記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
3年ほど前から、知り合いの紹介で頼まれた仕事を休みの日にこなしてきました。会社の仕事の合間に月に2件から3件、多いときは5件ほどです。
ところがこの4ヶ月、問い合わせがぱたりと止まりました。紹介してくれた人に催促するのは気が引けますし、かといって自分から営業をかけるのも苦手です。次の仕事につなげるために、何から手をつければいいですか?

● 回答
頼まれた仕事はそのつど納めてきましたし、評判が悪いわけでもありません。それなのに、この数ヶ月だけ問い合わせが止まっています。こういうときに先にやることは、新しい入口を探すことではなく、一度あなたに仕事を頼んだ相手へこちらから連絡を戻すことです。フリーランス協会の「フリーランス白書2026」でも、最も収入につながった入口の2位は過去・現在の取引先で、29.3%を占めました。
紹介が細るときに起きていること
紹介が続いていたころは、営業らしいことを何もしないで済みました。そのぶん、止まったときに何が起きたのかを確かめる手立てがありません。相談の場で見てきた限り、思い当たる原因はだいたい決まっています。
- 紹介元の事情が変わった:
担当者の異動や本人の繁忙で、人に声をかける余裕がなくなった状態 - こちらの看板が伝わっていない:
何を頼める人なのかを紹介元が言葉にできず、話が出ても途中で止まる形 - 一度きりの関係で終わっている:
納品後にこちらから接点を持たず、思い出す機会そのものがない状況
紹介が止まったときの立て直しは、新しい入口を増やすことではなく、一度お金を払ってくれた相手との接点を戻すところから始まります。どれに当てはまっても、最初の一手は変わりません。
白書が示す次に太い入口
ここは感覚で決めずに、数字を先に置きます。一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が2026年6月10日に発表した「フリーランス白書2026」は、有効回答1,426人に仕事の入口をたずねています。
最も収入が得られた仕事獲得経路は、人脈(知人の紹介を含む)が32.3%、過去・現在の取引先が29.3%で、その差は3.0ポイントです。紹介と既存の取引先は、ほぼ同じ太さで並んでいます。
この差の小ささが、今回の答えを決めています。紹介という入口が細ったとき、次に太いのは新規開拓ではなく、すでに一度取引した相手のほうだということです。
同じ調査で、自分の広告や宣伝から最も収入を得た人は7.8%、クラウドソーシングは6.9%にとどまりました。登録先を増やす動きが無駄だとは言いませんが、順番としては後になります。
催促に見えない連絡のつくり方
むずかしいのは、何を書けばいいのかという点です。「仕事はありませんか」と直接書けば催促になりますし、何も書かなければ連絡の意図が伝わりません。ここは依頼を求める文章ではなく、近況を伝える文章にすると通ります。
- 前回の仕事へのお礼:
納めたものがその後どう使われたかを尋ねる一文 - いま受けられる範囲:
どんな作業をどのくらいの量で引き受けられるかの具体的な提示 - 相手の近況への問いかけ:
仕事を取りに行く言葉を置かない、相手側の話題
連絡を送る相手は、紹介してくれた人ではなく、実際に発注してお金を払った担当者を先にします。紹介者には、その人から仕事が回ったあとで結果を伝えれば十分です。順番を逆にすると、どうしても催促の色が出ます。
篠塚さんが確定申告の集計で見つけた5人
起業18フォーラムの会員に、篠塚さん(仮名・50代前半)という方がいます。食品メーカーの総務で働きながら、休日に取引先の会社案内やチラシの文章を整える仕事を、もともとは元同僚の紹介だけで受けていました。月に2件から3件、紹介が続くうちは何も困らなかったそうです。
依頼が途切れたのは、紹介元だった元同僚が異動した直後です。焦って登録サイトに3つ登録したものの、4ヶ月で依頼は1件も来ませんでした。
年が明けて、確定申告の書類を作っていたときのことです。売上を相手ごとに足していくと、依頼してきたのは延べ11人、そのうち5人は2回以上頼んでくれていました。半分近くが同じ顔ぶれだったわけです。
そのあと篠塚さんは、起業18フォーラムの勉強会に足を運びました。受注が止まった時期をくぐった会員が、新しい相手を探すより先に前の依頼者へ連絡を戻したという進め方を聞き、自分の名簿の使い方を組み直しました。
やったことは単純でした。2回以上頼んでくれた5人へ、催促を書かない近況の連絡を1通ずつ送っただけです。返信は3人から届きました。そのうち2人が、また仕事を頼んでくれています。
いまは月に5件前後で、うち2件は同じ相手からの継続です。連絡を出して半年ほど経ったころには、業界団体の会報が書き手を募っていると知って応募し、紹介以外の入口からも1件受けました。
紹介以外の入口をもう1本
接点が戻ったら、次は入口の数です。拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』では、お金の流れを枯れさせないという見方を紹介しています。太い蛇口を1本だけ持つより、細い蛇口をいくつか持っておくほうが、どれかが止まっても全部は止まらないという話です。
ただし、いきなり3本増やすと、どれも中途半端で終わります。順番としては、戻した接点が1本目で、紹介以外は2本目になります。
紹介以外といっても、見知らぬ人を探しに行く必要はありません。勤め先の業界団体が出す会報、地域の商工団体の名簿、過去の取引先が加盟している業界の集まりなど、すでに相手がいる場所から選びます。篠塚さんが会報の募集に応じたのも、この考え方でした。
前に頼んでくれた相手のうち、最後のやり取りから半年以上が空いた人へ、催促を書かない近況の連絡を送ってみてください。返事がすぐ来なくても構いません。名前を思い出してもらえた時点で、次に困りごとが出たときの候補に戻ります。
- 紹介が細る原因は紹介元の事情・看板の曖昧さ・接点の途絶え
- 次に太い入口は新規開拓ではなく過去・現在の取引先
- 連絡の相手は紹介者より、実際に発注した担当者が先
- 入口は一度に増やさず、戻した接点の次にもう1本
紹介が止まった時期は、これまでの取引の記録を見返せる時期でもあります。同じ相手からもう一度頼まれる関係をどう作るかは、常連の作り方としても整理できます。

催促するのは気が引ける、かといって営業も苦手だという方を、これまで何人も見てきました。連絡を出す前に一度ためらえる人だからこそ、相手の都合を踏まえた文面が書けます。その一通が、止まっていた流れをもう一度動かします。
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