Shopifyで会社員のまま自分の店を持つ実践手順|80%は仕組みに任せる設計

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

「Shopifyでショップを開設したのに、月のアクセスが20件で売上はゼロのままです」という相談が、起業18フォーラムに届くことがあります。海外の事例を見て期待値が上がっている分、自分のショップの静けさに動揺してしまうケースが多いのです。ネットショップを構えることと、お客さんが買いに来てくれることは別の話です。

Shopifyはストア構築・決済・配送計算・税金処理までを自動化する強い味方ですが、「店を作った瞬間に売れる」設計のサービスではありません。

本記事では、Shopify(Shopify Inc.提供のEC構築プラットフォーム)を会社員のまま起業準備に組み込むときに、何を仕組みに任せて何を自分の手で動かすのかを整理していきます。

ポイント Shopifyで会社員のまま店を持つ全体像

在職中に整える店主の役割と仕組み配分

部屋でパソコンを見る女性

経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月26日公表)によると、2024年の物販系BtoC-ECは15兆2,194億円・前年比3.70%増、EC化率は9.8%に達しています。買い物の入口がリアル店舗からウェブへ移っていく流れは続いており、自分のブランドで届ける受け皿を持つ意味は年々大きくなっています。

そのなかでShopifyは、ショップ運営に必要な作業の大部分を画面の中で完結させてくれる設計です。Shopify公式によると、SNS販売や小規模スタート向けのスタータープランは月額750円、年払いで月額3,650円のベーシックプランが本格運営の入口として提供されています(2026年5月12日時点・公式料金)。月1万円以下の固定費でテスト運営を始められる点は、会社員のまま起業準備に組み込む条件と相性がよい部分です。

拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』では「80%ルール」という時間投資の原則を取り上げていて、自分が動かなくてもいい仕組みを80%、自分の手を動かす仕事は20%以下に抑えるという考え方が出てきます。Shopifyの真価は、まさにこの80%側を引き受けてくれることにあります。商品の魅せ方や顧客への声かけといった残りの20%にこそ、店主が時間を集中させる設計にしていく必要があります。

「ショップを開設しただけで待っていれば売れる」という前提を一度脇に置き、開設は出発点・顧客への接点づくりは別作業、と分けて考えると、在職中でも続けられる運営設計に切り替わります。

ポイント Shopifyが向いている人・向いていない人

店主としての役割を担える人の輪郭

会社員

Shopifyは多機能ゆえに、向いている人・そうでない人の差がはっきり出ます。批判ではなく、向いている人の輪郭を先に共有します。

Shopifyが向いている人

  • 自分のブランド名で長く育てたい意思がある人
  • 商品の選定・写真・説明文を自分の手で整える意欲がある人
  • メール・LINE・SNSで顧客と直接やり取りする抵抗がない人
  • 月1万円以下のテスト運営費を会社員収入から捻出できる人
  • 会社員のまま2年以上かけて育てる前提に共感できる人

Shopifyの前に別ルートが合う人

  • とにかく目の前の一品を一度だけ売ってみたい人(メルカリで十分)
  • 商品がまだ手元になく、これから企画する段階の人(先に商品の輪郭づくり)
  • 受注ベースのスキル提供を考えている人(ココナラなどスキル型が合う)
  • ハンドメイド作家としての小さな出品からスタートしたい人(minneなどが入口)

向いていない側に該当しても、Shopifyを「いつか使う道具」として温めておけば十分です。最初の段階で別ルートを使い、商品の輪郭が固まったタイミングでShopifyに移行する流れが、結果として遠回りにならない設計になります。

ポイント 会社員のままShopifyで成果が出る人の3つの共通点

在職中の運営で結果が出る店主の型

ネットショップ

起業18フォーラムでShopifyを使っている会員さんを観察すると、成果が出る人には共通点があります。技術力ではなく、店主としての役割の置き方に差が出ています。

成果が出る店主の3つの共通点

  • 商品の輪郭を3行で説明できる(誰に・どんな場面で・なぜそれが必要か)
  • 出荷ルートと梱包の手順を先に決めている(注文後に慌てない)
  • 月に3人の見込客に自分から連絡し、感想と購入の手応えを取りに行っている

在職中の貴重な可処分時間は、ストア構築のページデザインに費やすのではなく、商品の輪郭と顧客への声かけに集中させてください。Shopifyのテーマやアプリは後から差し替えられますが、商品の輪郭は店主の頭の中にしかありません。

とくに3つ目の「月3人への連絡」は、開設直後のショップ運営でいちばん抜けがちな作業です。アクセスが伸びないうちは、店主が自分で見込客を連れてくる時期だと割り切る必要があります。同窓会の名簿・元職場の知人・趣味のサークル仲間など、声をかけられる相手は意外なほど周りに存在します。

ポイント 会員さんの実例|大手機械メーカー海外営業の戸塚さん

在職中に売上ゼロから月12万円までの軌跡

ネットショップ

50代前半・男性の戸塚さんは、大手機械メーカーで海外営業を20年務めており、ご家族は奥さまと高校生・大学生のお子さん2人という構成です。出張先で見つけた海外の文具に惹かれ、定年後の収入の柱として小さな物販を会社員のまま育てたいと考え、Shopifyでストアを開設しました。

当初は自己流で動いていました。気に入った海外文具を10点並べ、ページデザインに時間をかけ、SNSアカウントは作ったものの月のアクセスは20件・売上はゼロのままでした。「掲載すれば誰かが見つけてくれるはず」と待つ姿勢で3ヶ月が過ぎ、ストアの管理画面を開く気力も下がっていったそうです。

転機は同期の紹介で14ヶ月目に起業18フォーラムに参加した時でした。勉強会で「ショップを構えた段階では、まだ店の前にお客さんが歩いていない」「店主が自分で見込客を連れてくる時期がある」という整理を聞き、自分の運営方法の前提が変わったといいます。

そこから戸塚さんは商品の絞り込みに着手しました。「海外文具」という広いくくりをやめ、「30〜50代の男性会社員が会議や手帳でこっそり使える上品な海外文具」にターゲットを絞り直しました。同時に同窓会名簿の30人に手紙を送り、「試しに使ってもらえないか・感想とレビューがほしい」と直接連絡を入れました。LINE公式アカウントを連動させ、購入者には商品の使いこなしを写真付きで月1回配信する導線も整えました。

22ヶ月目の現在、戸塚さんのストアは月12万円・LINE登録者60人・月のリピート購入20人という形に育ち、会社員のまま運営を継続されています。店の前にお客さんを連れてくるのは店主の役目という位置づけの変化が、戸塚さんの場合は最大の転機でした。

ポイント Shopifyと組み合わせると効果が倍増する3つの行動

仕組み側の80%を活かす店主の動き方

ネットショップ

Shopifyという仕組みをフルに活かすには、店主の20%側の行動を意識的に設計する必要があります。ここで挙げる3つは、開設直後から組み込めるシンプルな行動です。

Shopifyと組み合わせる3つの行動

  • LINE公式アカウントを連動し、購入者と未購入者で配信内容を分ける
  • 商品ページの上部に「使う場面・サイズ感・素材」の3点を写真3枚で見せる
  • 月初に「先月の売上・アクセス・カート投入数」の3指標を手帳に書き写す

この3つは、Shopifyの管理画面やアプリで多くがサポートされているため、店主は「何を見るか・誰に届けるか」の判断さえ決めれば回り続けます。とくに3つ目の「3指標を手帳に書き写す」は、毎月5分の作業ながら、ショップの体調を把握する習慣として効きます。

会員さんを観察していると、ショップを長く続ける人ほど、機能の追加よりも「自分が見るべき数字を絞り込む」方向に動いていきます。機能を増やす前に、自分の判断軸を3つに絞ってください。判断が早くなれば、店主の20%側の時間で十分にショップを動かせるようになります。

会社員のまま起業準備を進めるとき、最初に直面する関門は「最初のお客さんをどう連れてくるか」です。Shopifyを開設した段階では、まだ店の前に通行人がいません。最初の顧客づくりの考え方は、別の記事で詳しく整理しています。

ポイント 店の前にお客さんを連れてくるのは店主の役目

在職中だからこそ続けられる役割の置き方

Shopifyは「会社員のまま自分のブランドを持つ」という選択肢を、手の届く料金と機能で実現させてくれる仕組みです。一方で、店を構えたあと、店の前にお客さんを連れてくるのは店主の役目という前提は、Shopifyを使ってもAmazonに出店してもメルカリで売っても変わりません。

仕組みに任せる80%と、自分の手で動かす20%。在職中の貴重な時間を20%側に集中させる選択ができれば、会社員のままでもショップは静かに育っていきます。Shopifyの管理画面を開く回数より、見込客への連絡の本数が多い月を増やしていく。それが、店主としての毎日の積み重ねの中身だと感じています。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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