フリーランス新法で押さえる3点とは? 業務委託で初仕事を受ける士業会社員の必須確認

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

社労士事務所に勤めて20年以上、週末を使って業務委託の単発相談を受け始めようとしています。来週末、知り合いの会社から初めて報酬をもらう契約を結ぶのですが、契約書を見ても何が危ないのか分かりません。

フリーランス新法が施行されて何が変わったのかも含め、最初に押さえる3点を教えてください。

起業前質問集

● 回答

フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は2024年11月1日に施行されました。本法律は公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の三省庁が共同で所管しています。従業員を使わずに事業者から業務委託を受ける場合は、会社員のまま週末に受ける士業相談でも対象になり得ます。ただし、発注者の形態や委託期間で義務の範囲は変わります。

最初に押さえる3点は「書面化(電磁的方法を含む)・60日以内の支払期日・1か月以上の委託で問題になる禁止行為」です。

フリーランス新法の3本柱を比較する

従来は「相手が大企業なら下請法」「相手が中小なら個別交渉」という線引きになりがちでした。新法施行後は、事業者から特定受託事業者(従業員を使わない事業者)への業務委託が広く対象になりますが、消費者からの依頼や、単なる売買は対象外です。士業の単発相談・コンサル稼働・成果物納品も、事業者からの業務委託なら対象になり得ます。

新法で発注者に課された義務(要点)

  • 書面・電磁的方法による取引条件の明示(業務内容・報酬額・支払期日など)
  • 納品物受領日から60日以内のできる限り早い支払期日設定
  • 1か月以上の業務委託では、受領拒否・報酬減額・返品・買いたたき・購入強制・経済上の利益提供要請・不当な変更や直しの禁止

士業会社員側が知っておくと武器になるのは、「書面交付がない口約束は新法の趣旨に反する」点です。来週末の契約で、もし口約束で済まそうとされたら、契約書または交付書面の発行を求めるだけで、こちら側の立場が一段強くなります。

契約書チェック3箇所

新法対応で増えた条項とは別に、初契約で必ず見るべき箇所は次の3つです。

初契約の必須チェック3点

  • 業務範囲:「相談業務」だけか、資料作成・代行行為まで含むか(士業法との整合)
  • 支払条件:報酬額・締め日・支払期日(60日以内・銀行振込か現金か)
  • 解除・損害賠償:途中解約時の精算方法・損害賠償の上限

拙著『起業神100則』第3章で取り上げているのですが、契約書は「サインする前に必ず一度は持ち帰り、マーカーで塗りながら読み返す」が鉄則です。

来週末の打合せで契約書を提示されたら、その場でサインせず、「持ち帰って週末に確認します」と伝えてください。契約内容を十分に確認する時間を確保することは、安心して業務委託を続けるための実務的な基本姿勢です。

士業特有の論点

社労士の勤務形態によっては、勤務社労士としての守秘義務・競業避止義務との衝突が起き得ます。週末の業務委託先が勤務先と競合関係にないか、勤務先の就業規則と社労士法を2本立てで確認することが必要です。勤務先と顧客先の利益が対立する案件は、新法以前の士業倫理の問題として受けないのが原則です。

厚生労働省は、フリーランスの就業環境整備(募集情報の的確な表示・育児介護等への配慮・ハラスメント対策・中途解除の事前予告)について公正取引委員会・中小企業庁と分担して所管しています。

途中解除の30日前事前予告は、6か月以上の業務委託契約を解除または不更新にする場合に問題になるため、士業会社員側が継続案件を切られるときの確認項目になります。

起業18フォーラムの藤村さんの軌道

起業18フォーラムの藤村さん(仮名・50代前半・男性・社労士事務所勤務・既婚・中高生2人)は、業務委託の初契約で迷われていた方です。週末の時間枠だけで動ける条件、勤務先との衝突を避けたい意向、家族のために安定収入を維持したい立場。条件が多くて止まっていました。

転機は、自己流の契約書チェックをやめて起業18フォーラムの勉強会で「フリーランス新法対応の契約書ひな形」を学び、自分の側からひな形を提示する形に切り替えたことでした。

勤務先と競合しない人事制度設計の単発相談を中心に、週末2時間×月4件の枠で運用。12ヶ月目に再起動・継続契約2社で月22万円に到達しています。

単価の置き場所

初仕事の単価は「相手の予算に合わせる」ではなく「自分が一番落ち着いて受けられる金額」に置きます。安すぎる単価で受けると、修正依頼が多発した時に消耗します。社労士の単発相談なら、初契約は5,000円〜10,000円/時間の幅で、自分が「これなら週末を使う価値がある」と思える線を選んでください。

来週の打合せ前に、フリーランス新法の特設サイト(公正取引委員会)に1度目を通し、3,000字程度のチェックリスト1枚を自分用に印刷しておくと、当日の判断が安定します。

来週の打合せ前に、契約書のコピーを必ず週末に持ち帰り、業務範囲・支払条件・解除条項の3箇所をマーカーで塗ってから返答してください。

初契約は「ナメられない契約」より「自分が安心して続けられる契約」を選ぶこと。新法はそのための足場として、確かにあなたの側を支えてくれます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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