記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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2026年は「ミドル求人が増える」というニュースをよく目にします。確かに転職コンサルタントへの調査でも、81%が「2026年はミドル世代対象の求人が増加する」と予測しています。
この数字だけ見ると「今が転職のチャンスか」と思いたくなります。でも、少しデータを深く読むと、別の景色が見えてきます。
「ミドル求人増加」の数字が語っていない部分

転職コンサルタントの81%が「ミドル求人増加」と予測した調査(エン・ジャパン、2025年)をもう少し細かく見てみましょう。
求人増加の対象として最も多く挙げられたのは「40代前半」(71%)と「課長クラス」(69%)です。50代後半や一般職・スタッフクラスへの恩恵は、この数字ほど大きくはありません。「ミドル求人が増える」という見出しは正確だとしても、「あなたに向けた求人が増える」かどうかは別の話です。
特に注意が必要なのは、大手企業出身で管理職経験のない50代、あるいは専門スキルが特定業界に偏っている場合です。 こうした方は、求人が増えている恩恵を受けにくい構造にあります。
実際のデータも厳しい現実を示しています。マイナビの「転職動向調査2026年版」によると、転職後の年収変化は30代が平均+32.4万円なのに対し、50代は-4.5万円。2025年は転職ブームと言われた年でしたが、50代については年収が下がるという構造は変わっていませんでした。
- 求人増加の対象は40代前半・課長クラスが中心(50代後半は対象外が多い)
- 50代の転職後年収は平均-4.5万円(30代は+32.4万円)
- 「求人が増えること」と「あなたに内定が出ること」は別問題
- 求人数より内定率と条件が重要であり、データの行間を読む習慣が求められる
転職が「年収マイナス」になりやすい構造的な理由

なぜ50代の転職後年収が下がりやすいのか。これには構造的な理由があります。
会社員として20〜30年かけて積み上げてきた年収は、その会社の中でのポジションや勤続年数に連動している部分が大きいです。転職先では、当然ながらそのポジションはリセットされます。「即戦力」として雇われる場合でも、前職と同水準の年収が保証されるケースは多くありません。
転職市場が評価するのは「現在持っているスキル」の市場価値であり、「これまでの年収実績」ではないのです。 大手企業で部長クラスだった方が、中小企業に転職すると年収が大幅に下がるというケースは珍しくありません。
もう一つの理由として、採用コストの問題があります。企業側から見ると、50代を正社員として採用することはリスクが高く感じられます。5〜10年という雇用期間と採用コストを天秤にかけると、若手採用が優先されがちです。81%の「ミドル求人増加予測」の裏側には、こうした現実も存在しています。
在職中の起業準備が「転職より有利」な場面

転職と起業準備を比較したとき、在職中に起業準備を進める選択肢が有利になる場面があります。
まず、リスクの非対称性です。転職した場合、その結果(良くも悪くも)は早ければ数ヶ月で出ます。年収が下がればすぐに生活に影響します。一方、在職中に起業準備を進める場合、最悪のシナリオは「起業準備を続けながら今の仕事を続ける」という現状維持です。ダウンサイドが限定されています。
次に、会社員の信用・収入・社会的立場をそのまま保持しながら準備できることです。起業初期に最も必要なのは「時間」と「実験できる環境」であり、どちらも在職中のほうが確保しやすいです。
そして、定年のないキャリアを設計できる点。転職先でも定年は来ます。でも、自分で事業を持っていれば、年齢による限界が来にくいキャリアが設計できます。
- 最悪でも「現状維持」。年収マイナスリスクがない
- 会社員の信用・収入を保持したまま実験できる
- 定年のないキャリア設計が可能になる
転職エージェントに会う前にやっておくこと
転職を完全に否定したいわけではありません。転職が正解という方もいます。ただ、「すぐに転職エージェントに相談する」前に、一度だけ立ち止まって試してほしいことがあります。
自分のスキルや経験を「誰かに価値を提供できるもの」として言語化できるか、確認してみることです。 これができない状態で転職エージェントに相談しても、「あなたは何ができますか?」という問いに答えられず、良い求人と巡り合えない可能性があります。
棚卸しをしてみて、「これを必要としている人が社外にもいるかもしれない」と思えたとき、転職か起業準備かの判断材料が増えます。どちらを選ぶにしても、その作業は必ず役に立ちます。焦らずに、一緒に考えていきましょう。
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