シニア起業家の成功例から学ぶ~55歳からの起業で失敗しない方法

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:2021/07/19

小規模企業白書(2019年版)のデータによれば、シニア起業家の人数は横ばいか若干減少しているように見えます。
 

小規模企業白書

出典:小規模企業白書 2019年度版(PDF78ページ)
 

団塊の世代が定年退職後、まだまだ働きたいと「起業」を選択する人が増えました。これからバブル世代の早期退職も増えるでしょう。ですが、再就職の窓口は狭く、やむなく起業する人は増えると思います。以前にくらべて、中高年、シニア層の起業を後押しする国の支援制度が整ってきていますので、チャンスでもありますね。
 

ポイント 夢か安定か? 定年退職後の起業

データで読み解くシニア起業とは

データ
 

少し前のデータになりますが、日本政策金融公庫の調査レポート「シニア起業家の開業~2012年度「新規開業実態調査」から~」によると、55歳以上の起業家の約半数が、退職前に経験した分野で起業し、未経験分野に挑戦する人は22.6%だそうです。

今までの経験や人脈を生かして起業する人と、リタイヤ後は、夢だった職業に挑戦する人に分れるようですが、やはり、なんの人脈も経験もなく、いきなり夢に挑戦するのはリスキーです。
 

ポイント 失敗しないために、準備とリサーチを

夢だけでは起業できない

シニアとパソコン
 

例えば飲食。定年したら小さな店を構えて居酒屋をやるのが夢だった。なんてよく聞きますが、店舗を借りるにせよ、自宅を改装するにせよ、退職金をつぎ込んだあげく、なんの実利も得ることなく店を潰してしまった。なんてことにならないように、きちんとしたリサーチや準備が必要です。夢だけでは起業はできません。
 

ポイント どんなシニア歳起業家が成功するのか

成功事例から学んでみましょう

シニアの悩み
 

55歳すぎてから【起業】し、成功した人は有名・無名問わずたくさんいます。専業主婦だった方がご主人を亡くされて一念発起した例や、60歳近い年齢で、新しいビジネスを始めて大儲けした例。起業とは違うかも知れませんが、小説家や画家など才能を開花させた偉人など枚挙にいとまがありません。
 

ポイント 60歳を超えてから大成功した、世界的な有名人

成功事例から学んでみましょう

ケンタッキーフライドチキン(KFC)のハーランド・デーヴィッド・サンダース氏は、40歳の時にケンタッキー州のコービンでガソリンスタンド兼カフェを開業します。国道に面したカフェは繁盛し、7年でモーテルを併設したレストランに規模を拡大させました。そのレストランで人気があったのが、例の「フライドチキン」。
 

サンダース

出典:Wikipedia「カーネル・サンダース」 より
 

しかし、新しい州間高速道路が開通すると、人と車の流れが変わり店は倒産。それをきっかけに、65歳で各地のレストランの経営者や従業員にフライドチキンの調理法を教えて歩合を得る(フランチャイズ)を本格的にはじめ、たった5年間で400店を超える店をオープンさせ、KFCを一大企業に成長させました。
 

ポイント 退職後60歳で起業し成功した日本人といえば

成功事例から学んでみましょう

60歳起業成功者といえば、ライフネット生命保険創業者で、現会長の出口治明氏が有名です。日本生命保険を58才で退職したのち、60才でライフネット生命を創業。KDDIなど、6社から約80億円の出資をうけて設立されたライフネット生命は、日本では戦後初となる国内外の保険会社を親会社としない独立系生保会社となりました。
 

ライフネット

出典:Twitter より
 

ポイント メディアで大人気 80歳で起業した不動産屋

成功事例から学んでみましょう

80歳で合格率16%ともいわれる「宅建」に合格。東京江戸川区に不動産屋を開業し、年商3億円を稼ぐお祖母ちゃん社長として騒がれたのが和田京子氏です。名刺が500円分のクオカードだったり、自宅の応接間を改造したアットホームな事務所だったり、問い合わせがあれば、夜中でも客に対応する24時間営業など、ちょっとしたアイディアと和田氏の衝撃的な年齢に、マスコミがこぞって取材に訪れました。
 

和田さん

出典:和田京子不動産株式会社 より
 

ポイント 新しいことを学ぶ勤勉さ貪欲さが大切

成功事例から学んでみましょう

ご紹介した3人は、あまりに特殊な例と思われるかも知れませんが、このくらいの個性とバイタリティを目指すことは必要です。それぞれ環境の異なる3人ですが、60歳を超えて、なお新しいことに挑戦する、貪欲な意思と勤勉さは共通しています。
 

ポイント 経験や人脈に固執しない

成功事例から学んでみましょう

シニア起業家は、若い人にはない経験や人脈を活かせる反面、それが足かせになる可能性もあります。時代の変化は早く、長年培ってきたノウハウだけでは対応できないことも多くでてくるでしょう。経験がある故に、その方法に固執すれば時代から取り残されてしまいます。

年齢を重ねた分、一度、自分の経験や立場をリセットしたうえで、何が活かせて、何が足りないのか考える冷静さが必要です。最新技術や情報、マーケティングなどに目を光らせ、常に勉強することは大切ですね。
 

ポイント 成功の秘訣はナンバーワンでなくオンリーワン

成功事例から学んでみましょう

ナンバーワン
 

上記の3人の軌跡をたどってゆくと、フランチャイズ、インターネット生命保険、24時間営業の不動産屋など、経験に縛られることなく、誰もやらなかったことを自分なりの方法で目指しています。

もちろん新しいアイディアに挑戦できるのも、旨すぎるチキンレシピや生命保険会社での経験、80歳にして取得した資格など、自分の強みを生かした土壌をしっかりと耕しているからこそ。新しい種も芽吹くのです。

ナンバーワンではなく、オンリーワン。それこそが、若い人に比べて年齢という時間が限られているシニア起業家が目指す、ひとつの姿なのかもしれません。
 

記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一

起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全10冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。