Etsyの始め方|日本から海外へ作品を出す前に決める一点集中の考え方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

趣味でつくった作品が、国内のマーケットでは数あるショップのひとつとして埋もれてしまう。そんな相談を、起業18フォーラムでも何度か受けてきました。先日も「日本では似た作品が多すぎて、自分のものが沈んでしまう。海外なら違うのでしょうか」という声がありました。

結論を急がず、まずひとつだけお伝えします。海外向けにつくり手が作品を出せるEtsy(エッツィー)という場所では、フォロワーが少ないうちに動き出すほうが、かえって手応えをつかみやすいのです。これは集客の世界でいま実際に起きている逆転です。

この記事では、日本からEtsyに作品を出す全体像と、最初の一歩を整理していきます。海外という別の土俵に立つだけで、国内で埋もれていた作品が選ばれる理由を持ち始めることがあります。

ポイント Etsyを起業準備に活かす全体像

海外という別の土俵に作品を出すという発想の整理

ハンドメイド

Etsyは、手づくりの作品やビンテージ品、クラフト素材を世界に向けて出せるマーケットプレイスです。買い手の多くが海外にいるため、日本国内のマーケットとは集まる人の層が違います。国内で似た作品に埋もれてしまうものでも、海外という別の土俵では「日本らしさ」そのものが選ばれる理由になることがあります。

この「土俵を変える」という発想を、もう少し言葉にしておきます。拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』では、好きなことを強みに育てる段階で「小さな世界で一番になる」という考え方を紹介しています。日本一を目指すのではなく、東京一、千代田区一と絞り込んでいく。その絞り込みの一点を「海外」に置くのがEtsyだと考えると、全体像がつかみやすくなります。

越境ECの市場そのものも広がっています。経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」(令和7年8月26日公表)によると、日本の消費者が米国・中国の事業者から買う越境BtoC-ECの購入規模は4,410億円。逆方向では、中国の消費者が日本の事業者から買った金額が2兆6,372億円に達しています。

国境をまたいで作品が売れること自体は、もう特別な話ではなくなってきました。だからこそ、海外という土俵を最初から視野に入れておく意味があります。

ポイント Etsyの手数料と仕組みを先に押さえる

海外向けでも費用の仕組みはシンプルだという整理

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海外向けと聞くと身構える方が多いのですが、費用の仕組みは思ったよりシンプルです。Etsyの公式ポリシーによると、出品料は1点あたり0.20ドル(USD)、リスティングは4カ月後に期限切れとなり、期限前に売れた場合はその時点で終了します。売れたときには取引手数料がかかり、これに決済処理の手数料が加わります。

手数料率は改定されることがあるため、登録の前にEtsy公式ヘルプの最新の料率を必ず確認してください。数字を記憶や人づての情報で判断せず、公式の現行値を一度自分の目で見ておくことが、最初のつまずきを防ぎます。なお、本記事執筆時点(2025年)の取引手数料は表示価格と送料の合計に対して6.5%、日本の銀行口座をお持ちの出品者の決済処理手数料は6.0%+0.30ドルとなっています。いずれも変更される可能性があるため、登録前に必ず公式ヘルプで現行値をご確認ください。

登録の前に確認しておきたい費用の3点
  • 出品料:
    1点を出すごとに0.20ドル(USD)。リスティングは4カ月後に期限切れ、または売れた時点で終了します
  • 取引手数料:
    作品が売れたときに表示価格と送料の合計に対してかかります(本記事執筆時点で6.5%)。料率は公式ヘルプで最新を確認してください
  • 決済処理手数料:
    売れたときに決済処理分が別途かかります。日本の銀行口座の場合は本記事執筆時点で6.0%+0.30ドル。こちらも公式の現行値を確認してください

注目してほしいのは、出品の初期費用が小さいことです。1点0.20ドルなら、最初に何点か並べて反応を見るという動き方が現実的になります。在庫を大量に抱える物販とは違い、小さく試しながら手応えを確かめられます。

ポイント 英語が苦手でも始められるのか

言葉の壁より伝える中身を絞ることが先という整理

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「海外向けなら英語が完璧でないと無理では」と感じる方は多いと思います。実際のところ、商品説明やメッセージのやり取りは翻訳ツールで下書きを作り、定型のフレーズを整えていく形で動き出している方が大半です。最初から流ちょうな英語が必要なわけではありません。

むしろ大切なのは、言葉の量より「何屋さんなのか」が一目で伝わることです。作品の写真と、誰のためのどんな作品かという一行が、長い英文よりも先に買い手の判断を決めます。言語の壁を理由に立ち止まるより、伝える中身を絞るほうに力を向けたほうが前に進みます。

ポイント 海外向けに作品を出して成果が出る人の共通点

手応えをつかむ人に共通する3つの動き方の整理

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26年の起業支援の現場で、プラットフォームに作品を出す方を数多く見てきました。海外向けという土俵で手応えをつかむ方には、いくつか共通する動き方があります。

海外で手応えをつかむ人の3つの共通点
  • つくる範囲を一点に絞る:
    好きなこと全部を出そうとせず、海外で求められそうな一種類に絞り込んでいる
  • 写真で世界観を伝える:
    説明文の前に、写真だけで「どんな作品か」が伝わる状態をつくっている
  • 反応を記録して次に回す:
    売れた一点、見られた一点の理由をメモし、次の出品の仮説に変えている

この3つに共通するのは、最初から完璧をそろえようとしていない点です。拙著では「20点取れたら進め」という考え方を紹介していますが、海外向けの作品づくりでも、まず出してから直していく姿勢が成果につながっています。

ポイント 会員さんの実例(宇田川さんのケース)

国内で埋もれた作品が海外で定着するまでの歩み

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起業18フォーラムにいた宇田川さん(仮名・34歳・メーカーで商品企画を担当・趣味でアクセサリーを制作)は、はじめ国内のマーケットに自己流で作品を並べていました。似たデザインのショップが多く、半年ほど出し続けても反応はほとんどありません。価格を下げてみても結果は変わらず、続ける気力が削られていきました。

転機は、思いがけない反応からでした。試しに英語タグを付けて出した一点に、海外のアカウントから「この素材は何か」という問い合わせが届いたのです。国内では沈んでいた作品が、別の土俵では目を留めてもらえる。その手応えをきっかけに、起業18フォーラムに参加しました。

勉強会で出会ったのが、好きなことの一部分を「海外という一点」に絞り込むという考え方でした。宇田川さんは、つくっていた数種類のうち、海外で関心を持たれた和素材のアクセサリー一種類にラインを絞り込みます。商品写真を撮り直し、説明は「誰のためのどんな作品か」を一行で言い切る形に整えました。

出品から半年が過ぎたころ、最初に問い合わせをくれた海外の買い手が再び注文をくれました。さらにその人がレビューで紹介してくれたことから、同じ国の買い手が少しずつ増えていきます。現在は18カ月目で、海外のリピーターが定着し、月に数件の継続的な注文が入る状態になりました。

売上の大きさより、海外の常連さんが顔の見える関係で買い続けてくれること。それが、いちばんの変化だと話してくれました。

ポイント Etsyと組み合わせると手応えが増す3つの行動

出した作品を海外の買い手に見つけてもらう補い方

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Etsy単体で動くより、いくつかの行動を重ねるほうが海外の買い手とつながりやすくなります。落とし穴を避けるためというより、出した作品を見つけてもらうための補い方です。

海外の買い手につながる3つの補い方
  • 禁止商品を先に確認する:
    出せる作品の範囲を、登録より前に公式ヘルプで確かめておく
  • 写真を世界観でそろえる:
    一点ごとにバラバラにせず、ショップ全体で同じ空気感を出す
  • レビューを次の縁に変える:
    買ってくれた一人に丁寧に向き合い、その声を次の買い手への入り口にする

3つ目のレビューは特に効きます。宇田川さんのケースでも、最初の海外リピーターのひと言が次の買い手を連れてきました。海外という遠い土俵でも、つながりは一人から広がっていきます。

作品を売る場所は、地元やコミュニティの中だけではありません。海外も含めて全世界を相手にする道も、いまは十分に現実的な選択肢のひとつです。国内で埋もれてしまうと感じている作品ほど、土俵を変えると見える景色が変わることがあります。

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いきなり登録して全部を整える必要はありません。今日できることは、出品を考えているEtsyの「禁止商品」と「出品手数料」のヘルプページを、登録の前に一度だけ見ておくことだけで十分です。出せる範囲と費用の現行値が分かれば、海外という一点に好きなことの一部分を絞って置く準備が、今日の一回の確認から始められます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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