記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
会社員として働きながら起業準備を進めたいと思っています。今の会社に「副業・兼業はしていませんか?」という確認書類が毎年まわってくるのですが、起業準備の段階から届け出や許可申請が必要なのか、法律的にはどう考えればいいのか教えてください。
準備段階でも届け出が必要なのか、収益が出たら申告が必要なのか、基準がよく分かりません。

● 回答
これは多くの会社員から聞かれる質問です。結論から言うと、法律上は起業準備活動そのもの(収益がない段階)を禁止する規定はありません。ただし、就業規則の内容によって会社への届け出や許可申請が必要になるケースがあります。
法律上の考え方:労働者の自由と就業規則の関係
厚生労働省は、「労働者が労働時間以外の時間をどう使うかは、基本的に労働者の自由である」という考え方を示しています。企業が就業規則で副業・兼業を制限できるのは、以下の場合に限定されます。
- 本業の労務提供に支障が生じる場合
- 会社の業務上の秘密が漏洩する恐れがある場合
- 会社と競合する事業を行う場合
- 会社の名誉・信用を損なう行為にあたる場合
これら4つの要件に該当しない限り、会社員は就業規則があっても、原則として起業準備活動を行う自由があります。
就業規則の確認が最優先:申請が必要なケース
一方で、多くの会社の就業規則には「許可なく他社の業務に従事しないこと」という規定が含まれています。これは厚生労働省のモデル就業規則に基づくものです。
就業規則に「事前許可制」の規定がある場合、無申請での活動が懲戒処分の対象となりえます。 毎年届け出の確認書類が回ってくる会社であれば、事前許可制を採用している可能性が高いといえます。
- 「副業・兼業の許可申請」に関する条項はあるか
- 収益が発生した場合の届け出義務はあるか
- 「準備段階」は申請対象に含まれるか(明記されていないことが多い)
就業規則を読んでも判断できない場合は、人事部・総務部に「起業準備を個人で進めることを検討しているが、申請が必要かどうか確認したい」と問い合わせる方法もあります。不正直に動くよりも、確認して白黒をつけた方が後の安心につながります。
「収益が出た段階」での税務上の扱い
準備段階ではなく、実際に収益が出た場合の税務上の扱いは別の問題です。会社への届け出とは切り離して考えましょう。
- 年間所得が20万円を超えると確定申告が必要(所得税)
- 住民税は所得に関わらず市区町村への申告を要確認
- 確定申告をすることで会社に収入が知られるリスクは低い(特別徴収の設定次第)
就業規則の確認と税務の確認は、セットで行うのがトラブルを防ぐ最善策です。
26年間の経験の中で「こっそり進めていて後でもめた」という人より、「最初に確認して堂々と進めた」人の方がずっと長続きしているのを見てきました。透明性が、起業準備を継続する力にもなります。就業規則の解釈に迷ったら、労働問題に詳しい社会保険労務士や弁護士に一度相談することをおすすめします。
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