記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
最近、ニュースサイトを見ていると、広告が全画面に表示されてキャンセルしないと記事が読めなくなっていたり、スクロールに合わせてポップアップウインドウが一緒に降りてきたりするサイトがたくさんあります。
広告をたくさんクリックしてもらいたいので、自分のサイトでも同じ仕組みを実装したいのですが、どうすれば良いのでしょうか?

● 回答
仕組みを作ること自体は、AdSenseの自動広告やインタースティシャル広告ユニット、Ezoic等のサードパーティ広告管理ツールを使えばできます。ただし、個人サイトで起業準備中の方が同じ実装をすると、短期の広告収益と引き換えに、検索流入とサイト売却時の評価を同時に失う可能性が極めて高いです。理由を順に整理しますので、判断の材料にしてください。
全画面広告の正式名称と仕組み
ニュースサイトでよく見る「画面全体を覆い、閉じるボタンを押さないと本文が読めない」広告は、業界用語で「インタースティシャル広告」と呼ばれます。Google AdMobの公式ヘルプでも、コンテンツ間に表示される全画面広告として定義されています。バナー広告と比べてCPM(インプレッション単価)が5〜10倍高く、短期の広告収益効率では最強クラスのフォーマットです。
実装手段としては、AdSense自動広告のオン設定・Ezoic等の広告最適化サービス・WordPressプラグイン(Ad Inserter等)の3パターンが一般的です。技術的なハードルは決して高くありません。だからこそ、後述する副作用が見落とされがちなのです。
なぜGoogleが評価減点するのか
Googleは2017年1月10日付の公式ブログで「モバイル検索結果から遷移した直後に、コンテンツへのアクセスを妨げるインタースティシャルを使うページは評価を下げる」と明言しました。
さらに、2021年8月のページエクスペリエンスアップデートで、Core Web Vitals(LCP・INP・CLS)がランキング要因に組み込まれています。
全画面広告は、レイアウトが大きくずれるためCLS(Cumulative Layout Shift)が悪化し、INP(Interaction to Next Paint)も応答遅延でスコアが落ちます。
Coalition for Better Adsの「Better Ads Standards」では、画面の30%超を占める全画面広告はモバイルで「望ましくない広告」として明示的に分類されています。
Google ChromeはBetter Ads Standardsに違反するサイトに対し、Chromeの広告ブロッカーで広告自体を非表示にする機能を搭載済みです。
- NG:本文読了前に閉じ操作が必要な全画面広告(Google公式に評価減点宣言あり)
- NG:スクロール追従するスティッキー型ポップアップ(INPスコア悪化)
- NG:CLSを2桁悪化させる遅延ロード型バナー(Core Web Vitals減点)
- NG:Chromeの広告ブロッカー対象になった時点で大半の広告が非表示化
会員さんの実例:実装直後の月収増→6か月後に検索流入半減
会社員Tさん(40代前半・Webメディア運営の起業準備中)は、自身のレシピ系個人サイトに全画面インタースティシャル広告を実装されました。
実装翌月の広告収益は前月比1.8倍。月20万円が35万円に伸び、Tさんは「これでサイト売却の評価額も上がる」と確信されたそうです。
しかし、Core Web VitalsのCLSスコアが0.08から0.32へ悪化。6か月後、検索流入が前年同月比で54%まで落ち込み、広告収益も連動して月12万円に減少しました。
Tさんは「自分一人で『見栄えの良い数字』を追って判断した結果、長期の信用を失った」と振り返られています。
その後、Tさんは起業18フォーラムに参加。勉強会で「個人サイトは検索流入の安定が事業価値そのもの」と知り、全画面広告を全停止。記事中段の文中広告と、サイドバーのレスポンシブバナーに切り替えました。
半年で順位は回復、現在は月収22万円ながら、サイト売却査定額は当時の2.3倍まで戻されています。
個人サイトで「稼ぐ広告配置」の正解
起業18フォーラムの相談現場で見えてきたのは、「読者の読書動線を切らずに、自然な視線移動のなかで広告が目に入る配置」が最も収益化に効くという事実です。具体的には、AdSenseの記事内自動配置・関連記事下の3段表示・サイドバー固定の組み合わせが定番です。
- OK:本文中の段落間にレスポンシブ広告(読書を妨げない位置)
- OK:記事最下部の関連記事リンク前後のディスプレイ広告
- OK:サイドバー固定のスカイスクレイパー型(PC向け)
- OK:CLSスコアが0.1未満を維持する遅延読み込み設定
拙著『起業神100則』にも書きましたが、広告で収益化する個人サイトの起業準備は、短期の単価ではなく1年後の検索流入が残っているかで成否が決まる。仕組みとしての全画面広告は実装可能ですが、Google ChromeとCore Web Vitalsの評価軸に正面から逆らう設計は、起業準備中の貴重な時間を消費する選択になりがちです。

質問者様の「広告を多くクリックしてほしい」という想いはよく理解できます。ただ、クリック単価ではなく1,000訪問あたりの広告収益(RPM)と、半年後の検索流入推移を毎月確認する運用に切り替えてみてください。ユーザーが快適に読めるサイトほど、結果的に広告収益も伸びます。これは、相談現場でほぼ例外なく観察できた法則です。
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