起業準備の収入が本業の何割になったら、独立を考えていい?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

会社員をしながら起業準備を進めていて、少しずつですが収入も出てきました。ただ、いつ独立に踏み切ればいいのかがわかりません。

本業の収入と比べて、準備で得ている収入がどれくらいの規模になったら、独立を本気で考えていいものなのでしょうか? 金額の絶対額より、本業の何割という目安があれば知りたいです。

起業前質問集

● 回答

独立のタイミングは、踏み切る勇気の問題に見えて、実は「不安を分けて整理できているか」の問題です。漠然と怖いまま決めようとすると、いつまでも踏み出せません。まずは、その不安を具体的な項目に分けてみましょう。

独立への不安を三つに分けてみる

独立をためらう気持ちの中身は、たいてい三つに分けられます。「収入が途絶える不安」「お客さんが続くかという不安」「周りにどう思われるかという不安」の三つです。このうち、自分でコントロールできるものから先に手をつけるのが、判断を前に進めるコツです。いま感じている独立への不安を、この三つのどれにあてはまるか、一度仕分けてみてください。

  • 収入の不安:
    本業比でどれくらいの規模になったかという、数字で測れる不安
  • 継続の不安:
    一度きりでなく、繰り返し依頼が来る形になっているかという不安
  • 周囲の不安:
    家族や同僚の理解という、自分では動かしにくい不安
「本業の何割」を一つの目安にする

収入の不安は数字で測れるぶん、いちばん扱いやすい不安です。一つの目安としてお伝えするなら、準備で得る収入が本業の手取りの半分を超え、しかもそれが単発でなく数ヶ月続いているなら、独立を具体的に検討してよい段階に入っています。逆に、本業の一割や二割で乱高下しているうちは、もう少し土台を固める時期です。割合と継続性、その両方を見るのが大切です。

ただ、規模より先に確かめてほしいことがあります。それは、あなたが「何に詳しい人」として認識されているか、です。拙著『起業神100則』では、強みとは資格や肩書きではなく、人から「何に詳しい人」と呼ばれているかで決まる、と紹介しています。本業比が十分でも、名指しで頼まれる理由が自分の中で言葉になっていないと、独立後に伸び悩みます。

では、この見極めを通って独立を判断した方の話をご紹介します。

起業18フォーラムにいた椎名さん(仮名・40代前半・女性・人材会社の法人営業・独身)は、週末に採用支援のアドバイスを請け負い、本業の三割ほどの収入を得ていました。数字は伸びていたものの、「この規模で辞めていいのか」と決め切れずにいたそうです。

潮目が変わったのは、講師からの一つの問いでした。起業18フォーラムの勉強会で「あなたは、お客さんから何の人として呼ばれていますか」と問い直され、椎名さんは言葉に詰まったそうです。自分が「採用全般の人」という、輪郭のない立ち位置で売っていた。その曖昧さに初めて向き合いました。

看板をどう絞ればいいかは、すでに独立していた先輩会員に何度か相談を重ねるなかで、「中小企業の初めての採用を伴走する人」という形に定まっていきました。

看板を絞って半年後、名指しの依頼が増えて準備収入は本業の六割を安定して占めるようになり、椎名さんは独立に踏み切りました。規模だけでなく「何の人か」が定まったことが、最後の決め手になったと話してくれました。

本業の半分を超え、継続し、しかも名指しで頼まれる理由が言葉になっている。この三つがそろえば、独立は怖い賭けではなく、地続きの一歩になります。今日は、自分の準備収入が本業の手取りの何割にあたるか、直近3ヶ月分をいちど計算してみてください。

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給料という土台が残っているうちは、収入が途絶える心配はありません。だからこそ、数字と継続を冷静に見ながら、焦らず自分のタイミングを選んで大丈夫です。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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