記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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「いつかは宮古島で暮らしたい」「会社員のままで、いつかこの島と関わる仕事をつくれないだろうか」。年に1度の旅行のたびに、そんな気持ちが強くなっていく方は少なくありません。ですが、いきなり退職して移住するのはハードルが高く、何から手をつけていいかわからないというのも本音だと思います。
この記事では、宮古島で起業準備を始めたい会社員に向けて、島のデータと支援制度、そして「会社員を続けながら関係人口として小さく始める」現実的な手順を整理していきます。
宮古島で起業する魅力と、押さえておきたい現実

島の規模感と観光ブームの最新データ
宮古島市の人口は約55,000人です。けっして大きな島ではありませんが、観光需要の厚みがあり、島外の人が継続的に関わる余地が大きい地域です。宮古島市の公表によれば、令和7年度の入域観光客数は1,263,397人で、令和6年度より70,526人増え、過去最高となりました。内訳は空路1,053,518人、海路209,879人です。さらに、宮古毎日新聞の報道では、令和6年度の観光収入は1,072億9,600万円に達し、初めて1,000億円を超えました。人口規模に対して非常に大きな人の流れと消費が動く島だと分かります。
アクセスと「通える島」になった事実

本土からの直行アクセス
宮古空港には羽田・関西・中部から直行便があり、みやこ下地島空港には羽田便があります。時期によっては神戸便や福岡便も運航します。羽田から宮古島方面までの所要時間はおおむね約3時間です。つまり宮古島は、「移住しないと関われない島」ではなく、「会社員のまま通いながら関係を育てられる島」になっています。ここが、宮古島で起業準備を考える前提としてとても大事です。
- 人口約55,000人と入域観光客126万人超の市場規模
- 羽田から約3時間の直行アクセス
- 令和6年度観光収入約1,073億円の消費規模
- 国境離島指定による支援制度
宮古島市の起業・移住支援制度(一次情報)

特定有人国境離島地域社会維持推進交付金(雇用機会拡充事業)
宮古島市は内閣府の特定有人国境離島地域に指定されており、雇用機会拡充事業の対象地域です。創業時は補助対象事業費の上限が600万円、設備投資を伴う事業拡大時は1,600万円が一つの目安です。設備費や改修費に加え、人件費、広告宣伝費、店舗等借入費などが対象になる公募もあります。UIターン人材の活用も視野に入れやすく、設備だけでなく運営面の資金計画も立てやすいのが特徴です。
宮古島市の特定創業支援等事業
宮古島市は国の認定を受けた創業支援等事業計画を持っており、宮古島商工会議所、宮古島市伊良部商工会、沖縄銀行、琉球銀行、沖縄海邦銀行などが連携支援機関になっています。宮古島商工会議所の経営指導員から、経営・財務・人材育成・販路拡大について1カ月以上、4回以上の継続支援を受けると、宮古島市から特定創業支援等事業の証明書を受け取れます。この証明書があると、株式会社設立時の登録免許税は最低15万円から7.5万円に軽減され、創業関連保証の特例も使いやすくなります。
沖縄県の創業者支援貸付
沖縄県には、県内で創業する人や創業後一定期間内の事業者向けに、創業者・事業承継支援資金(創業者支援貸付)があります。創業前の個人は類型によって自己資金20%または30%以上、特定創業支援等事業の証明を受けた場合や創業後1年未満の類型では10%以上が目安です。窓口は沖縄県産業振興公社、商工会、商工会議所などです。移住支援金の対象自治体や条件は年度ごとに変わるため、宮古島市を含むかどうかは申請年度の最新一覧を必ず確認してください。移住支援金ありきで資金計画を組むより、島内で自走できる売上計画を先に固めたほうが安全です。
- 雇用機会拡充事業の活用余地
- 特定創業支援証明による登録免許税軽減
- 自己資金要件付きの県制度融資
- 移住支援金を前提にしない資金設計
補助金や支援制度は、「何で食べていくか」が決まったあとに使う道具です。先に窓口へ行く前に、まず「宮古島で何を売る人なのか」を会社員のうちに1行で言える状態まで固めてください。
リモートワーク環境と「通って働ける」インフラ

島内の主なコワーキングスペース
宮古島は離島でありながら、光回線環境が整い、複数のコワーキングスペースが営業しています。たとえば、howlive宮古島店、宮古島ICT交流センター、MUGI など、ドロップインや個室利用に対応する施設があります。料金や営業日は変わるため利用前の公式確認は必要ですが、「会社員のまま島に通い、現地で作業しながら本業と並行で準備する」という働き方は十分現実的です。
会社員が宮古島で始めやすいビジネスの作り方

いきなり移住ではなく「関係人口」から始める
ターゲットの会社員にとって最大のリスクは、「島で何で食べていくか」が決まらないまま勤め先を辞めて移住することです。先に答えを言うと、いきなり移住するのではなく、「東京や大阪の会社員のままで関係人口として年に4〜6回通う」段階を1年〜1年半は挟むほうが現実的です。この期間に島の人と顔見知りになり、自分の本業スキルや会社員時代の経験を、島でどう価値に変えるかを試作できます。
島で需要を作りやすいビジネス4系統
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』では、「プロダクト・スキル・ノウハウ・スペース」という4系統で事業を整理する考え方をお伝えしています。宮古島でも、この整理は役立ちます。
- プロダクト系の島産品企画
- 観光事業者向けのスキル提供
- 関係人口づくりの情報発信
- 小規模イベント拠点の運営構想
会社員の本業スキルがそのまま島で価値になる、というのは見落とされがちなポイントです。観光客は126万人を超えている一方で、島の小規模事業者の中には、予約導線やSNS運用、広告運用まで手が回らないところもあります。都市部でWebマーケ、経理、人事、SEの実務を積んだ会社員は、そのまま島の事業者の支援役になれます。
起業18フォーラム会員さんの実例

起業18フォーラムにいた照屋さん(仮名・30代後半・男性・Webマーケティング職・既婚で子1人)は、年に1回宮古島に旅行で通ううちに、「いつかこの島と仕事でつながりたい」と思うようになり、「何から始めればいいか正直わからない」状態でフォーラムに参加されました。
最初に勉強会で出会ったのが、「会社員のまま朝晩30分から始める」という考え方と、「いきなり移住せず、関係人口として通う段階を挟む」という整理だったそうです。照屋さんが選んだのは、自分の本業スキルを活かして、宮古島の観光事業者にリモートで広告運用やSNS運用を支援するサービスでした。年に4回現地に渡って事業者にヒアリングし、平日夜と週末はリモートで運用を回した結果、14カ月目には月7万円の継続契約が2社に育ち、合わせて月14万円の業務委託収入が立ち上がりました。
現在は東京と宮古島の二拠点居住を計画中で、「いきなり移住しないと決めて、関係人口の段階を1年以上挟んだことが結果的によかった」と話してくれました。最初の1年は、年に4回ほど現地に通い、島と仕事の両方の感触を確かめてください。
宮古島で起業準備を始めるための次の一歩

宮古島で起業すると考えると、移住補助金や物件探しから始めたくなりますが、その前にやることがあります。
1つ目は、起業18フォーラムの動画やセミナーで、起業の全体像と「会社員のまま小さく始める」考え方を学ぶこと。2つ目は、年に数回、関係人口として宮古島に通い、本業スキルや経験を島でどう価値に変えるかを試作すること。3つ目は、事業の形が見えてきた段階で、宮古島商工会議所の特定創業支援等事業、国境離島の雇用機会拡充事業、沖縄県の創業者支援貸付などを組み合わせて使うことです。この順番を守ると、補助金や支援制度が「行き先のない申請」ではなく、「事業を育てる道具」として効いてきます。

会社を辞めず、島を辞めず、両方を行き来する道は、いまの時代には十分つくれます。会社員の給与という安全装置を保ったまま、宮古島との関係を1年単位で育てていきましょう。
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