会計ソフト freee は会社員の起業準備に使える? 向く人・向かない人と最初の使い方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

「いずれ起業を考えているけれど、会計や数字は苦手。会社員のうちから freee(フリー)で何から始めればよいか教えてほしい」。クラウド会計ソフト freee(freee株式会社・東証グロース上場)について、こうしたご相談が増えました。本記事では、freee を起業準備の入口に使う場合の現実的な順番と、向き不向きを整理します。

freee は税理士や経理担当者向けに最適化された道具ではなく、知識ゼロの個人がそのまま使えるよう設計された日本製のクラウド会計サービスです。在職中の方が起業準備の最初の数字基盤を作るうえで、相性のよい選択肢のひとつになります。

ポイント freee を起業準備に活かす全体像

売上が立つ前から数字の景色をつくる視点

会社員

freee の位置づけは、起業18フォーラムの相談現場では「売上が立つ前から自分のお金の流れを見える化しておく道具」として整理しています。勤めながら起業準備を考える方の多くは、動き出してから慌てて会計ソフトを探し始めますが、その順番だと最初の数ヶ月の数字が残らず、税務署対応・確定申告の場面で苦労します。

freee 公式ヘルプ「個人事業主向けプラン」によれば、スタータープラン(年額契約・月額換算 1,180円から)で確定申告・口座連携・請求書作成までを個人事業主が1人で完結できる構成になっています。2026年4月時点で全プランでスマートフォンアプリ・電子帳簿保存法対応・インボイス制度対応が含まれており、在職のうちから触り始めるコスト負担は限定的です。中小企業庁「2026年版 中小企業白書・小規模企業白書」でも、デジタルツール導入による生産性向上が小規模事業者の重点論点として整理されており、個人事業主の数字基盤整備は政策側でも後押しされている流れにあります。

ポイント 向いている人・向いていない人

向き不向きで読者を振り分ける整理

会社員

freee が向いているのは、次のような会社員の方です。

  • 会計の知識がゼロで、用語の勉強より先にとにかく使ってみたい人
  • 本業の収入と起業準備の収入を、最初から分けて記録しておきたい人
  • 口座・カード連携で自動仕訳に任せたい人(手入力の時間を最小化したい)
  • 1年以内に開業届の提出を視野に入れている人

逆に、向いていないと感じやすいのは、すでに弥生会計や Excel での記帳に慣れていて操作体系を変えたくない方や、複数事業を法人格で並走する大規模運用を最初から想定している方です。freee は個人事業主のスタートを最短距離で支える設計のため、小さく始める入口としては最適ですが、大規模法人経理の置き換え用途には別ツールを検討したほうが落ち着きます。

ポイント freee で成果が出る人の3つの共通点

続く人がやっている小さな設計

50代

勤めながら freee を導入し、半年〜1年単位で続いている方には共通する設計があります。続いている方ほど、売上ゼロの段階から記録の習慣だけ先に作っていました。

  • 口座を起業準備専用に1つ分けている(本業給与の振込口座とは別の口座を作って連携)
  • 月に1回だけ「数字を見る30分」を固定化している(曜日と時刻を決める)
  • 最初の3ヶ月は売上ゼロでも記録だけ続ける覚悟をしている(記録の習慣そのものが資産)

拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』にも書いたのですが、続けている人ほど数字をストック資産として育てている発想を持っています。毎日見る必要はなく、月に1回30分のチェック時間で十分です。重要なのは記録の連続性のほうで、抜けがない記録はあとから事業の意思決定の根拠になります。

ポイント 会員さんの事例

自己流から学び直した在職経理整備の歩み

会社員不安

会員さんの茅嶋さん(仮名・47歳・既婚・子なし・メーカー総務担当)は、副業で始めたオンライン講座運営の収支を Excel で管理していました。最初の半年で売上が10万円を超えたあたりから、Excelでは取引履歴の追跡と確定申告の準備が追いつかなくなったそうです。

起業18フォーラムの勉強会で「数字基盤を先に作る」順番を学び直し、freee のスタータープランを契約。専用口座を1つ作って本業給与口座と分け、月1回・第1日曜日の朝30分を「数字確認の固定時間」として家族に共有しました。口座連携の自動仕訳で手入力作業はほぼゼロになり、年末の確定申告も freee 内で完結したとのことです。

その結果、準備18ヶ月目で初めての確定申告を青色申告で提出し、22ヶ月目には月15万円の継続収入になりました。茅嶋さんが振り返って言うのは、売上を伸ばすより先に数字基盤を作ったことで、毎月の判断が遅れなくなったということでした。

ポイント freee と組み合わせると効果が倍増する3つの行動

数字単独で完結させない補完設計

会社員

freee を単独で運用するより、補完となる行動を組み合わせるほうが、勤めながらでも続く設計になります。

  • 専用口座とクレジットカードを1枚ずつ作り、起業準備の支出を本業給与と完全に分離する
  • 月1回の数字確認のあと、気づいたことを3行だけメモに残す(数字と物語をひもづける)
  • 確定申告の3ヶ月前から税理士相談(freee 認定アドバイザー検索)を視野に入れておく

数字・口座・税理士相談の3つを、別の作業ではなく地続きの動線にしておくのが、freee を起業準備で活かす一番の使い方です。数字基盤を1つ持っているだけで、半年後・1年後の判断スピードがまったく変わります。

個人事業の開始/開業日は、1円でも売上があがった日になるの?
● 質問 個人事業主として開業することになったのですが、開業届に書く「開業日」は、いつにすればいいのでしょうか

会計ソフトは、確定申告のためだけの道具ではありません。自分のお金の流れを見える化しておくことが、起業準備の最初の半年・1年を冷静に運ぶ土台になります。今夜のうちに、専用口座を1つ作るか・freee の無料アカウントだけ作っておくか、どちらか1つを始めてみてください。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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