記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
松山市でお勤めの方から、起業準備をどう始めたらよいかご相談いただくことが増えてきました。四国最大の都市・人口約49万人を擁する松山市は、道後温泉という3,000年級の観光資源と柑橘・水産・伝統工芸という産業基盤を持ち、起業を考える角度が他の中核市とは異なる地域です。
東京(羽田)から松山空港まで約1時間30分、広島港からは高速船で約1時間20分。瀬戸内海と四国山地に挟まれた立地は、リモートワーク移住先としても近年注目を集めています。本記事では、松山で勤めながら起業準備に動く場合の現実的な道筋と、押さえておきたい地域固有の機会を整理します。
松山で起業準備を始める前提

松山市は、総務省「人口推計」によれば四国エリア最大の人口集積地ですが、緩やかな人口減少局面にあります。道後温泉本館をはじめとする観光資源、伊予柑・温州みかんを中心とする柑橘産業、俳句文化(正岡子規・夏目漱石ゆかりの地)という、3つの軸が同じ市内に交差する全国でも稀な立地です。
松山市の観光客推定数は2024年に600万人超、2025年には635万人超(過去最高)を記録しており、ローカルなビジネスでも県外からの来訪者導線を活かせる環境にあります。
中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書」では、労働供給制約社会の到来を見据えた「稼ぐ力」の強化・労働生産性の向上・経営リテラシーの強化が主要テーマとして取り上げられました。松山の場合、観光客の安定的な流入があるため「地域の困りごとを解決する」起業に加えて「来訪者に届ける」起業の両軸が成立しやすい環境です。
知っておきたい支援施策

松山市・愛媛県内には、起業準備中の方が将来活用できる支援施策があります。重要なのは、いますぐ駆け込むことではなく、方向性が固まったあとに使う道具として知っておくことでした。
- えひめ産業振興財団:
県内の創業相談・専門家派遣・経営相談に対応する中核機関 - 松山しごと創造センター:
創業塾・個別相談・経営相談をワンストップで提供する松山市の創業支援拠点。市内にはコワーキングスペース「マツヤマンスペース」も整備されている - 市町村ごとの移住・定住支援:
松山市・今治市・新居浜市など、二拠点や移住相談の窓口 - 日本政策金融公庫松山支店:
新規開業資金・女性、若者/シニア起業家支援関連融資の窓口
支援施策は、行き先が決まった人にとって強力な道具になります。逆に「何をやるか」が見えていない段階で相談に行っても、担当者も答えに迷ってしまいます。まずは自分の方向性を決める時間を確保するほうが先になります。
松山で見える3つの起業機会

松山で勤めながら動ける起業の方向性は、大きく次の3つに分けられます。
- 観光客導線活用型:
道後温泉来訪者向けのガイド・体験型サービス・オンライン物販・俳句文化に絡めた地域コンテンツ発信 - 地域資源加工型:
伊予柑・温州みかんを使った加工品・砥部焼・今治タオル・伊予かすりなど県内の伝統工芸・農産品をオンライン化・小ロット販売 - 二拠点・関係人口型:
広島・大阪・東京に勤め先を残しながら、松山の地域コンテンツを発信・サポートする形(移住なしで関わる)
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』にも書いたのですが、地方で勤めながら動く人はSTAGEを区切って、最初のSTAGEは「現地で何が困っているか・何が眠っているか」を聞き取る期間に充てるのが現実的でした。商品設計を急がず、地域の声を100個ほど集めると、自分が立つべき位置が自然と決まってきます。
会員さんの事例

会員さんの松島さん(仮名・43歳・既婚・小学生の子2人・大阪のメーカー総務担当)は、ご実家が松山市内(道後温泉近辺)で、月に1回ペースで松山に通う生活を続けてきました。実家近くの小規模柑橘農家で扱われている希少品種(紅まどんな・甘平)が、オンラインでまったく流通していないことに気づき、自己流で物販を立ち上げようとしたそうです。
最初の半年は商品ページ作成と仕入れに走り、結果的に在庫を抱えて消耗しました。起業18フォーラムの勉強会で「現地の声を100個集める」順番を学び直し、生産者さんや地元商工会の方の話を約190件聞き取ったとのことです。聞き取りから「観光客は美味しい柑橘を持ち帰りたい一方、宅配対応の生産者が少ない」「贈答用の小ロット需要が伸びている」という塊が浮かび上がりました。
そこから松島さんは、物販単体ではなく松山の希少品種柑橘と砥部焼の食器を東京・大阪で月1回紹介する小規模イベントと、オンラインの定期便を組み合わせた構成に切り替えました。
準備14ヶ月目で月6万円、25ヶ月目で月19万円の継続収入になり、現在も大阪の会社勤めを続けたまま、二拠点で運営しているとのことです。いきなり移住するのではなく、大阪と松山を往復する関係人口の形が、結果として続けやすい設計になったとのことでした。
松山で起業準備を続ける順番

松山で起業準備を続けたい方には、次の順番をお勧めしています。
- STEP1:
まず起業18フォーラムの動画・セミナーで起業の基礎と全体像を学ぶ - STEP2:
松山で見える地域の困りごと・眠っている資源を100個メモする(3ヶ月かけて構わない) - STEP3:
方向性が見えてきたら、えひめ産業振興財団や松山しごと創造センターの窓口を使い始める - STEP4:
二拠点で始める場合は、最初の半年は移住せず、月1〜2回の往復で関係人口として動く
松山の起業は、観光資源・地場産業・四国最大都市というポジションを抱えて進むことになります。条件の多さに圧倒されるより、自分の本業や経験と重なる軸を1つに絞って動くほうが、地域にも自分にもやさしい着地点にたどり着けます。

地方で勤めながら始める準備は、急がずに3年単位で組み立てるのが現実的です。今夜まず、松山で気になる地域の困りごとや眠っている資源を3つだけメモしてみてください。半年後の方向性の輪郭が、少しずつ見え始めます。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
★【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!
★【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!
