会社員が起業前に確認すべき10項目チェックリスト

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

会社員のまま起業準備を始めたいと思ったとき、最初の一歩を何にするかで、その後の半年が大きく変わります。多くの方は屋号決定や名刺作成、セミナー申込から動き出しますが、本当に確認すべきは「誰のために何をするか」を含めた10項目の土台です。準備不足のまま走り出すと、後から方向修正するコストが当初の確認コストの10倍以上に膨らみます。

本記事では、起業18フォーラムが体系化した起業前の確認10項目に加え、確認の手前で動けなくなる心理ブロック3種、実際にチェックで方向転換した会員さんの実例まで具体的にご紹介します。

ポイント 「準備不足のまま走り出す」が最大の失敗原因

走り出す前に確認しないと、準備のほとんどが無駄になる

起業18勉強会

起業を思い立ったとき、多くの会社員は「何かを始めなければ」という焦りから先に動いてしまいます。セミナーへの申込、名刺の作成、屋号の登録……。でも実は、そういった「動き」のほとんどが、確認すべき土台がないまま進めた結果、無駄になってしまうケースが多いのです。

26年間・延べ60,000人の起業準備相談を受けてきた中で、あらいはじめが最も多く目にするのが「リストもなく走り出して、途中で立ち往生する会社員」の姿です。今回は、起業準備を始める前に必ず確認してほしい10項目を整理しました。

ポイント なぜ「10項目の事前確認」が起業の成否を分けるのか

設計なき起業準備は、後から10倍のコストがかかる

ミートアップ!

動く前に「設計」があるかどうかで、その後の半年が変わる

起業18フォーラムのセミナーに来られる参加者の約8割は「完全にこれから」の皆さまですが、2割くらいの方は「すでに何かを始めたけれど、うまくいっていない」という状態で訪れます。話を聞くと、ほぼ共通して「最初に自分の状況を整理できていなかった」という点が浮かび上がります。

起業準備は「勢い」ではなく「設計」です。事前に確認するだけで、後の労力が大きく変わります。

起業準備の成否は、動き出す「前」にほぼ決まっている。

  • 会社員時代に起業で失敗した人の共通点は「なんとなく動き出した」こと
  • ツール・サービス・屋号より先に「誰のために何をするか」が決まっていない
  • 走り出した後に方向修正するコストは、最初に確認するコストの10倍以上になる

ポイント 起業準備を始める前に確認すべき10項目

答えられない項目が、今すぐ取り組むべき自分の弱点

起業18勉強会

1つでも答えられない項目があれば、そこが「今の弱点」

以下の10項目は、あらいはじめが26年間の支援経験から体系化した「起業準備の土台チェックリスト」です。会社を辞める前でも、在職中に少しずつ準備を進める段階でも、必ず最初に確認してください。

  • 「誰の、どんな悩みを解決するか」が言語化できているか
  • その悩みを持つ人が実際に存在し、お金を払う意志があるか
  • 競合となるサービス・個人がどのくらい存在するか把握しているか
  • 自分の「強み・経験・実績」を3つ以上挙げられるか
  • 最初の売上を得るまでに必要な「最低限の資金と期間」を試算しているか
  • 会社の就業規則・競業避止義務に問題がないか確認しているか
  • 家族(パートナー)に起業準備の意向を話し、理解を得ているか
  • 「最初の1人目のお客様」が誰かをイメージできているか
  • 起業準備のために使える「週◯時間」を確保できる見通しがあるか
  • 半年後・1年後の「なりたい状態」を具体的にイメージできているか

10項目すべてに答えられる状態になれば、起業準備は「走り出せる段階」に入っています。

ポイント 実例紹介:起業18会員の「10項目確認」による変化

方向修正1つで、動き出しのスピードが劇的に変わった

新井一

方向性を1つ変えるだけで、動き出しのスピードが劇的に変わった

起業18フォーラムでは、起業を進めながら、随時このようなチェックリストを用いた状況確認を行っていきます。確認することで準備の方向性が大きく変わった事例を紹介します。

会社員歴15年・製造業勤務のAさん(43歳・男性)は、最初「ネットショップで雑貨販売」を考えていました。しかし10項目を確認した結果、項目①②③のどれも答えられない状態だと判明しました。方向性を見直した結果、15年間の「工場の現場改善経験」を活かした中小企業向けコンサルタントとして再スタートを切ったのです。

  • 知:15年間の現場改善ノウハウが「市場で評価される専門知識」だと気づいた
  • 人:職場の同期や協力会社の担当者が、最初のお客様候補になると判明した
  • 金:セミナー等への投資ゼロのまま、相談ベースで最初の売上30万円を達成した

ポイント 次のステップ:あなたの「10項目」を一緒に確認しましょう

弱点が分かれば、次に何をすべきかが自然に見えてくる

起業18

10項目のうち、1つでも「答えられない」と感じた項目があれば、そこが「今の起業準備の弱点」です。弱点が分かれば、何をすればいいかも自然と見えてきます。

ただし、項目への答え方は「個人の状況」によって大きく異なります。同じ「強みが言語化できない」でも、会社員歴5年と20年では、アプローチがまったく違います。

ポイント 10項目チェックを止める「メンタルブロック3種」

確認の手前で止まる心理パターン

10項目を確認する手前で動けなくなる方には、共通する3つの心理ブロックがあります。
拙著『起業神100則』にも書いているのですが、メンタルブロックは「資金」「資格」「実績」の3種類に集約されます。これを自覚しないまま10項目を眺めても、答えを書こうとした手が止まります。

ブロック1:資金不足ブロック

「お金が足りないから動けない」という思考は典型的な停止理由です。10項目の⑤「最低限の資金と期間」に答えられない方の多くは、開業資金100万円を必須と思い込んでいます。実際には10万円未満でスタートする会員さんも多数います。

ブロック2:資格不足ブロック

「資格がないから自分には無理」という思考。起業準備で必須の国家資格は、士業・医療・建設・運送など限定的な業種だけです。多くのサービス業・物販・コンサルでは資格は不要です。

ブロック3:実績不足ブロック

「実績がないから始められない」という思考。最初の1件は、誰にとっても実績ゼロから生まれます。10項目の④「強み・経験・実績3つ」が書けない方の8割は、会社業務を「実績」として認識していないだけです。

  • 資金不足ブロック:開業資金100万円必須の思い込み
  • 資格不足ブロック:国家資格が必要だと誤解
  • 実績不足ブロック:会社業務を実績と認識しない

ポイント 事前確認なしで動いた人のその後

統計が示す準備不足の代償

日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」では、開業前に事業計画を「文書化していなかった」起業家ほど、開業後の継続率が低い傾向が報告されています。
具体的には、開業時に「販売先・取引先の見通し」を立てていなかった層の3割近くが、開業から3年以内に事業を縮小または休業しています(同調査・2024年集計分)。

10項目チェックは「事業計画の最小単位」

本格的な事業計画書まで書く必要はありません。10項目への回答が、最小限の事業計画として機能します。「文書化された10項目」を持っているだけで、判断のブレと方向修正コストが大幅に下がります。

中小企業白書が示す「準備期間と成功率」

中小企業庁「2024年版中小企業白書」では、開業準備期間が「6ヶ月以上」の起業家ほど、開業後の月次収益が安定しやすい傾向が報告されています。焦って動くより、6ヶ月かけて10項目を一つずつ言語化する方が、結果的に最短ルートになります。

ポイント 実例:Iさん(37歳・経理職)が10項目チェックで方向転換した過程

チェックで分かった本当の弱点

会員さんで、10項目チェックの結果から大きな方向転換をされたのが、上場メーカーの経理部で12年間勤務されているIさん(37歳・女性)です。
最初は自己流で「経理代行サービス」での起業準備を始めていたのですが、半年経ってもクライアント獲得ゼロの状態が続いていました。

転機になったのは、起業18フォーラムの勉強会で10項目チェックを行った瞬間でした。項目①「誰の、どんな悩みを解決するか」と項目②「お金を払う意志があるか」の2つに、ほぼ答えられないと判明したのです。「経理代行が必要な人」は漠然と思い浮かべていたものの、実在の顧客像と価格決定者を特定できていませんでした。

勉強会で学んだ後、Iさんは2週間かけて項目①〜⑩を一つずつ書き直し、ターゲットを「個人事業主のうち会計ソフトを未導入で年商500万円未満の方」に絞り込まれました。サービス内容も「クラウド会計導入支援+年次決算サポート」に転換し、価格設定も明確化されました。

転換から2ヶ月後にはクラウド会計導入を希望する個人事業主からの初契約(顧問料月15,000円)を獲得され、現在は同様のクライアントを7件抱えながら月収10万円超を確保されています。本業はそのまま続けながら、年内に月収20万円を目標に活動を続けておられます。

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ポイント チェックリスト活用に関するよくある質問

10項目チェックの実務Q&A集

起業前質問集

Q.10項目すべてに完璧に答えられないと起業準備を始められませんか?

  • 完璧でなくても可・項目への回答精度は走りながら高めるもの
  • 項目①②③が答えられないなら、まずそこから着手

10項目は順次答えていくものです。すべて答えられる完璧な状態を待っていると、いつまでも動き出せません。優先度の高い項目①〜③(誰の悩みを解決するか/顧客は実在するか/競合把握)の3つから取り組めば、残りは進めながら埋まっていきます。

Q.10項目チェックは何ヶ月ごとに見直すべきですか?

  • 準備中は月1回・開業後は四半期に1回
  • 方向転換のタイミングが見える

会社員のまま起業準備をしている期間は月1回、開業後は3ヶ月に1回の見直しを推奨します。10項目への答えが少しずつ変化していくこと自体が、自分の事業観の成熟度を可視化する材料になります。

Q.10項目チェックを家族や周囲に共有すべきですか?

  • 項目⑦の家族説明には全項目を共有
  • 同僚・友人には完成形のみ共有

項目⑦「家族の理解」のためには、10項目を共有して同じ言葉で会話できる状態にする方が後の支援を得やすくなります。一方、同僚・友人には漠然と話す方が、就業規則上のリスクを下げられます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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