記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
40代後半の会社員です。3年前から起業セミナーや動画講座にこまめに通っていますが、自分が売る商品が一向に固まりません。セミナーに行くたびに新しい手法に出会い、ノートのページは増えるのに、知人にも何も提案できないままです。学びを商品に変える順番はどうすれば良いのでしょうか?

● 回答
「セミナーや動画講座にここ3年熱心に通っていますが、自分が売る商品が一向に固まりません」という相談が、起業18フォーラムには毎月のように届きます。実は私自身も会社員時代、書店の起業本コーナーと外部講座を回り続けて、肝心の最初の1人に提案する勇気だけが育たないままだった時期があります。学びは行動の代わりにはなりません。学びは「目の前の1人」に当てて初めて、知識から商品になります。
セミナーで止まる人に共通する一つの構造
40代後半の方に多いのは、自分の経験を商品にしていいのかという疑念から、まず「足りないところを埋めよう」と外部講座に出かけ続けるパターンです。財務会計、マーケティング、SNS運用、生成AI活用と新しい分野が次々と現れるので、ノートは増えるのに「私の商品」は一行も書かれません。これは学習意欲が高いがゆえに起きる現象で、まじめな性格ほど陥りやすい構造です。
拙著『起業神100則』に「学びは行動の前ではなく、行動の横に置く」という考え方があります。手を動かしてから、必要なところを学びに行く順序にすると、ノートの内容が「明日試すこと」に変わります。
セミナー参加前に決めておく1つの問い
次にセミナーや講座に申し込む前に、ノートの一番上にこの問いを書いてみてください。「ここで聞いたことを、今週末、誰の何のために試すか」。たったこれだけです。受講前に答える相手と試す内容が決まっていれば、講師の話の中で自分に必要な1文を選ぶフィルターが働きます。
パーソル総合研究所が2025年10月に発表した働き方に関する定量調査では、正社員の会社外活動の実施率は11.0%と過去最高に達しています。一方で会社外活動時間の平均は月23.0時間、本業残業との合計が月45時間超の方が全体の約3割という過重労働の論点も示されています。学びに時間を投下し続けるなら、その分の睡眠や家族時間が削られていきます。学習過剰は、生活コストの面でも見過ごせません。
学びを商品に変える3ステップ
具体的な順序を示しておきます。今週末から始められる範囲です。
- これまで参加した講座から1つだけ選ぶ:
3年分のノートを1冊だけ開き、自分に一番響いた手法を1つに絞り込む - 知人1人に試す相手を決める:
SNSの発信ではなく、信頼関係のある1人に「これを試してみたい」と連絡を取る - 30分の壁打ちを実施し感想をノートに残す:
完成度の高い商品より、相手の反応から見える「次に必要な学び」を記録する
この3ステップを実施すると、不思議なことに「あと1冊買えば」「次のセミナーで」という気持ちが消えます。1人の反応に当てて初めて、自分が本当に学ぶべきテーマが3年分のノートから浮かび上がってきます。
起業セミナーに通う行為自体は悪くありません。ただ、その目的を「商品を完成させるための情報収集」から「目の前の1人に試した結果を補強する材料集め」に置き換えるだけで、ノートの中身が今週の予定表に変わっていきます。
セミナージプシーから抜けるのに、新しい講座は必要ありません。今夜、過去のノートを1冊だけ開いて、その中から「明日、誰に試すか」を1行書き出してください。書いた瞬間に、来月の起業準備は静かに動き始めます。
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