記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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インテリアコーディネーターとして起業したいと考えたとき、多くの方が「まず資格をどう活かすか」から悩み始めます。
けれども、準備を進めてきた人を見ていると、収入の柱になっているのは資格そのものではありません。住宅やリフォーム、家具販売の現場で積み上げた経験のほうが、お客様からお金をいただく理由になっています。
この記事では、勤めながら独立の足場を作る具体的な手順を、現実的な順番で整理していきます。
なぜ「資格=商品」だと行き詰まるのか

資格を持つ人は毎年増えている
インテリアコーディネーターの資格は、毎年新しい合格者が生まれています。公益社団法人インテリア産業協会の発表では、2024年度(第42回)試験の合格者は1,767人でした。この数字が毎年積み上がっていきます。
つまり資格そのものは、すでに大勢の人が持っている前提条件に近づいています。「資格があります」だけでは、お客様から見て他の人との違いが伝わりにくいのです。
お金を払う理由は「不安の解消」にある
個人のお客様がインテリアの相談にお金を払うのは、資格の有無を確かめたいからではありません。「この部屋をどう変えればいいか分からない」「高い買い物で失敗したくない」という不安を解消したいからです。
その不安に答えられるのは、資格の知識よりも、現場で何百件と部屋を見てきた経験です。勤めているうちに積んだ現場経験こそが、独立後の最初の商品になります。
自分の「名もなき強み」を棚卸しする

当たり前にやってきたことを書き出す
拙著『起業神100則』では、「名もなき強み」という考え方を紹介しています。社内では当たり前すぎて誰も褒めてくれないけれど、社外に出ると値千金になる経験のことです。
たとえば住宅メーカーで施主との打ち合わせを毎週こなしてきた人にとって、「予算内で要望をまとめる段取り」はごく普通の業務でしょう。けれども、初めてリフォームをする個人のお客様から見れば、それは喉から手が出るほど欲しい段取り力です。
3つの現場経験を分けて考える
これまでの職場経験を、次の3つに分けて書き出してみてください。どれも独立後の強みの種になります。
- 住宅・新築の経験:
間取りや動線、施主との合意形成の進め方を知っている強み - リフォームの経験:
既存の住まいの制約の中で最善案を出す現実的な提案力 - 家具販売の経験:
予算と好みに合わせて商品を選び切る、迷いを断ち切る対話力
書き出してみると、自分が思っていた以上に「人に教えられること」が見えてきます。まずは過去3年分の仕事を振り返り、お客様に一番感謝された場面を3つ書き出してみてください。
勤めながら進める準備の手順

ステップ1:小さく図面作成の仕事を受ける
独立をいきなり目指すと、収入が途切れる不安が先に立ちます。そこで勤めを続けながら、最初は図面作成やパースの下請けを小さく受けるところから始めます。設計事務所や工務店から図面を請け負う形なら、営業をかけなくても仕事になりやすいからです。
ここで大事なのは、下請けで止まらないことです。下請けは収入の入口であって、ゴールではありません。
ステップ2:個人のお客様の相談に乗る
図面作成で実績ができたら、次は個人のお客様の相談業へ少しずつ軸を移します。下請けは図面という「作業」を売る仕事ですが、相談業は「どう住まいを良くするか」という判断そのものを売る仕事です。単価も上げやすく、あなたの経験がそのまま価値になります。
住宅リフォーム市場は、矢野経済研究所の推計で2024年に7兆3470億円規模とされています。個人のお客様がリフォームや模様替えで迷う場面は、これだけ大きな市場の中に数えきれないほどあります。
ステップ3:相談の窓口を一つ用意する
相談業に踏み出すには、お客様が連絡できる窓口が一つあれば十分です。立派なホームページも、広い事務所もいりません。
- 過去の事例を見せる場:
これまで関わった部屋づくりを写真と一言で紹介する簡単なページ - 相談の入口:
オンライン相談や訪問相談など、最初の接点を一つだけ決める - 料金の目安:
初回相談の料金をあらかじめ示し、お客様の不安を減らす
完璧な準備を待つ必要はありません。20点の状態でいいので、まず小さく始めてみることが次につながります。
会員さんの事例:図面の下請けから相談業へ

起業18フォーラムの会員さんに、40代の戸塚さんという方がいます。住宅メーカーで12年ほどインテリアの提案を担当した後、勤めを続けながら独立の準備を進めてきました。
独立を考え始めた頃の戸塚さんは、自己流で図面作成の下請けを増やすことばかり考えていました。単価の安い図面を数で稼ごうとして、夜の作業時間ばかりが増え、収入は思うように伸びませんでした。
転機になったのは、起業18フォーラムの勉強会で他の会員さんの事例を聞いたことでした。「あなたの強みは図面を速く描くことではなく、施主の迷いをほどく対話だ」と指摘され、戸塚さんは自分が無意識にやってきた段取り力に気づきました。
そこから戸塚さんは、図面の下請けを減らし、個人のお客様のリフォーム相談へ軸を移しました。初回相談を5千円の有料にし、これまでの現場経験を前面に出したところ、軸を移してから3カ月ほどで紹介のお客様が増えていきました。下請け中心で月収8万円ほどだった頃に比べ、相談業を柱にしてからは月収18万円ほどへと伸びました。
戸塚さんが変えたのは作業量ではありません。自分の「名もなき強み」に値段を付け直しただけでした。あなたも初回相談の料金を一つ決めて、まず身近な人に試しに相談に乗ってみてください。
次の一歩:今日できる準備から始める

インテリアコーディネーターの仕事は、厚生労働省の職業情報提供サイト job tag によると、平均年収はおよそ540万円とされています。勤め人としても専門性の高い仕事ですが、独立して個人のお客様と直接向き合えば、経験の活かし方はさらに広がります。
大切なのは、資格を磨くことより、これまでの現場経験を商品として捉え直すことです。住宅・リフォーム・家具販売のどの現場でも、あなたが当たり前にやってきたことの中に、お客様が求める価値が隠れています。

今日できることは、これまで一番感謝されたお客様とのやり取りを一つ思い出して、ノートに書き留めるだけで十分です。その一つが、あなたの相談業の最初の看板になります。
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