個人事業のまま、妻を従業員にしてお給料を払う場合について教えてください。【青色専従者給与】

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

個人事業のまま、嫁さんを従業員にしてお給料を払う場合について教えてください。
 


 

● 回答

青色専従者給与のことですね。青色専従者給与とは、同一生計の配偶者等に支払った給与を経費にすることができる制度です。

要するに、たとえば旦那さまが個人事業をしている場合、奥さまやお子さんに仕事をお手伝いしてもらい、その報酬にお給料を払って、経費として計上することができるという仕組みです。
 

青色事業専従者給与とはどういうもの?

青色事業専従者給与は、事業に携わっている家族に対する報酬を青色申告者の所得から控除できるものです。

白色申告の事業専従者控除は配偶者であれば86万円、その他の親族は一人あたり50万円と決められているのに対して、青色申告専従者給与は金額が決められていないため、妥当性のある報酬を設定できます。

また、ここでいう妥当性のある報酬とは、事業専従者控除を受ける者が実際に働いた期間や時間、仕事内容などに照らし合わせた金額をいいます。もし支払う給与が高すぎると判断された場合、妥当性のある金額を超過した分の金額は必要経費と認められない場合があるので注意が必要です。

freee株式会社「青色申告の専従者給与 家族への給与支払いで節税効果を高める方法」 より引用

 

これを利用しない場合、身内に払ったお金は経費にさせてもらえません。つまり、最初から届け出をしていない限り、認められないということです。「今日から妻に手伝ってもらいますのでお給料を払います」ではダメなのです。

青色専従者給与を認めてもらうためには、それを経費に算入しようとする年の3月15日までに届け出をしてください。青色事業専従者給与に関する届出書」という書類がありますので、それに記入して提出します。

特に大切なのは、給与、賞与の金額、そして昇給の基準を取り決めておくことです。支払う給与の額、支給時期、賞与の金額などを細かく書かなくてはいけません。

支払い時期に関しては、勝手に決めればよいだけなので問題はありませんが、給与の金額と昇給の基準が問題になります。但し、この書類に記載する金額は、実際に払う金額でなくても大丈夫です。

ここには上限額を書きます。実際に書いた金額より低い金額を払っても問題ありません。これは賞与に関しても同じです。但し、一度届け出をした後で、上限を引き上げようと思う時には変更届を出さないといけませんので、予めよく考えておきましょう。
 


 

では、大きな金額を設定しておけばよいのかと言えば、そうでもありません。例えば、旦那さまの年収が500万円だとして、奥さまが1000万円もらうことは常識的にはあり得ないわけです。バランス感覚ですね。昇給の基準に関しては「従業員に準ずる」などの、後で調整できそうな基準にしておくとよいと思います。

また青色専従者になった人は、配偶者控除や扶養控除の対象になることができません。例えば、奥さまを青色専従者とした場合には、配偶者控除が受けられないことになります。よって奥さまに支払う給料を配偶者控除(参考:「103万円以上稼いではいけないとか、どういう意味でしょうか?【配偶者控除】」)の金額より大く設定しておかなければ、配偶者控除受けた方が得だったなんてことにもなりかねないので、気をつけてください。
 

源泉徴収の手続きについて

【青色専従者給与】とは?


 

次に、源泉徴収の手続きについてです。(給料の額にもよります)給料を支払うということは、源泉徴収義務がでてくることにもなります。毎月源泉徴収をして申告する必要があるのです。

それを毎月やるのが面倒という場合には、書類を提出することで、半年に1回の申告で済みます。(参考:国税庁「[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請」

青色事業事業者給与に関する届出書を提出する時に、あらかじめ出しておきましょう。

この青色専従者給与は奥さまの人件費ということなります。つまり経費です。外部の方を採用するよりは、奥さまに払った方が良いと判断することもあるでしょうから、そう思う方は検討をしてみてください。

奥さまの方も「給与所得控除」が認められることになりますので、渡した収入はその給与所得控除の分、税金が安くなることになります。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全10冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。




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