親の介護で在宅時間が増えても起業準備が進まないのはなぜ? 制約を商品に変える発想転換

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

50代後半の看護師です。実母の介護が始まって半年、在宅勤務に切り替えてから18ヶ月になります。最初は在宅時間が増えれば起業準備も進むと思っていたのですが、母の通院や見守りで集中時間がほとんど取れません。

看護経験を活かしたい気持ちはあるのに、商品にする時間が作れず止まっています。介護中の起業準備はどう設計すればよいのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』にこんな言葉があります。「制約のある人ほど商品の核が早く見える」。介護中の在宅時間は自由時間ではなく、中断される前提の時間です。介護中の起業準備は、まとまった作業時間を確保する話ではなく、中断されても成立する商品を設計し直す話です。看護経験は、その商品設計に最も適した素材を持っています。

介護中の起業準備でよくある失敗パターン

  • 「介護が落ち着いてから始める」と決めて3年が経つ
  • まとまった作業時間を確保しようとして毎日挫折する
  • 長時間講座・対面サロン型の商品を設計してしまう
  • 「家族の見守り」を不労時間と勘違いする
起業18会員Iさんの自己流18ヶ月の停滞

起業18フォーラム会員のIさん(仮名・50代後半・女性・看護師・既婚・実母介護中・週末+平日朝晩)は、当初18ヶ月、自己流で「親世代向け対面健康相談サロン」を立ち上げようと動かれていました。週末に物件を見に行き、対面メニューを作り、ホームページを開設したものの、母の通院・体調変動・夜間の呼び出しが重なり、予約を入れても直前にキャンセルする日が続いたのです。「介護があるから対面は無理」と気づくまでに18ヶ月、起業準備の貯金120万円が消えていました。

起業18への参加と修正

起業18フォーラムの勉強会に参加してから、Iさんは商品設計を根本から組み替えました。対面サロンを完全に手放し、「介護家族向け15分電話相談」と「呼吸が楽になる音声教材(10分×6本セット)」の2本柱に切り替えたのです。15分電話は1,500円、音声教材は3,000円。看護師としての26年の臨床経験と、自分自身が介護家族でもある立場が、そのまま商品の信頼性になりました。母の通院に同伴しながらでも、隙間の15分で電話相談は成立します。

中断される前提の商品設計に変える

商品の選び方は、所要時間ではなく「中断されても価値が壊れないか」で見極めてください。対面90分や対面講座は中断すると成立しませんが、15分電話・短時間音声・チャットでの非同期相談は中断と相性が良いのです。介護中の起業準備の核心は、自由時間を取り戻すことではなく、中断と共存できる商品形態に切り替えることです。Iさんが切り替えた商品は、母の見守りをしながら、隙間時間にスマートフォン1台で完結できます。

V字回復の現在地点

商品切り替えから6ヶ月で、Iさんは月の電話相談12件・音声教材販売8件、合計月収5万4,000円になりました。1年後の現在は、相談月20件・教材月15件で月10万円を超え、看護師の本業を在宅勤務週4日に減らす交渉まで進められた状態です。「介護があるから無理」と諦めていた商品を、中断前提に組み替えただけで、収入も介護負担も同時に楽になったのです。

商品設計を変える前後で、Iさんの作業時間そのものはほとんど変わっていません。変わったのは、対面商品を手放して非同期商品に切り替えるという1つの判断だけなので、今日からでも自分の商品メニューを「中断前提か否か」で並べ替えてみてください。並べ替えの作業自体は30分で終わります。

中断と共存する商品の見分け方

  • 所要時間が15〜30分以内で完結する
  • 非同期で価値が伝わる(メール・音声・テキスト)
  • キャンセルが起きても在庫・原材料を失わない
  • 専門知識の濃度が高く、単価を下げすぎなくて済む

厚生労働省の令和6年度調査では、「利用したかった両立支援制度」として短時間勤務や時差出勤を挙げた正規労働者がおおむね3割前後いました。介護中の起業準備も同じ構造で、商品形態の切り替えが収入維持の鍵になります。

介護中の在宅時間は、起業準備の制約ではなく、商品の核を見つける条件です。中断と共存できる商品に組み替えれば、看護師としての26年の臨床経験が、最短距離で価値に変わります。

制約は商品設計のヒントです。自由時間が戻る日を待たずに、今日の中断される時間の中で売れる形を、まず1つだけ言葉にしてみてください。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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