起業アイデアが見つからない会社員へ|中小企業白書が語る「起業動機の実態」とその使い方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

起業準備の相談でいちばんよく聞く言葉は、「私には特別なスキルがありません」という一言です。

26年間で6万人以上の相談を受けてきましたが、この言葉を言う方の多くが、実はかなりの強みを持っています。ただ、見えていないだけです。

今回は、その「見えない強み」をどう見つけるかについてお伝えします。

ポイント 「特別なスキルがないと起業できない」という誤解の正体

誤解と実態の対比で見えてくること

便利屋

「特別なスキル」というイメージが先行しすぎています。起業に必要なのは、希少なスキルではなく、「誰かの困りごとを解決できること」です。この視点の転換が、起業準備で最初にぶつかる壁を取り除きます。

中小企業庁「2023年版中小企業白書」(帝国データバンク2022年11〜12月調査収録)によると、起業動機のトップは「職業経験・技術・知識・資格を活かしたかった」です。つまり、会社員が日々の業務で積み上げてきたことが、そのまま起業の武器になっているのです。

ポイント データが語る「起業動機」の実態

白書が示す職業経験活用の圧倒的な多さ

会社員不安

中小企業白書の調査によると、起業家が起業動機として挙げた理由のなかで、「職業経験・技術・知識・資格を活かしたかった」を挙げた割合が全年代で高く、次に「自分の裁量で自由に仕事をしたかった」が続きます。注目すべきは、「特別な技術があったから起業した」という動機の人が少ない点です。

多くの起業家は、自分だけが持つ希少なスキルで勝負しているわけではありません。自分がこれまで積み上げてきた経験を「商品化」しているのです。

起業動機でよく挙げられる理由(中小企業庁2023年版中小企業白書より)

  • 職業経験・技術・知識・資格を活かしたかった
  • 自分の裁量で自由に仕事をしたかった
  • 収入を増やしたかった
  • 社会の役に立つ仕事をしたかった

ポイント 会社員が気づいていない「名もなき強み」の正体

当たり前すぎて見えない強みの見つけ方

女性

「名もなき強み」という言葉があります。自分では当たり前すぎて強みと認識できていないが、他の人から見ると明らかに価値があること。これが起業アイデアの最大の宝庫です。

自分の強みが見えない理由の多くは、「毎日やっていること」は特別でないと思い込んでいるからです。しかし、あなたが当然のようにこなしていることを、別の人が「どうやるのか教えてほしい」と感じている可能性は高いのです。

こんな「当たり前」が商品になっている実例

  • 採用面接を100件以上こなした人事担当→中小企業向け採用支援コンサル
  • 20年間クレーム対応をしてきた接客担当→サービス業向けクレーム研修講師
  • 社内向けエクセル講師を頼まれていたエンジニア→中小企業のDX支援顧問
  • 部下のメンタル相談を受け続けてきた管理職→産業カウンセラー×コーチ

「誰かに感謝されたこと」を思い出すと、強みの輪郭が見えてきます。ありがとうと言われた瞬間、頼られた経験、同僚に「それどうやるの?」と聞かれたこと。これらが起業アイデアの核心です。

ポイント Bさんの実例:人事スキルから月次収入12万円へ

38歳人事担当が強みを「商品化」した経緯

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Bさんは38歳の女性。人事担当として12年、採用と育成を担当してきた会社員でした。「財務や経営の知識がなくて、起業なんて私には無理だと思っていた」というのが最初の相談内容でした。月収36万円、残業が多い職場で、起業への憧れはあっても具体的な一歩が踏み出せない状態でした。

転機は「採用の悩みを持つ中小企業の経営者が、実はものすごく多い」という気づきでした。Bさんが当たり前のようにやってきた「人物評価の視点」「面接の質問の作り方」「採用基準の整え方」は、採用担当者を持てない中小企業にとって貴重なノウハウだったのです。

起業準備を始めて4ヶ月目に、知人の経営者に試しに相談に乗ったことが最初の仕事になりました。8ヶ月目に初めて継続クライアントを獲得し、13ヶ月目には月次収入12万円の顧問契約を持つまでになっています。現在は独立準備の最終段階です。

Bさんが最初に言っていた「財務の知識がない」は、起業の妨げにはなりませんでした。お客さまが困っていることを、自分が持っている経験で解決する。それだけが、起業準備に必要な出発点です。

ポイント 今日から始める「強み棚卸し」3ステップ

強みを見える化するシンプルな方法

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強みが見えない理由のほとんどは、「棚卸しをしていない」からです。以下の3ステップを試してみてください。どれか1つでも具体的な経験が出てきたら、それが起業の種です。

強み棚卸し3ステップ

  1. 「仕事でありがとうと言われたこと」を10個書き出す
  2. 「同僚・部下・後輩に頼まれたこと」をカテゴリ別にまとめる
  3. 「これだけは他の人より詳しいこと」を職場外の知人に聞いてみる

あなたの「当たり前」は、誰かの「すごい」です。その事実に気づくことが、起業準備の本当のスタートです。

起業18フォーラムでは、強み棚卸しのサポートも行っています。「自分の強みがどうしてもわからない」という方は、一緒に整理するところから始めてみましょう。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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