記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「何から始めたらいいですか?」という問い合わせが、起業18フォーラムには毎月たくさん届きます。じっくり話を聞いていくと、多くの方が「すでに相当勉強している」のです。セミナーに何度も行き、書籍も10冊以上読んでいる。にもかかわらず、1円も収入が出ていないと言います。
これは「知識不足」の問題ではありません。もっと根本的なところで、準備の仕方がズレているのです。
「準備している」のに動けない人のパターン

中小企業庁が公表した「中小企業白書」(2002年版)によると、個人事業主の廃業率は開業後1年目で約37.7%、3年目には約62.4%に達します。この数字を見て「準備が足りなかったから廃業したのでは」と思う人がいます。しかし私のこれまでの起業支援の経験では、「準備しすぎて動けなかった人」もこの廃業率の中に含まれています。準備に費やした時間とお金が、実際の行動を遅らせてしまったケースです。
具体的にはどういう状態でしょうか。起業を志した直後、多くの人は「もっと知識をつけなければ」と感じます。そこでセミナーに参加し、マーケティングの本を読み、YouTubeで先輩起業家の話を聞く。これ自体は悪くありません。問題は、それだけが「準備」だと思ってしまうことです。
- セミナー費用に年間数十万円を使っているが収入はゼロ
- 「もう少し勉強してから行動する」と言い続けて半年以上が経過
- 知識は豊富だが、誰に何をいくらで提供するかが決まっていない
- 起業仲間が増えたが、そのほとんどが同じ「準備中」の人
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』にも書いたのですが、私はこの状態を「起業難民」と呼んでいます。特に「セミナー難民」と「交流会難民」の2タイプが多く、共通しているのは「知識(知)は豊富だが、人脈(人)と行動実績(金)が育っていないこと」です。
起業は「知・人・金」の3つを同時に動かすもの

起業準備を「知識の習得」だけに集中させてしまう理由は明確です。知識を集めることは「安全」で「評価されやすい」行動だからです。セミナーに行けば「学んでいる」という実感が得られます。でも実際に見込み客に声をかけたり、最初の商品をつくったりする行動は、失敗のリスクがあるため後回しになりやすいのです。
「知」「人」「金」の3チカラとは何か
私はこれまで26年以上の支援経験を通じて、うまくいく会社員起業家に共通する特徴を整理してきました。それが「知・人・金の3種のチカラ」です。
- 知チカラ:起業に必要な知識・スキル・経験の蓄積
- 人チカラ:見込み客・協力者・紹介者などの人脈と信頼関係
- 金チカラ:最初の収入を生み出すための行動実績と資金感覚
この3つは独立して育てられるものではなく、並行して動かすことで初めて「起業準備」として機能します。知識だけを積み上げても、人脈がなければ最初の顧客を見つける術がありません。人脈があっても提供できる価値が曖昧なら成約に至りません。そして行動実績がなければ「本当に起業できるのか」という自信の根拠が育たないのです。
情報収集は「準備」の一部であり、準備全体ではありません。この認識のズレが、動けない状態を長期化させる最大の原因です。
実例:Fさんが「セミナー難民」から抜け出したきっかけ

起業18フォーラム会員のFさん(仮名)は、大手部品メーカーに勤める45歳の営業部長でした。月収38万円で、子ども2人の家族を養いながら起業準備を始めたのは3年ほど前のことです。
最初の1年半、Fさんはセミナーに通い続けていました。マーケティング、ライティング、SNS活用法、ブランディング…。月に2〜3万円、年間30万円以上を学びに投じましたが、収入はゼロのままでした。「もう少し勉強してから動こう」が口癖になっていました。
転機は、フォーラムでのやりとりの中で「今月、1人だけに声をかけてみてください」と言われたことです。知り合いのなかで「業務改善に悩んでいそうな中小企業の経営者」に、仕事帰りに連絡を入れました。話を聞いてもらえ、試しに1回だけ相談に乗ったところ、数千円の謝礼が発生しました。
「初めてお金をもらった瞬間、世界が変わった気がしました」とFさんは後に話してくれました。そこから勉強の仕方も変わりました。実際の課題から学ぶほうが、セミナーより何倍も身につくと気づいたからです。9ヶ月目には月3件の顧客、12ヶ月目には月収8万円の起業準備収入が安定して出るようになりました。現在は会社員を続けながら、年間100万円超の収入を起業事業から得ています。
「人」と「金」を動かすために今日できること

セミナー難民から抜け出すための方法は、難しくありません。ただ、「勉強する量」を増やすのではなく、「声をかける人数」を増やすことです。
- 今月中に、自分のサービスを話せそうな知人を3人リストアップする
- そのうち1人に「相談に乗ってほしい、話を聞いてほしい」と連絡する
- モニター価格でいいので、お金の発生する関係を1件つくる
この3ステップは、「知チカラ」がゼロでも始められます。いや、正確には「動きながら知チカラを育てる」ほうが、学習の定着率も速度も圧倒的に高いのです。
起業の成功率を上げたいなら、「もっと勉強してから」ではなく、「まず声をかけてから考える」という順番に切り替えてください。今夜、スマートフォンの連絡先リストを開いて、「この人なら話を聞いてくれそう」という人の名前を3人だけ書き出してみてください。それが「人チカラ」を育てる最初の一歩です。

知識は「使うとき」に価値が出ます。積んでおくだけでは、廃業率の統計のなかに入っていくだけです。まず動く。それだけが、景色を変えます。
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