記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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本業が在宅勤務になり、通勤時間が消えて自由時間が増えたはずなのに、自分の事業づくりが一向に進まない。そんな相談が起業18フォーラムには毎月のように届きます。
パソコンの前で動画教材を流し続けても、半年経っても成果ゼロという方は決して珍しくありません。原因は時間ではなく、本業と起業準備の「境目」が見えなくなっていることにあります。
本記事では支援現場で頻発する典型パターンと、朝晩30分を物理的に切り出す3つの分離設計を整理します。
在宅勤務×起業準備で詰まる構造

通勤時間が消え、上司の目もない在宅勤務の環境は、表面的には自分の事業に最適に見えます。しかし本業と起業準備が同じ机・同じパソコン・同じ時間帯で混在し始めると、どちらにも集中できない状態が固定化します。
総務省『令和5年通信利用動向調査』によると、テレワークを導入している企業の割合は47.3%。本業が在宅勤務化した会社員のうち、会社員のまま動き出そうとしている層は明確に増えていますが、半年で停滞する方が大半です。
ここでよくある誤解は「時間さえ確保できれば前に進める」というもの。実際には時間ではなく境目の設計が、準備全体の進捗を決めます。
在宅勤務型の3つの落とし穴

支援現場でよく目にするのは、次の3パターンです。
- 本業の合間に自分の事業のタブを開きっぱなしにする「混在型」
- 本業の終業時間を超えて夜まで自分の事業に流れ込む「延長型」
- 本業と自分の事業を5分ごとに切り替える「切替コスト型」
この3パターンは在宅勤務でほぼ確実に起こります。本業のSlack通知が起業準備中も入り、事業のメモが本業中も気になるという、どちらにも注意が分散する状態です。気をつけないと「時間がある=動ける」という思い込みが本業も自分の事業も中途半端にしてしまいます。
起業18フォーラムの会員Kさん(50代後半・大手メーカー営業マネジャー・週4在宅勤務・本業月収50万円・妻と高校生の子2人)は、当初の4ヶ月間で動画教材を月12本消化したものの、本業のミスが3件続き、奥様から「家にいる時間が長いのに何かピリピリしている」と指摘されました。
自己流で動画と高額講座を月5万円分流し続けたものの売上ゼロという状態で起業18フォーラムに参加し、勉強会で「境目を物理的に分ける」発想と出会います。リビングを自分の作業専用、書斎を本業専用に分けた結果、13ヶ月目に「中堅メーカー営業のメンバー育成代行」のモニター契約3件・月収8万円。19ヶ月目で月22万円のクライアント継続体制まで到達しています。
朝晩30分の固定枠を「物理的に」設計する3ステップ

拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』にも書いているのですが、事業づくりが続く人と続かない人の差は、時間量ではなく分離の「物理性」にあります。
具体的には次の3ステップで切り分けます。
- 場所の分離:本業デスクと作業デスクを別の部屋・別の机にする
- 時間の分離:朝30分・夜30分の固定枠を毎週月〜金で先にカレンダーに入れる
- 道具の分離:作業用ノート・メモアプリ・ブラウザプロファイルを本業と別に用意する
最初の1週間は「場所」だけでも分離してください。リビングのテーブルに移るだけで脳の切替が起こります。
会員Kさんは「リビングは自分の作業、書斎は本業」というルールを家族にも伝えたことで、家族の協力体制も自然に整いました。道具の分離まで進むと、本業の通知が作業中に入り込まなくなり、集中の質が一段上がります。
在宅勤務だからこそ仕込めるストック型の準備

在宅勤務の本業時間中は当然ながら事業の作業をすべきではありませんが、休憩時間・始業前・終業後の合間は「ストック型」の仕込みに使えます。
- 朝の30分:自分のスキル棚卸しを書き出す(毎週月曜固定)
- 昼休みの15分:知人3人に「今やろうとしていること」を口頭で話す
- 夜の30分:当日の本業で気づいた業界課題をメモに残す
在宅勤務の最大の強みは「業界の課題に当事者として直面し続けている」点です。朝晩30分の固定枠で当日の業界課題をメモに残すと、半年で事業の商品アイデアが100件以上溜まります。
夜の30分は「翌日の本業で観察するポイントを1つだけ決める」に使ってください。漠然とインプットするよりも、観察→記録→振り返りのサイクルが生まれます。
境目の物理的な設計が固まれば、事業づくりは時間量ではなく密度で進みはじめます。
まとめ:境目を物理的に作ることから始める

本業が在宅勤務になっても、事業づくりが進むかどうかは時間量ではなく境目の設計にかかっています。
最初の1週間は場所の分離だけ、次の1週間は時間の分離、最後に道具の分離と段階的に整えていけば、半年後には朝晩30分の固定枠が習慣として定着します。

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