記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
勤めている会社で早期退職募集が出ました。50代前半で手を上げる方向で検討しています。ただ営業職20年の経験しかなく、特別な資格もないため、退職後に何ができるか不安です。
営業一筋のキャリアでも起業は可能でしょうか?

● 回答
営業20年のキャリアは、起業18フォーラムの相談現場で見る限り「ひとりの客と長く付き合うスキル」が高い方が多く、起業初期に最も強い武器になります。早期退職前に整理しておきたい3点をお伝えします。
中小企業庁の数字から見える現実
中小企業庁『中小企業白書』では、起業後の企業存続や、起業家が持つ経験・ネットワークの重要性が繰り返し取り上げられています。一方で、起業後の結果は業種や資金、顧客開拓によって大きく変わります。営業20年の方は「経験を活かす」起点で商品を作りやすい一方、退職前に顧客・競業避止・契約形態を確認しておくことが重要です。
営業職の方が起業準備で最初にやるべきことは、自分の中の「ひとりの客に向き合うスキル」を言語化することです。拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』に「ひとりの客をつかまえれば9割成功」という一節があります。多くの新規顧客を追いかけるより、目の前のひとりの客とていねいに向き合うことが分岐点になるという話です。
営業20年で売れる3つのスキル
- 新規開拓ノウハウ:
中小企業の経営者向けに「アポ取りの声かけ方」を教える - 提案資料の設計力:
20代から30代の若手営業向けに「提案資料の組み立て方」を有料コンテンツ化 - 業界人脈の活用:
退職後も連絡が取れる元取引先・元同僚を起点に紹介・仲介役を担う
会員さんのHさん(52歳・男性・自動車部品メーカー営業部・早期退職予定)の事例を紹介します。Hさんは退職1年前から起業18に参加し、自分の営業スキルを3つに分解しました。「営業のスキルは漠然と”営業ができる”ではなく、新規開拓・既存深耕・組織マネジメントの3つに分解すると単価が10倍になる」というのがHさんの発見です。
早期退職前の1年で動かす順序
早期退職に手を上げる前の1年で、就業規則の確認・競業避止義務の範囲・退職後の顧問契約候補2社のリスト化、の3つを動かすことをおすすめします。
- 退職12ヶ月前:
就業規則と競業避止義務を法務に確認 - 退職9ヶ月前:
過去5年の取引先から「相談に乗ってほしい」と言われた相手をリスト化 - 退職6ヶ月前:
顧問契約候補2社と非公式に話し合いを開始 - 退職3ヶ月前:
個人事業主の開業準備・退職後の月次収支設計
Hさんはこの順序で動き、退職と同時に中堅メーカー2社と月額12万円の顧問契約をスタートしました。半年後には新規開拓ノウハウのオンライン講座も立ち上げ、月収約42万円のラインに到達しています。
Hさんの転機は退職8ヶ月前に起業18の勉強会で「営業スキルの粒度を細かくする」助言を受けたことでした。それまでは「営業ができる」と漠然と書いていた職務経歴を、新規開拓・既存深耕・組織マネジメントの3つに分けて言語化し直すと、顧問契約候補からの返信率が一気に上がっています。現在も2社との顧問契約は継続中です。
早期退職の意思決定をする前に「過去5年で取引先から個別相談を受けた回数」を数えてみてください。3回以上ある方は、退職後の顧問契約の種が既に蒔かれている可能性が高いです。
営業20年は特別な資格より価値ある資産です。退職前の1年でスキルの分解と人脈リスト化を動かしておけば、退職後の収入源は自然に形になっていきます。

まずは営業経験を「新規開拓」「既存深耕」「提案設計」のように分けて書き出してください。肩書きではなく、相手が買いやすい言葉に直すことが最初の準備です。
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