アフィリエイトとFXで損をしました。起業も失敗しそうで怖いです。

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

会社の外でも収入の柱がほしくて、アフィリエイトの教材に手を出したり、FXを少額で触ったりしてきました。結果として両方で損が出てしまい、お金を増やすつもりが減らした自分が情けないです。

今は新しいことにお金を出すのが怖くて動けません。こんな状態で起業できますか?

起業前質問集

● 回答

戻れます。むしろ、損を出した直後の今こそ「お金を使わない側」の起業準備に切り替える適期です。怖さは、判断力が戻ってきた合図でもあります。アフィリエイトもFXも、それ自体が悪い仕組みではありません。問題は、再現性がはっきりしないものに先にお金を使って順番のほうにあります。順番を入れ替えれば、勤め先を辞めずに、出費ゼロから始められる道は残っています。

これまでの相談の現場で見てきた限り、教材費・取引証拠金・高額セミナーで先にお金が出ていく形からスタートした方ほど手が止まります。逆に、自分の中にすでにある「頼まれてきた経験」を商品にした方は、初期費用が出ない代わりに、お客様の反応という生のデータが先に手元に残ります。怖さを「動けない理由」ではなく「順番を直すきっかけ」として使ってほしいのです。

損が出た直後の「怖さ」は、判断力が戻った合図

少額でも実損を経験すると、人の警戒センサーは正常に働きはじめます。「お金を出す前に、まず一次情報を読もう」「他人の言うことを鵜呑みにせず、自分で確かめよう」という慎重さが、損を出す前より確実に育っています。この感覚は、起業準備でいちばん大事な土台です。

金融審議会の暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(金融庁・2025年12月10日公表)では、国内の暗号資産口座数は2025年10月末時点で延べ1,300万口座を超え、個人口座の8割以上が預かり資産10万円未満の小口取引中心と整理されています。多くの人が「少額で試して怖い思いをした」段階にいる、ということです。あなた一人が特別に追い込まれているわけではありません。

気持ちの揺れの正体は「お金が減った事実」より「自分の判断が外れたという感覚」のほうです。判断のクセを直さないまま、別の有料教材に乗り換えるのが一番危ない動きになります。次に置く一歩は、お金を出す側ではなく、自分の中の素材を棚卸しする側に向けてみてください。

「投機の損」と「準備の失敗」は別物として切り分ける

まず言葉を整理しておきます。アフィリエイトもFXも合法的な事業・取引で、長く続けて成果を出している方も実在します。ただ、再現性の出方が違います。FX・暗号資産は短期の値動きに左右される投機的な取引で、結果が出るまでの過程を本人が制御しづらい性質があります。アフィリエイトも、稼げる規模に育つには、検索意図に答える記事を百本単位で書ける継続力が前提になります。

つまり、損が出たのは「あなたに才能がない」からではなく、再現性が出るまでの距離が長い領域で、最初に大きく賭けてしまっただけ、という整理ができます。ここを切り分けないと、自分の経験まで否定して動けなくなってしまいます。

  • 避けたい順番(先にお金を出す側):
    高額教材・有料サロン・新しい取引口座への追加入金で「次こそ取り返す」と動く
  • 切り替えたい順番(先に素材を出す側):
    過去に勤め先や知人から「ありがとう」と言われた経験を10件書き出し、1件だけ無料で再現してみる
  • 確かめたいこと:
    「お金を出さなくても誰かに喜ばれる手応えが残るか」を、まず1か月だけ試してみる
出費ゼロから始める「ノウハウ系」という選択肢

拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』では、起業準備の入口を4つに分けて紹介しています。プロダクト系(モノを仕入れて売る)、スキル系(手を動かすサービス)、スペース系(場所を貸す)、そしてノウハウ系(自分の経験・知識を伝える)。このうちノウハウ系は、在庫も場所も要らず、初期費用が出にくい入口です。

これまで積み上げてきた業務知識、家族の介護で覚えた段取り、子育ての中で身につけた手順。本人が「こんなことが?」と思っている経験ほど、同じ場面で困っている人にとっては手のかかった一次情報になります。ここに、損を出して身についた「お金を出す前に確かめる慎重さ」を載せると、信用される語り手の側に立てます。

同じ著書に「0.1%×0.1%」という考え方が出てきます。日本の人口約1億3,000万人の0.1%は13万人、そのまた0.1%でも130人。多くの人を相手にしようとせず、狭くてもはっきり届くニッチを設計すれば、十分に成立する人数が残る、という整理です。投機で「大きく当てる」発想とは対極の、確実に届く相手を絞る発想です。

「使わない準備」を始める3つの順番

では、出費ゼロのまま動きはじめるには、何から手をつければよいでしょうか。順を追って並べます。

  • 頼まれた経験を10件書き出す:
    勤め先・家族・趣味の場で「教えて」「やってほしい」と言われた具体的な出来事を10件、紙かメモアプリに並べる。お金が動いた話でなくてよい
  • 同じ困りごとを抱える人を1人だけ思い浮かべる:
    10件のうち1つに丸をつけ、その内容で困っていそうな実在の知人を1人だけ思い浮かべる。架空の「みなさん」ではなく顔の見える1人
  • 無料で1件だけ再現してみる:
    その知人に「もしよければ1回だけ無料でやらせてもらえますか」と声をかける。出費ゼロで、反応という一次データだけが残る
江口さんの場合:3,000円から1万円台へ、10ヶ月の戻し方

起業18フォーラムにいた江口さん(40代後半・男性・地方銀行の渉外を15年)は、似た入口から立て直した方でした。最初の2年で、海外発のアフィリエイト教材に18万円、FXの追加証拠金で30万円ほどを失ったそうです。お金を出した側にいた間は、画面の数字が上下するたびに気持ちが揺れ、本業の集中力まで削られていったと話してくれました。

変わり始めたのは、フォーラムの個別相談で「失った金額ではなく、残った経験を棚卸しましょう」と提案を受けたときです。江口さんはそれまで「自分は損ばかりした人」という枠で自分を見ていました。相談の場で、銀行員として個人事業主の融資相談に何百回も乗ってきた事実を一つずつ言葉にしていくうちに、お客様だった事業主から「あなたに相談してよかった」と言われた場面が次々と思い出されてきたそうです。

転機の入口は、フォーラムの勉強会で他会員の事例を聞いた回ではありませんでした。個別相談の1時間、語りながら自分の中の素材に自分で気づいた、内的な棚卸しのほうでした。江口さんは「損を取り返す」発想を一度脇に置き、「残った経験を、同じ場面で困る人に届ける」発想へ切り替えました。

最初の商品は、会社の外で収入を作りたい方向けに「家計と事業の口座を分ける整え方」を伝える有料相談で、1件3,000円から始めたそうです。出費はゼロ、オンラインで知人3人にモニターを依頼するところからのスタートでした。

3ヶ月目には知人経由の紹介で月2件、半年で月5件まで増え、相談の質と反応を見て10ヶ月目に1件1万円台へ値づけを変えました。同じ時間を使っても手元に残る金額が変わったのは、価格を上げた瞬間ではなく、相手を「中小企業勤務で家計の不安が強い40代男性」と狭く絞り込めたタイミングでした。

江口さんが投機で失った金額は今でも戻っていませんが、その後10ヶ月で月5件の相談と単価1万円台への値づけ変更まで進めています。先にお金を出す側から、先に経験を出す側へ順番を入れ替えた結果でした。

怖さを抱えたまま動ける、安全な相談先を1つ持つ

損を出した直後は、家族にも会社にも話しづらい時期です。一人で抱えると、もう一度「取り返したい」誘惑に流されやすくなります。国民生活センターの集計でも、SNSがきっかけの消費生活相談は2024年に86,396件に達しており、もうけ話への注意喚起が継続的に出ています。同じように苦い思いをした方は決して少数派ではありません。

新しい有料教材に飛びつく前に、無料で話を聞いてくれる場所を1つ確保しておくと、判断のブレが減ります。お住まいの地域のよろず支援拠点、商工会議所の創業相談、公的な消費生活センター。結論を出しに行く場ではなく、自分の頭の整理に使う場として、まず1度だけ使ってみてください。

戻り方のまとめ

  • 慎重さが戻った状態を、判断材料の見直しに使う
  • 先にお金を出す側から、先に経験を出す側へ順番を入れ替える
  • 頼まれた経験を10件棚卸し、知人1人へ無料で1件だけ再現してみる
  • 130人に届くニッチを設計してから、価格は後で動かす

江口さんも、最初の一歩は身銭を切る側ではなく、紙に頼まれた経験を並べる側でした。同じ場所から始めて、十分間に合います。

今日できることは、同業会員が無料で公開している事例ページや勉強会レポートを3本だけ、お客様視点で読み比べてメモを取ることです。出費はゼロで構いません。

お金をかけずに起業準備を進めても形になる? 使う場面と使わない場面の分け方
● 質問 親の介護も始まり、家計に余裕がないので、起業準備にはできるだけお金をかけたくありません。ただ、無料の

怖さの中にいる今だからこそ、お金ではなく順番が直せます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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