親の介護が始まる前に動くべき?「介護前」に作ることが大事!

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

50代前半・教育研修職で20年働いています。先月、実家の父が脳梗塞で入院し、退院後は週末ごとに帰省して介護に通うことになりました。

母が主介護者なのですが、いずれ自分も主介護に回る可能性が高いと医師から言われています。介護が本格化する前の今、在宅収入を作り始めて間に合うのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

介護が始まってから働き方を変えようと動き始める方ほど、結果として2年遅れる相談が届きます。介護が「始まる前」の今、半年から1年というカウントダウンが残っている状態は、在宅収入を作る上ではラストの機会です。起業18フォーラムで支援してきた経験から、介護開始前後の両方の入口を見てきましたが、この差は決定的です。

総務省統計局『令和4年就業構造基本調査』では、「介護・看護のため」に前職を離職した人は47万人で、そのうち直近1年間の離職者は11万人でした。介護離職に至った方々の多くが、介護が本格化してから収入の置き場所を変えようとしてうまくいかなかったというのが背景にあります。

介護が始まると、まとまった作業時間も、新しい仕事を覚える気力も、想像以上に削られます。だからこそ、介護前のタイミングで動く意味が大きいのです。

介護前の半年でやるべき3つの優先順位

介護開始前の限られた期間で動くなら、優先順位は明確に決まっています。第1に、本業の経験を「在宅で売れる商品」に変える作業。第2に、最初の1人〜3人の顧客を見つけて月数万円の継続収入を作る作業。第3に、介護が始まってからも続けられる「中断前提の業務形態」を設計する作業。この順序が逆になると、介護開始後にやり直しになります。

教育研修職で20年積んだ経験は、在宅で売れる商品にしやすいのです。研修プログラムの設計、講師の指導、企業向けの提案資料作成、新人育成カリキュラムのカスタマイズ。これらは現場に出向く必要がなく、ZoomとPDF納品で完結する仕事として組み立てられます。

介護開始前の半年は、まとまった作業時間が取れる最後の時期だと割り切って、商品化に投じるのが現実的です。

中断前提の業務形態を最初から設計する

拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』では、まとまった時間が取れない人ほど「朝晩30分」の細切れ時間を起業準備に変える視点を紹介しました。介護開始後は、文字通り朝晩30分しか自由時間が残らない期間が訪れます。介護前の今のうちに、その細切れ時間でも回せる業務形態を最初から設計しておくと、介護が本格化しても止まりません。

中断前提の業務形態の特徴は3つです。納品物がPDFかWordで完結すること、Zoom面談は60分以内で予約制であること、緊急対応を求められない月額契約であること。この3条件を満たすと、介護の合間を縫って業務が続けられます。

起業18フォーラム会員の岩本さん(仮名・50代前半・女性・大手企業の研修部門15年勤務・既婚・親の介護開始直前で起業準備0ヶ月だった方)は、父親が倒れた直後に勉強会に参加されました。

当初は「介護でもう動けない」と判断しかけていましたが、介護が本格化するまでに残された半年を「商品化と最初の顧客づくり」に振り切って投じる計画を立て直しました。

研修部門で20年作ってきた新人教育プログラムを、中小企業の人事担当者向けに「月額3万円の研修設計サポート」として商品化し、半年間で3社と契約。

介護が本格化した12ヶ月目には、Zoom面談を週末の朝の時間に固定し、PDF納品で月収9万円を保ったまま父親の主介護を担当しています。介護前の半年で土台を作ったから、介護開始後も止まらずに済んだ事例です。

厚生労働省の介護休業制度では、要介護状態の家族の介護のために通算93日まで休業できる仕組みがあります。介護開始直後はこの制度を使って本業を一時的に休み、その期間に起業準備を加速させる選択肢もあります。

介護前の今のうちに、自分の会社の介護休業規程と、自分が使える時間枠を整理しておくと、判断が早くなります。

介護前のカウントダウン期間を意識する

介護開始前に残された時間は、家族構成と親の健康状態によりますが、多くの場合6ヶ月から1年です。この期間を「いつ介護が本格化してもおかしくない」という前提で過ごすと、優先順位が一気に変わります。今夜、自分の本業の経験のうち「在宅でPDF納品できる仕事」になり得るものを3つ書き出してください。書き出した瞬間に、介護前の半年で何をすればよいかが見えてきます。

来週、教育研修の同業者で在宅で仕事を作っている方1人に連絡を取り、最初の顧客をどう見つけたかを30分聞かせてもらう約束を取り付けてください。最初の1人の顧客は、介護が始まる前のこの半年で必ず作っておいてください。

介護前の半年は、迷っている時間がもっとも貴重な時期です。半歩でも踏み出せた人だけが、半年後に違う景色を見ています。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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