記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
50代になり、長年勤めた地方銀行から保険代理店へ転職したばかりです。リテール営業でお客様の人生相談を受ける機会が多く、コーチング起業に進みたいと考え、認定コーチ資格の修了試験が来月に控えています。ただ、資格を取った後、本当に有料で相談に来てくれる人がいるのか不安です。
資格を取れば売れるという話と、資格があっても売れないという話の両方を聞きます。何から準備すべきでしょうか?

● 回答
コーチング起業で資格を取れば売れる、と思っていませんか。実は、資格と「選ばれる相談窓口」は別問題です。最初に作るのは肩書きではなく、相談前に相手に約束できる「何が、どう変わるか」という1行の文章です。
資格があっても売れない理由は、相談テーマが広すぎるから
厚生労働省のキャリアコンサルタント制度を例に取ると、国家資格として登録制度や更新制度が整備されています。けれど、資格保有者の中でも継続的に有料相談で食べていける人は限られているのが現実です。違いを作るのは、資格の有無ではなく、相談テーマを絞っているかどうかなのです。
拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』にも書いたのですが、一年目に必要なのは「広いテーマで多くの人を呼ぶ」ではなく、「狭いテーマで1人の悩みを完全に解く」発想でした。コーチングを「人生全般の相談」と打ち出すと、相手は誰に当たるか分からず、結局誰も予約してこないのです。
- 「人生」「キャリア」「メンタル」など範囲が広すぎるテーマで打ち出している
- 資格名(認定コーチ・キャリアコンサルタント等)を肩書きの主軸にしている
- 体験セッションが目的化し、本契約の前提条件を伝えていない
- 同業者と差別化するために、独自メソッドの名前作りに時間を使っている
「相談前の約束」を1行で書く方法
相談前の約束とは、相手が「この人なら相談していい」と判断する根拠になる1文です。テーマ・対象・変化の3要素で組み立てると、初対面でも伝わりやすくなります。具体的には「どんな立場の人が、どんな場面で困っていて、相談後にどう変わるか」を1行で書くのがコツです。
- 立場:転職前の40代管理職、子育てが落ち着いた主婦、副業を始めたい会社員、など限定する
- 場面:上司との対立、子育て後の再始動、副業と家庭の両立、など具体的な悩みを示す
- 変化:来月の1on1で言葉に詰まらない、来週のママ友会で自分の今後を話せる、など短期で起きる変化を書く
起業18フォーラム会員Nさんが資格より約束を先に決めた話
起業18フォーラム会員のNさん(仮名・53歳・男性・地方銀行25年から保険代理店へ転職12カ月目・中高生の子2人・週末で起業準備中)は、認定コーチ資格を取得した直後、毎月5万円かけて広告を出しても問い合わせがゼロでした。
テーマは「人生のキャリア相談」と幅広く打ち出していました。
転機は、勉強会で「過去に何度も相談された1場面を書き出す」課題に取り組んだ夜です。Nさんが20件書き出した相談はほぼ全部、「再雇用か独立か迷う50代の元金融機関社員」からの問いでした。
テーマを「再雇用か独立か迷う50代金融機関出身者の進路相談」に絞った翌月、知人経由で2件の有料相談が入り、半年後にはモニター12人・継続契約6人で月18万円に達しています。
今夜、過去5年で「相談されて感謝された1場面」を10件だけノートに書き出してみてください。共通項が見つかれば、それが資格より先に書ける「相談前の約束」の原型です。
資格は信用の補強。入口を作るのは具体的な約束
念のため言っておきますが、資格が無駄という話ではありません。資格は信用の後ろ盾として大切なものです。ただし、資格は入口を作る装置ではなく、信頼を裏付ける材料です。来月の修了試験までに、資格名を出さずに「誰の・どの場面で・どう変えるか」を1行で書く練習を、毎晩5分だけ続けてみてください。試験合格と同時に、最初の有料相談が動き出します。

コーチング起業は、自分の肩書きを磨く話ではなく、相手が「相談してよい」と思える根拠を見える形にする話です。資格より前に約束を書ければ、資格を取った瞬間が起業のスタートラインに重なります。
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