記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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英会話講師として教室で何年か教えてきて、そろそろ自分のレッスンスタイルで生徒と向き合いたい。そう考え始めた英会話講師さんからの相談が、最近とくに増えてきました。教える力は確かにあるのに、独立を考えた途端に「集客はどうするのか」「いくらで売るのか」というところで足が止まる人がほとんどです。
この記事では、英会話講師として教室勤務から個人レッスンへ切り替えるための現実的な手順と、対面・オンライン・自宅教室それぞれの選び方、そして起業18フォーラム会員さんが実際に歩んだ道筋までを整理してお伝えします。
英会話講師の経験がそのまま事業になる理由

英会話講師として教室で働いてきた経験は、独立した瞬間に「英語を教えるスキル」と「英語学習者が挫折するポイントを知っている観察力」の二つに分かれて価値を持ち始めます。
教室勤務の頃は当たり前すぎて気づきにくいのですが、生徒さんが「Whatの後にbe動詞を入れ忘れる」「lとrの聞き分けで止まる」「3カ月目で来なくなる」といった具体的なパターンを、何百人と見てきた英会話講師さんは決して多くありません。
拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』にこんな言葉があります。「最初の商品は、これまで誰かを助けてきた経験から作る」。英会話講師さんの場合、教室で生徒さんを助けてきた経験そのものが商品になります。
たとえば「3カ月で離脱する人を6カ月続けてもらうために現場でやっていた一言」を言語化すると、それが独立後のレッスンプログラムの軸になっていきます。
- 教室で観察してきた生徒の躓きパターン
- 自分が無意識にやってきたフォローの言葉
- レッスン後に出していた次回までの宿題の出し方
- 続いた生徒と離脱した生徒の違い
これらは英会話講師さんの「名もなき強み」と呼ぶべき暗黙知で、教える技術以上に独立後の集客と継続率を左右します。教室の看板を外したときに自分に何が残るのかを、まず棚卸ししておくのが起業準備の最初の一歩です。
語学ビジネスは縮小ではなく構造転換のフェーズです。矢野経済研究所の2025年語学ビジネス市場調査では、2024年度の市場規模が7,906億円と前年度比0.2%増で推移しており、成人向け外国語教室やプリスクールの回復と、オンライン語学学習・AI英会話アプリとの競争が同時に進んでいます。
教室勤務の英会話講師さんが個人で始める場合、この構造転換の流れを逆風ではなく追い風として読むことが大切です。
英会話講師が起業準備で踏むべき手順

ステップ1:教室で教えてきた内容を「自分の型」として言語化する
独立を急いで辞めてしまう人ほど、教室のカリキュラムに乗ったまま「自分の教え方」を言葉にしないまま走り出します。今こそ、自分が1コマのレッスンでどんな順番で何を見ているかを文字に起こす作業に時間を使ってください。レッスンの冒頭5分・中盤20分・締めの5分でそれぞれ何を確認しているかを書き出すと、自分の型が浮かび上がってきます。
ステップ2:単価とレッスン時間の組み合わせを逆算する
教室勤務の時給は1,500円から2,500円が中心帯ですが、独立後はレッスン単価を自分で決められる代わりに、集客・教材準備・予約管理の時間まで自分でかぶる必要が出てきます。仮に月25万円を目標にするなら、1コマ60分・5,000円のレッスンを月50コマ確保する設計になります。時給換算ではなく「月の総売上から逆算したコマ数」で考えるのが英会話講師の単価設計の基本です。
- 1コマ60分・5,000円・月50コマ=月25万円の基本パターン
- 1コマ90分・8,000円・月30コマ=月24万円のじっくり型
- 1コマ30分・3,000円・月80コマ=月24万円の高頻度型
- グループ4人×60分・1人2,500円・月25回=月25万円の少人数クラス型
どのパターンが自分の体力とレッスンスタイルに合うかを、教室勤務のうちに1パターンだけ試してみると感覚がつかめます。今週から、自分が「やりたいレッスン形式」と「現実的に回せるコマ数」を紙に書き出してみてください。
ステップ3:教室を辞める前に「最初の3人」を獲得する
独立してから生徒を集めようとすると、収入ゼロの期間で焦りが先に立ち、価格を下げてしまう失敗が起きます。
教室勤務のうちに、知人・元生徒・SNSのつながりから3人だけ獲得して、月8コマほどを回しておくと、辞めた瞬間に売上ゼロという事態は避けられます。最初の3人は「お金をくれる人」ではなく「自分のレッスンを育ててくれるテスト顧客」として迎えると、価格交渉も自然に進みます。
英会話講師の具体的な起業アイデア

①自宅×対面の少人数クラス
子育て中の方や近隣の社会人を対象に、自宅の一室で週1回90分のグループレッスンを開く形態です。家賃ゼロ・通勤ゼロが最大の利点で、教室時代に培った対面でのレッスン経験をそのまま活かせます。集客範囲が半径2キロ程度に限られる点はデメリットなので、最寄り駅からのアクセスや駐車場の有無を確かめてから始めるほうが安心です。
②オンライン1対1の継続コース
スマートフォン1台で全国の生徒さんとつながれるのがオンラインレッスンの強みです。週1回30分の継続コースを月1万2,000円で売る設計なら、25人の生徒さんで月収30万円が見えてきます。最初の生徒さんはZoomの操作補助からつまずく方もいるので、入会時の操作レクチャー用動画を5分でいいので作っておくと離脱が減ります。
③法人向け出張・オンラインレッスン
個人の生徒さん相手ではなく、地元の中小企業の若手社員向けに週1回・1時間の英会話セッションを売る形態です。1社あたり月8万円から15万円が相場で、契約が1社決まれば収入の柱が一気に安定します。決裁者と話せる人脈があるかどうかが鍵になるので、教室時代に出会った保護者の中に経営者の方がいないかを思い出してみてください。
④試験対策・コーチング型サービス
TOEIC900点超え・英検1級・IELTS7.0など、明確な目標スコアを持つ社会人向けに、3カ月単位のスコア達成プログラムを売る形態です。単価は3カ月で15万円から25万円が中心帯で、レッスン回数より「スコアアップという結果」で価格が決まる点が他形態と大きく違います。教室時代に資格対策クラスを担当した経験があると、教材選定と進捗管理のノウハウがそのまま活きます。
英会話講師起業で起きやすい失敗パターン

無料体験レッスンを出しすぎて時間と価値が崩れる
独立直後の英会話講師さんが最も陥りやすいのが、無料体験を「申込者全員に毎月複数回」やってしまうパターンです。1コマ60分の体験を月20件こなすと、それだけで20時間が無償労働に変わります。無料が当たり前という認識が広がると、本契約の価格に違和感を持つ生徒さんが増えて成約率が下がるという逆効果も起きます。無料体験は「1人につき30分1回まで」と最初に決めておくのが安全です。
教室勤務の生徒さんを引き抜くトラブル
教室を辞めるとき、慕ってくれていた生徒さんから「先生が独立するならついていきます」と言われる場面があります。気持ちは嬉しいものの、契約書に競業避止義務や顧客引き抜き禁止条項が入っているケースが多く、後から損害賠償を請求されるリスクがあります。
引き抜きではなく、生徒さんが自分の意思で教室を辞めた後に別ルートで連絡してくる形を作り、契約内容に応じて一定の期間を置いてから始めるのが無難です。
家族の反対と「教室で十分」の声に押し切られる
英会話講師の起業準備中、家族から「教室で安定して働けばいいじゃない」と言われて踏み切れない人もいます。一人で抱えて答えを出そうとせず、すでに独立を果たした英会話講師さんがどう家族を説得したかの事例を集めると視界が開けてきます。起業18フォーラムの会員さんでも、家族の理解を得るまで6カ月かけて段階的に話していった方が複数いらっしゃいます。
- 無料体験は1人30分1回まで
- 教室契約書の競業避止条項を独立3カ月前に確認
- 家族には「在職中の小さな実績」から見せる
- 独立後の最初の3カ月は売上ゼロでも生活できる貯金
この4項目を今夜のうちに紙に書き出して、自分はどこが弱いかを把握してから動き出してください。
教室を辞める前に整えておきたいマインドセット

起業18フォーラムの会員さんに、大手英会話教室で6年勤務されていたAさん(30代後半・女性)がいます。Aさんは教室で週15コマを担当し月収22万円、生徒さんからの評判もよく、いつかは自分の教室を持ちたいと考えていました。
最初Aさんは「教える腕には自信があるから、辞めればなんとかなる」と自己流で動き、退職してすぐ独立しました。SNSで集客しようとしたものの、教室の看板を外した瞬間に「あなたから習いたい」と言ってくれる人を自分で見つける難しさにぶつかり、3カ月で生徒さんは0人。貯金を切り崩す日々が続きました。
転機になったのが起業18フォーラムへの参加でした。勉強会で「最初の3人を辞める前に作っておく」「単価は時給ではなくコマ数から逆算する」という考え方を学びました。
Aさんは一度パートタイムで英会話教室に戻りながら、週末だけオンラインレッスンを2人から始め直しました。半年後には月8人の継続生徒さんを持ち、1年後に再独立してからは月収32万円で安定しています。
拙著『起業神100則』にも書いているのですが、起業準備の段階で大切なのは「20点の状態で出してみる」という発想です。完璧なレッスンプログラムを作ってから出そうとすると、最初の生徒さんに出会うまでに半年が過ぎてしまいます。
英会話講師さんは普段から生徒さんの上達に向き合う仕事なので、自分の事業についても「最初は不完全でいい、生徒さんと一緒に育てる」という姿勢で踏み出すのが向いています。

教室の看板を外す日のことを考えると不安が膨らみますが、英会話講師さんが在職中から始められる準備は思っているより多くあります。教える楽しさを失わずに事業として続けていくために、今夜から自分の手帳に「最初の3人」を書き出すところから動き出してみてください。
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