バー起業を考える前に知っておきたいこと|会社員が小さく始める正しい手順

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

自分のバーを持ちたい。いつかカウンターの向こう側に立ちたい。そう思いながら会社員を続けているバーテンダーさんや、お酒が好きで独立を考えている方からの相談は、起業18フォーラムでも年々増えています。

ただ、バー起業は想像よりも廃業しやすい分野です。2024年の飲食店倒産件数は過去最多を更新しており、なかでも酒場・ビヤホールが業態別で最も多いという現実があります。

この記事では、バーテンダー経験のある会社員さんが、最小限のリスクで自分のバーに近づくための道筋をお伝えします。

ポイント バーテンダー経験に眠る「名もなき強み」

バーの経験に眠る名もなき強みと起業の可能性

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バーで働いてきた人が口にしやすいのが「自分には大したスキルがない」という言葉です。でもこれは大きな誤解です。

拙著『起業神100則』にこんな言葉があります。自分では当たり前と感じている能力こそが、他の人には持っていないオリジナルの武器になります。バーテンダーの世界でいえば、それは次のような力です。

カウンターで自然と身についた3つの能力
  • 傾聴力:お客さんの話を引き出しながら、場を温かく保つ会話技術
  • 記憶力:顔と名前、好みのお酒や前回の話の内容を自然に覚える力
  • 場のコントロール:異なるタイプの客が混在する空間を穏やかに仕切る技術

この3つは、コーチングやコンサルティング、あるいはお酒にまつわる教育ビジネスにそのまま転用できます。バーで身につけてきたものを「バーの外でも売る」という発想が、起業の最初の足がかりになります。

起業18フォーラムの支援経験から言えば、バーテンダーさんが最も苦手とするのは「自分の経験をビジネスに翻訳する」という作業です。でも翻訳さえできれば、素材はすでに手の中にあります。

ポイント バー起業の前に直視すべきデータ

飲食店倒産データから逆算するバー起業準備

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起業への気持ちが固まってきたとき、まず見ておいてほしいデータがあります。

帝国データバンク「飲食店の倒産動向調査(2024年)」によると、2024年の飲食店倒産件数は894件で過去最多を更新しました。なかでも業態別で最も多かったのは「酒場・ビヤホール」の212件です。

これはバー起業をやめるべきだということではありません。「正しい手順で始めないと早期廃業しやすい業種だ」という認識を持ったうえで動き出してほしいのです。

「起業の3つのチェック」でアイデアを検証する

拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』では、ビジネスアイデアを起業前に3つの問いで検証することをお勧めしています。

「①一人で始められるか ②一人で続けられるか ③大きなお金がかからないか」という3つの問いです。

「店舗を借りて、従業員を雇って」という計画は、この3つのチェックを一気に外してしまいます。バー起業でうまくいっている人の多くは、まず間借り営業や週末限定のスタートでこの3つをクリアし、手応えをつかんでから規模を広げています。

ポイント 経験別に逆算するバー起業のアイデア

店を持つ前に試せるスタートアップ3パターン

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バー起業といっても、最初から店舗を構える必要はありません。

パターン1:間借りバーで「市場テスト」をする

既存の飲食店が休業している時間帯や、イベントスペースを借りて週末だけ営業する形です。初期費用を最小限に抑えながら始め、固定の常連客ができた段階で物件を探すことが、バー起業で生き残る鍵です。

起業18フォーラムの会員Aさん(38歳・IT系会社員)も、この方法で動き出しました。バーテンダーのアルバイト経験がある彼は、知り合いのカフェオーナーに声をかけ、日曜夜だけカウンターを間借りすることに成功しました。最初の2ヶ月は月15,000円ほどの売上でしたが、「シングルモルト専門」に絞り込んだことで口コミが広がり、4ヶ月目から常連客が10名以上定着しています。現在は独立物件を探している段階です。

パターン2:お酒の知識を「教える」ビジネスにする

ウイスキー、ワイン、クラフトビールなど、専門的な知識があるバーテンダーさんは、それ自体をコンテンツにすることができます。矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内外食市場規模は31兆2,411億円(前年比6.5%増)と成長を続けており、飲食に関連したコンテンツ需要も拡大傾向にあります。

  • ウイスキー・テイスティング講座(少人数制・有料)
  • お酒のペアリングを学ぶ料理教室とのコラボ企画
  • YouTubeやnoteでのお酒解説コンテンツ

いずれも店舗が不要で、初期費用を最小限に抑えられ、一人で始められます。

ポイント バー起業に多い失敗パターン

バーテンダー独立希望者が陥りやすい落とし穴

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バー起業に特有の失敗パターンを整理しておきます。

失敗①「立地さえよければ集客できる」という思い込み

繁華街の一等地に物件を見つけ、高い家賃を組み込んで事業計画を立てる。これがバー起業でいちばん多い失敗の入口です。日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」によると、全業種の開業費用の平均は985万円、資金調達額の平均は1,197万円です。立地が良いほど物件取得コストが膨らみ、その重さに耐えきれないまま閉店するケースが後を絶ちません。

  • 「場所がよければ売れる」という立地信仰による過大投資
  • 初期投資を回収する前に運転資金が底をつく
  • 会社員の給与収入をバー運営費に全投入して手元資金がなくなる
失敗②「もっとお金が貯まってから動く」という先送り

「資金が十分になったら動く」と待っているうちに、体力的・時間的な条件が変わっていきます。小さく動き出してお客さんの反応を集める期間こそが、最大の準備です。間借りや飲み会の幹事役から始めれば、資金がない段階でもノウハウを積むことはできます。

ポイント 最初の一歩をどこから踏み出すか

会社員のまま動き出す具体的な最初のステップ

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拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』に「ひとりのお客様をつかまえれば、起業の9割は成功したも同然」という考え方があります。バーという場所を持つ前に、自分のお酒の話を聞いてくれる人を1人見つけること。そこからすべてが動き始めます。

まずは周囲の人に「お酒の会を開きたい」と話してみてください。参加したいと言ってくれる人が数人いれば、最初のビジネスは成立します。

会社員として収入を守りながら、週末だけ動いてみてください。その積み重ねが、いつか自分のカウンターを持つための土台になります。バーを開くことがゴールでも、そこへたどり着く道は、もっと小さな一歩から始まります。

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起業18フォーラムでは、そういった最初の一歩を一緒に考えていきます。自分のバーへの道筋が見えていない方も、ぜひ一度立ち寄ってみてください。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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