肩書きが決まらない場合はどうすればいい? 最初に固定する相談テーマの作り方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

個人ブランドを作りたいと思って半年、自分の肩書きをどうつけるかでずっと止まっています。「キャリアコンサルタント」「人事のプロ」「組織開発アドバイザー」と紙に書いては消すばかりで、結局SNSの発信も始められていません。

会社員のまま発信を始めるには、まず何を決めればよいのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

肩書きから決めようとして止まる人は、起業18フォーラムにも毎月のように相談に来られます。共通点は、自分を表現する言葉から考えていることです。個人ブランドは「自分を何者として見せるか」ではなく、「誰のどの相談を受けるか」を1つ固定することから始まります。順序を入れ替えるだけで、肩書きは後から自然に決まっていくのです。

肩書きで止まる人と、相談テーマから入って動き出す人の違いを、順に見てみます。発信を始める前の準備を、5つのステップに分けて整理しました。

1.過去1年で頼まれた相談を書き出す

まず、過去1年で同僚・後輩・友人から頼まれた相談を、ノートに15個ほど書き出します。書き方は「誰から・どんな状況で・何を聞かれたか」の3点です。頼まれた経験が5件以上ある相談テーマは、本人が「ふつう」と感じていても、外の人から見ると、お金を払ってでも頼みたい内容になっていることが多いのです。これが拙著『起業神100則』にある「名もなき強み」の入り口です。

2.似た相談を3グループに分ける

書き出した15件を、似たテーマで3グループにまとめます。「キャリアの方向性相談」「上司との関係相談」「転職タイミング相談」のような分け方です。3グループの中で、頼まれた件数が最も多いものが、最初の相談テーマ候補になります。

3.相談テーマを1文で言い切る

絞ったテーマを、20字前後の1文に圧縮します。「40代女性の管理職昇進前のキャリア整理」「製造業エンジニアの異業種転職相談」のように、対象者と相談範囲が一読でわかる言葉にするのです。肩書きよりも、この1文のほうが先に決まります。

4.モニター3名に1文を見せて反応を確かめる

固めた1文を、信頼できる3人に見せて反応を聞きます。「あなたの周りに、この相談をしたい人はいそうですか」と聞くのです。日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」でも、現在苦労していることとして「顧客・販路の開拓」が48.8%でいちばん多いです。テーマがズレていれば、この時点で軌道修正できます。

  • 過去1年の相談を15件書き出す
  • 3グループに整理して最頻テーマを選ぶ
  • 20字前後の1文に圧縮する
  • モニター3名で反応を確かめる
  • 肩書きは後から自然に決める

起業18フォーラムの白川さん(仮名・40代前半・女性・公務員・夫婦のみ・朝活で起業準備中)は、最初の半年「行政経験を活かしたコンサルタント」という肩書きを考え続け、発信ゼロのまま止まっていました。フォーラムで「過去1年で頼まれた相談を書き出す」課題を出されてから流れが変わったのです。書き出してみると、女性の同僚から「育休復帰後のキャリア整理」を10件以上頼まれていたと気づかれました。

白川さんは肩書きを一度脇に置き、「公務員女性の育休復帰後キャリア整理」という相談テーマ1文を固めました。朝活30分でnoteを書き始めてから2ヶ月で、職場外の知人から有料相談が1件入り、現在は月4件・1件8,000円で安定しています。肩書きは「育休復帰キャリア整理サポーター」と後付けで決まりました。テーマから入ったほうが、結果として肩書きも刺さる言葉になるのです。

肩書きから決めようとする人と、相談テーマから入る人の違いはここにあります。肩書きは「自分が何者か」を語る言葉ですが、読者が読むのは「自分の悩みを扱ってくれるかどうか」だけです。今週、紙とペンを用意して、過去1年で頼まれた相談を15件書き出すところから始めてみてください。

個人ブランドを作る作業は、自分の輪郭をはっきりさせる作業ではなく、誰の悩みに寄り添うかを決める作業です。肩書きより先に相談テーマ1文。この順序が固まれば、発信は自然に動き出します。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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