記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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エアコンの分解クリーニングが得意で、休みの日にくらしのマーケットへ出店してみた。でも隣の業者がもう少し安い金額を出してきて、気づけばその価格に合わせるばかり。働いた割に手元にはほとんど残らず、これは何のためにやっているのだろう。そんな声を、時々お聞きします。
出張や訪問の現場サービスは、オンライン完結の仕事とは少し別の入口の作り方があります。今日はその設計を順番に見ていきましょう。
くらしのマーケットを起業準備に活かす全体像

くらしのマーケット(みんなのマーケット株式会社が運営)は、ハウスクリーニングや不用品回収、エアコン掃除といった出張・訪問サービスと、それを頼みたいお客様をつなぐマッチングの場です。2025年時点でカテゴリは400種類以上、累計の出店者は10万店を超える規模になっています。
費用の面では、初期の登録料や出店料、月額の固定費、解約料はかからず、お客様との予約が確定したときに手数料が発生する仕組みです。手数料率や最低手数料はカテゴリや時期で変わる可能性があるため、出店前に必ず公式の最新情報を確認してください。在庫を抱える物販と違い、予約が決まってから費用が発生するので、勤めながら小さく試すには始めやすい場所です。
ここで大事なのは、現場サービスは「お客様と実際に顔を合わせる仕事」だという点です。オンラインで完結する発信や相談とは違い、最後はあなたの作業や対応そのものが評価されます。だからこそ、出店ページの作り方と、現場での見せ方を一本の線でつなぐ設計が効いてきます。
向いている人・向いていない人

くらしのマーケットでの出店が向いているかどうかは、サービスの良し悪しではなく、あなたの経験との相性で考えると整理しやすくなります。
- 向いている人:
本業で設備・清掃・機器の扱いなど現場の経験があり、人と直接会って話すことに抵抗が少ない方 - 向いている人:
平日夜や週末にまとまった作業時間を取れて、移動を含めた段取りを組める方 - 慎重に考えたい人:
対面でのやり取りそのものが大きな負担で、現場での会話を続けるのがつらい方
向き不向きは固定されたものではありません。人と会うのが得意でなくても、作業の正確さと丁寧な事前連絡で信頼を積んでいる方はたくさんいます。自分の本業のどの経験が現場で活きるかを紙に書き出してから、出店カテゴリを選んでみてください。
総務省統計局「労働力調査(2025年平均)」では、雇用者数は6,185万人と公表されています。これだけの人が日々どこかの現場で専門の経験を積んでいるわけで、勤めながら準備する人にとっては、その積み重ねがそのまま元手になります。本業で身につけた現場の知識を小さなサービスに変えられるのは、会社員という立場ならではの強みです。
「何屋さんとして覚えられているか」を設計する

出張サービスを始めた会社員が、いちばん多く陥る場所があります。最初の予約がなかなか入らず、不安になって価格を下げ、隣の業者がさらに下げ、また合わせる。この値下げ合戦に入り込むと、働くほど消耗していきます。
ここで効くのが、拙著『起業神100則』に出てくる「『何に詳しい人』と呼ばれているか?」という強み発見の考え方です。私たちはつい、自分が「何ができるか」を並べたくなります。でも、お客様の頭に残るのは「何ができる人か」ではなく「この人は何屋さんなのか」という一行の覚えられ方です。そこが曖昧なまま価格だけが前に出ると、選ぶ基準が金額しかなくなってしまいます。
たとえばエアコンクリーニングひとつ取っても、「安く早く掃除します」と書く人と、「空調設備の保守を本業にしてきた目線で、見えない内部の汚れまで点検します」と書く人では、覚えられ方がまるで違います。前者は価格で比べられ、後者は本業の経歴そのものが選ばれる理由になります。くらしのマーケットの出店ページは、この「呼ばれ方」を一行で言い切る場所として使うのが、最初の設計です。
会員さんの実例

起業18フォーラムの会員さんに、設備系メーカーの保守部門で働く40代前半の男性がいます。エアコンや空調設備にずっと携わってきた方で、その経験を活かそうとくらしのマーケットにエアコンクリーニングで出店しました。
ところが最初は、自己流で周りの最安値に価格を合わせ続けてしまい、3ヶ月たっても予約はほぼ入りませんでした。働いても手元には月に数千円。「結局いちばん安い人が選ばれるだけだ」とあきらめかけていた頃に、勉強会へ参加されました。
そこで勉強会で見つめ直したのが、まさに「自分は何屋さんとして覚えられたいか」でした。彼の看板は「安いエアコン掃除屋」ではなく、「空調設備の保守を本業にしてきた点検の専門家」だったはずです。出店ページの一行目を価格訴求から経歴訴求に書き換え、作業後に内部の状態を写真付きで説明する一手間を全予約で徹底してもらいました。
すると、価格で選ばれていたお客様とは別の層が動き始めます。予約が安定したのは12ヶ月目、月収が9万2,000円ほどに乗ったのが18ヶ月目でした。今は最安値ではないのに指名予約とリピーターが中心で、年間のレビューは58件まで積み上がっています。値段を下げる代わりに「何屋さんか」を一本化したことが、彼の現場を変えた分岐点でした。
出店の効果を倍にする3つの行動

出店ページを整えたら、現場での動きを少しずつ足していくと、次の予約につながりやすくなります。落とし穴ではなく、信用を補い合う行動として組み立ててみてください。
- 作業前後の写真を必ず残す:
ビフォーアフターと内部の状態を撮って説明に添える。専門性が目に見える形になる - レビューを丁寧にお願いする:
作業後にお礼を伝え、感想を一言いただけるよう自然に声をかける。最初の数件が看板になる - 本業の言葉で書き換える:
プロフィールを「できること一覧」から「本業で何を見てきたか」に直し、現場の説明とそろえる
3つに共通するのは、どれも「あなたが何屋さんか」を現場で証明していく動きだということです。いきなり全部をやろうとせず、まずは作業前後の写真を残すことから始めてみてください。写真は、言葉より早くあなたの仕事ぶりを伝えてくれます。
拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』でも取り上げましたが、最初のお客様はたった一人でよく、その一人を徹底して満足させれば9割うまくいきます。現場サービスは、まさにこの一人を大切にする積み重ねが、そのまま次の予約を連れてくる仕事です。

出張や訪問の仕事は、最後はあなた自身が現場で会う仕事です。だからこそ、価格で薄まってしまう前に「何屋さんとして覚えられたいか」を一行で決めておくと、同じ作業でも見える景色が変わってきます。顔の見える信用は、一度積み上がると、あなたが思うよりずっと長くあなたを支えてくれます。
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