現在)正確には「健康保険」と「国民健康保険」の2つに分かれます。この違いは、原則として、サラリーマンなどの雇われの身である人は「健康保険」に加入します。(※法人化して社長になると、自分の会社に自分が雇われている形になりますので、サラリーマンと同じ立場で「健康保険」に加入することになります。)
「健康保険」に加入する資格を持たないフリーランス(個人事業主)が加入するのが「国民健康保険」です。(※従業員5人未満の個人事業所の場合、事業所が社会保険に未加入で従業員が個々に国民健康保険に加入しているケースがあります。)
例外的に、フリーランスになりたての場合「任意継続」という制度があり、退職後2年間はサラリーマン時代と同じ「健康保険」に継続して加入することができます。但し、会社が負担していた分も自分が払うので、負担は倍額になります。
サラリーマンが入る「健康保険」(法人化して社長になった場合も「健康保険」)と「国民健康保険」には、どのような違いがあるのか、以下にまとめておきます。
まず前提として「国民健康保険」は世帯単位で加入するものです。つまり保険料は、世帯全員の年間収入によって決まります。算出方法は地域によっても異なりますので、一概にいうことはできませんが、市役所に行けば教えてもらいます。
「国民健康保険」の保険料は、年間の収入によって決まりますが、扶養者の数によっても変わってきます。ひとりあたりいくらという形で保険料が増えていきます。対して、サラリーマンの「健康保険」は、被扶養者に対して保険料かかりません。被扶養者であれば無料で配偶者の保険に加入することができます。(参考:「103万円以上稼いではいけないとか、どういう意味でしょうか?【配偶者控除】」)しかも、保険料は会社が半分負担してくれます。個人の負担はその分軽くなります。
また傷病手当金も「国民健康保険」にはありません。(※2020年~のパンデミックにより例外があります。検索して地域の情報を調べてみましょう。)
傷病手当金とは、病気や怪我によって働けなくなった場合、標準報酬月額の3分の2が、1年半もの期間支給されるとい制度です。(参考:全国健康保険協会「傷病手当金」)このような素晴らしい手当てこそ、独立するフリーランスの人に必要だと思うわけですが、これは「健康保険」に加入している人の特権です。
保険料半額負担、家族が増えても負担は増えず、いざという時には手当てまで支給されるのがサラリーマンの「健康保険」です。「国民健康保険」にはそのようなものはありません。法人化した場合には「健康保険」に加入することができますので、このメリットを享受したい人は、法人化を検討しましょう。
また「国民健康保険料」の年間負担は上限99万円です。(参考:厚生労働省保険局「国民健康保険の保険料(税)の 賦課(課税)限度額について」)
収入が突き抜けてしまえば、国民健康保険は「定額」になります。そこまで行く前に保険料を定額化させたい場合には、国民健康保険組合への加入を検討してみましょう。組合はたくさんありますので、チェックしてみましょう。あなたが参加できそうなものがあれば、問い合わせをしてみましょう。
起業家の年金とは?
年金は「健康保険」に加入している人は「厚生年金」に「国民健康保険」に加入している人は「国民年金」に入ることになります。もし、あなたが独立して、フリーランス(個人事業主)になった場合は「国民健康保険」と「国民年金」に加入することになるわけです。法人化して社長になれば「健康保険」と「厚生年金」です。
国民年金は「未払い」が問題になっていますが、一方で「民間の保険」に加入して、さらに上乗せして払っている人もいます。民間の年金保険と国が保障している年金保険、どちらがよいかはその人の選択ですが、はっきりと言えるのは、国の年金保険は税金面でお得ということです。社会保険控除で保険料を全額控除することができるからです。民間の年金保険は、生命保険控除の限度額が決まっていますので、税金面で言えばお得とは言えません。
国民年金の場合には「国民年金基金」をプラスするという選択肢もあります。国民年金基金とは、フリーランスのための2階建て部分、サラリーマンの厚生年金のようなものです。こちらも、掛け金が全額、社会保険料控除の対象となっています。また、掛け金を任意で設定することができるので(変更も可能)、掛け金を柔軟に調整しながら、将来の備えを積み上げていくことができるのです。とは言え、年金が信用できないという方もいらっしゃると思いますので、その辺は個人の判断となると思います。
またフリーランスの場合、退職金がありませんので「小規模企業共済」を利用するとよいでしょう。これはフリーランスのための「退職金積立制度」のようなものです。これも全額「小規模企業共済等掛金控除」として社会保険料控除と同様に控除できます。節税と安心を得るためには、このような仕組みを賢く利用することが大切です。
国民年金の保険料は・・・
1.国民年金の保険料
国民年金第1号被保険者および任意加入被保険者の1カ月当たりの保険料は16,610円です(令和3年度)。
なお、まとめて前払い(前納)すると、割引が適用されるのでおトクです。日本年金機構「国民年金保険料」 より引用
この保険料は「国民健康保険」のように収入で増減するものではありません。また、扶養家族がいれば、成人している人数分だけ支払いが増えます。また、いざ働けなくなった時に「障害年金」を受け取るためにも、国民年金に加入しておく事は大切です。
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