記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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同業界で先に独立した先輩、地元の個人事業主、商工会の相談員、税理士の無料相談枠。夜と週末だけで起業準備を進めていると、これらの方々と接点を持つ機会がほぼ生まれません。年に10日前後の有給休暇を、たった2日でも振り分けるだけで、夜時間では届かなかった領域に踏み込めます。本日は、有給10日を起業準備に使う具体的な使い道を整理します。
有給を起業準備に使う発想を持つ人が増えている背景

厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」によると、令和6年(または令和5会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇の1人平均は18.1日、実際の取得は12.1日、取得率は66.9%と公表されています。長期的にも取得率は上昇しており、有給を取りやすい職場環境が広がりつつあります。
多くの方は有給を「休む」「家族の用事」「リフレッシュ」に使っています。一方で、起業準備の入口として活用する方も、ここ数年で少しずつ増えてきました。理由はシンプルで、平日の昼間にしか動けない相手と接点を持てる時間は、有給以外に存在しないからです。夜と週末で進める起業準備には、業界の現役プレイヤー・行政窓口・先輩個人事業主との接点がほぼ含まれません。10日のうち2〜3日を振り分けるだけで、その盲点が埋まります。
平日の昼間にしか会えない相手の一覧

平日の昼間にしか会えない相手は、起業準備に役立つ情報の核を握っている人が多くいます。代表的な接点を、有給で会いに行ける範囲で挙げると以下の通りです。
- 同業界で先に独立した元同僚・先輩・後輩
- 地元の個人事業主・小さな会社の社長
- 商工会議所・よろず支援拠点の創業相談員(平日10〜17時のみ)
- 税理士・社労士の無料相談枠(平日昼のみ設定の事務所が多い)
- 自治体の創業支援窓口の担当職員
独立した元同僚との平日ランチ1回、地元同業者の現場を午後に1件訪問するだけで、夜の時間で本を10冊読むより濃い情報が手に入ります。これは情報量の差ではなく、相手が現場で動いている時間に立ち会える、という体験そのものの差です。
有給10日の振り分け方と1〜3日目の使い道

10日を一気に取らなくても効果は出ます。年間で2〜3日ずつ、四半期ごとに半休を1日、というように分散させる方が現実的です。便宜上、10日分の振り分け例を以下に整理します。
- 1〜3日目:平日昼間に会いたい人に会う(アポ取りから現場訪問まで)
- 4〜6日目:自分の業務経験を「人の悩み」に翻訳する半日ワーク
- 7〜10日目:モニター1人と平日昼間に試走する
1〜3日目は、有給を取る日が決まったら、その日に会いたい人に1週間前までに連絡を入れます。「平日昼間に1時間だけお時間いただけますか」と伝えるだけで、想像以上に受けてもらえます。独立した方は「自分が起業準備期に何度も人に話を聞きに行ったから、今度は自分が話を聞かれる側でいたい」という気持ちを持つ方が多いのです。
4〜6日目の使い道:業務記録を「人の悩み」に翻訳する

有給の中盤に向く作業が、自分の業務経験を顧客視点で整理し直す半日ワークです。会社で当たり前のように引き受けてきた業務には、外で対価を払って解いてほしい人がいる「悩み」が混ざっています。業務日報・引き継ぎ資料・上司に提出した報告書を半日かけて読み返すと、自分が何度も同じ種類の質問を受けてきたことに気づきます。
たとえば経理畑20年の方が業務記録を読み返すと、月末の請求書周りの処理、確定申告前の準備、社員からの経費精算の質問など、何度も同じ相談を受けてきたことが見えてきます。それぞれが、外側にいる個人事業主の方々がいま苦労している領域そのものです。半日のワークで、自分の業務知識と外の悩みを結びつける作業ができれば、起業準備の入口が一気に固まります。
7〜10日目の使い道:モニター1人と平日昼間に試走する

有給の後半は、いよいよ試走に使います。モニター1人と打ち合わせを設定する、サンプル提供を1件こなす、現場を半日同行する、といった具体的な行動です。試走を平日昼間に組む利点は、夜の疲労状態ではなく日中の頭が回っている時間に向き合えることと、相手の事業の現場を生で見られることにあります。
拙著『副業で月20万稼ぐ!』に「ストック思考とフロー思考」という整理が出てきます。1回完結で終わるフロー型の試走を有給に詰め込むのではなく、有給で1人と長期に関わる関係を作ることが、その後の継続収入につながります。10日の有給のうち最後の3日は、ストック型の関係づくりに使うと決めてください。
起業18フォーラム会員・西田さんの有給活用

起業18フォーラム会員の西田さん(仮名・40代前半・女性・地方建設会社の経理職18年・既婚で中学生子1人)は、これまで有給を全て家族行事や体調不良で使っていたそうです。フォーラムの勉強会で「有給10日のうち2日でも、起業準備に振り分ける発想を持ってみてください」と促されたことが転機でした。
西田さんは年度の前半に有給2日を取り、平日の午後に元同僚で個人事業主になった方と、地元の税理士事務所の無料相談を訪問しました。元同僚の方が紹介してくださった同じ町内の個人事業主の方が、月末の請求書発行と帳簿入力に困っていることが分かり、その場でモニター契約の話に進んだそうです。月額12,000円の継続契約が1件生まれ、それが現在14ヶ月目で月額制クライアント6件、月収約7万円の事業に育っています。
西田さんは「有給を1日でも起業準備に振り分けることに、最初はものすごく抵抗があった」と話してくれました。けれども、夜と週末だけでは会えなかった方々と日中に会えた経験が、その後の半年を加速させたそうです。
よくある質問

Q.有給を起業準備に使うと、勤務先にバレないでしょうか?
- 有給の取得時季は原則として労働者が指定でき、目的の詳しい説明までは通常不要
- 社内様式がある場合も、申請理由は「私用」など簡潔な記載で足りることが多い
- 有給中の活動は、本業の機密漏洩・競業避止・副業規定に触れない範囲で進める
有給休暇は労働者の権利であり、会社は事業の正常な運営を妨げる場合を除き、請求された時季に与える必要があります。心配であれば、就業規則の副業規定・競業避止・守秘義務の範囲だけ確認しておくと安心です。
Q.10日も連続で取らなくても効果はありますか?
- 1年に分散して2〜3日ずつでも、ペースを保てば効果は十分
- 四半期ごとに半休1日を割り当てる方法も現実的
- 月末週の金曜午後など、業務の波に合わせる組み方が長続きする
連続10日は休みやすい時期と休みにくい時期があり、無理に取ろうとすると本業に響きます。年間で合計10日を、本業の業務量に合わせて分散させる方が現実的です。
来月の有給1日を仮押さえするところから始める

有給休暇は、休むためだけのものではなく、平日の昼間にしか動かせない領域に触れるための時間でもあります。10日のうち、まず2日分だけを起業準備に振り分ける発想を持つだけで、夜と週末で進めるしかなかった起業準備が、別の角度から動き始めます。今夜できる小さな1歩は、来月以降の有給予定を1日だけ仮押さえして、その日に会いたい人の名前を1人書き出すことです。
来週の業務終わりに、半休1日を月末に組み込めるかを上司にさりげなく相談してみてください。有給は権利であり、使い方は自由です。半年後にどう過ごしていたいかを起点に、来月の1日を決めるだけで、起業準備は確実に動き出します。

10日の有給を「休む10日」と「準備する2日」に分けるだけで、年に2日の小さな試走が積み上がります。その積み上げが、半年後の最初のお客様との出会いを連れてくるのです。
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