起業するならこの業種! オススメの9種のメリット・デメリット

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

起業に「これさえ選べば安泰」という業種はありません。むしろ、流行りの業種に飛びつくよりも、自分の手持ちで無理なく始められる仕事のほうが、長く続く確率は高くなります。

生成AIが日常に溶け込み、ネットショップも数クリックで開ける今、個人がひとりで起業できる選択肢はかなり広がりました。一方で、誰でも始められる仕事は競争も激しくなります。だからこそ大切なのは、業種の名前を覚えることではなく、その業種が自分に向いているかを見極める”ものさし”を持つことです。

起業するならこの業種!

起業して稼ぎたい、それでいてリスクはできるだけ抑えたい。そう考えているなら、選ぶ業種には共通点があります。

  • 利益を残しやすい業種
  • 固定費が小さく、低リスクで始められる仕事
  • AIを敵ではなく道具として使える仕事

この3つを満たす業種ほど、初心者でも生き残りやすくなります。

仕事には向き不向きがあります。市場が伸びているからといって、自分に合わない仕事に人生を賭けるのは現実的ではありません。逆に、参入障壁が低すぎる仕事は、AIを使いこなす同業がどっと増えるため、結果を出しづらくなります。

目標

ここでは、これから起業するなら検討してほしい、初心者でも稼ぎやすいおすすめの業種9種と、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。そのうえで、9つの中から自分に合う1つをどう選ぶのかという”選び方”まで踏み込みます。

ポイント 起業でおすすめの業種9選|個人で始めやすい仕事

個人がひとりでも始めやすいおすすめ9業種

アフィリエイト

起業するならどんな業種がよいか悩んでいる人に向けて、個人でも低資金で始めやすい9種を挙げます。まずはそれぞれの中身を見ていきましょう。

1.アフィリエイト・SNS運営

商品やサービスを紹介するサイトを作ったり、読者の役に立つ発信をしたりして、広告収入を得るビジネスです。

かつてはブログがほぼ無料で始められる手軽さで人気でした。ただ、検索の仕組みが変わり、ChatGPTのような生成AIで情報が手に入るようになったことで、薄い記事は読まれなくなっています。これからはブログ単体よりも、InstagramやYouTubeを軸に発信する形が主流になっていくでしょう。

2.ネットショップ経営

手作りのアイテムや、仕入れた商品をネットで販売するビジネスです。BASEやSTORES、Shopifyといった、専門知識がなくても店を開けるサービスがそろっています。なかでも今は、円安を追い風にした越境EC(海外への販売)にチャンスがあります。

扱う商品も売り方も自分で決められるのが魅力です。一方で、Amazonでの単純な転売は価格競争が激しく、初心者にはおすすめしません。

3.ライティング

アフィリエイトサイトや企業メディアの記事を書く仕事です。パソコン1台あれば、いつでもどこでも作業できます。

ただし、これまでと同じやり方では通用しません。ネット上の情報をまとめるだけの記事はAIに代替され、取材や自分の実体験をもとに、専門性の高い記事を書ける人だけが残っていく流れです。

4.代行業
  • 家事代行
  • お墓参り代行
  • SNS運用代行
  • 買い物代行

自分の持っているスキルや時間を、人に代わって提供する仕事です。アイデア次第で幅が広く、ちょっとした得意ごとがあれば始められます。共働き世帯の増加で、家事代行のような暮らしまわりの代行は需要が伸びています。

5.コーチング・コンサルタント業

自分の知識やコツを伝えて収入を得る仕事です。

  • スマホで商品写真をきれいに撮るコツ
  • 人前で緊張せずに話すポイント
  • 怒りをコントロールするアンガーマネジメント
  • SNSで反応を集める投稿の作り方

何かひとつ、人より秀でた経験があれば仕事になります。資格が要ると思われがちですが、たとえば離婚の経験を相談相手に伝えるなど、資格のない領域でも十分に成り立ちます。

6.プログラマー

フリーランスのプログラマーとして案件を請ける道です。技術があれば高い報酬を得られます。ただ、ここもAIで景色が変わりました。簡単なプログラムはAIが書けてしまうため、平均的なレベルでは仕事が減っていきます。

AIを使ってさらに上を狙える人、顧客との対話が得意な人にとっては、むしろ追い風です。

7.サロン経営

ネイルやエステなど、小規模なサロンは細く長く続けやすい仕事です。人の身体に触れるサービスはAIに置き換わりにくく、安定した需要があります。

出張サービスを軸にすれば初期費用を抑えられますし、働きたいときだけ予約を取る働き方もできます。講座化してオンライン収入を足すなど、店舗の家賃をかけずに広げる工夫を先に考えておきましょう。

8.動画投稿

動画を投稿して広告収入を得たり、自分の商品を売ったりする働き方です。

役立つ内容やコアな内容を発信して知名度を得れば、企業から案件をもらえることもあります。まずはショート動画から始めて、少しずつ見てくれる人を増やしていくのが現実的です。

9.レンタル業

車や自転車などのモノを貸し出すほか、「自分の時間」を貸すというユニークなサービスも生まれています。先駆者のなかには、ネット上で有名になった人もいます。

コーチングと似た面があり、相手に似合う服を見立てる、話し相手になる、一人では入りづらい場所に同行するなど、隠れたニーズに応えられるのが強みです。

ポイント 9業種を初期費用と向く人で比較する

9業種を初期費用と向き不向きで見る早見表

フリーランス

9業種を並べて見ても、初期費用や向いている人はそれぞれ違います。下の表で、自分の手持ちや性格に近いものを探してみてください。

業種 初期費用の目安 向いている人
アフィリエイト・SNS運営 ほぼ0円 発信を続けられる人
ネットショップ経営 数千円〜数万円 商品を見立てるのが好きな人
ライティング ほぼ0円 調べて書くのが苦でない人
代行業 数千円〜 体を動かすのが好きな人
コーチング・コンサル ほぼ0円 人に教えるのが好きな人
プログラマー ほぼ0円 技術を磨き続けられる人
サロン経営 数万円〜数十万円 手に職をつけたい人
動画投稿 数万円〜 表現や企画が好きな人
レンタル業 数万円〜 アイデアを形にできる人

こうして並べると、9業種のうち多くがパソコンやスマホ1台、数万円以内で始められることが分かります。日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」でも、開業費用が「250万円未満」の人は20.1%を占めています。

開業費用の中央値も600万円まで下がってきています。ここから読み取れるのは、起業はもはや大金を用意して始めるものではなくなったということです。私たちの支援現場でも、最初の元手は10万円以下という相談者の方が年々増えています。

ポイント おすすめ業種9つのメリット・デメリット

おすすめ9業種それぞれの長所と短所を整理

動画撮影

稼げそうな業種でも、自分に合っていなければ時間を無駄にしてしまいます。予算やかけられる時間、理想の働き方を思い浮かべながら、9業種の長所と短所を見ていきましょう。

アフィリエイト・SNS運営:低コストだが根気が要る

メリットは、事業のすべてを個人で完結できることです。スマホがあれば、無料のSNSだけで始められます。

デメリットは、成果が出るまでに時間がかかる点です。基本は継続的な発信とファンづくりが前提になるため、根気と分析力が求められます。

ネットショップ経営:好きな商品を売れるが目利きが要る

メリットは、趣味の作品や得意分野の商品をそのまま収入に変えられることです。

デメリットは、商品の品質や見せ方が弱いと売上につながらない点です。在庫を抱えるようになると、保管場所の確保も課題になります。

ライティング:元手なしで始められるが向き不向きが大きい

メリットは、文章力と調べる力さえあれば元手なしで稼げることです。

デメリットは、AIの普及で情報をまとめるだけのライターは価格が下がっている点です。向き不向きの差も大きく、書くこと自体が苦手だと続きません。

代行業:個人で始めやすいが利益は小さめ

メリットは、アイデアとフットワークの軽さがあれば稼げることです。

デメリットは、人口の多い地域でないと需要を見つけにくい点です。1人で動ける時間にも限りがあるため、単価設定や予約の組み方を先に考えておく必要があります。

コーチング・コンサルタント業:実力次第で伸びるが営業力が要る

メリットは、自分の体と知識だけで始められることです。実績を重ねれば、本の出版やイベント開催に広げる道もあります。

デメリットは、人に教えるのは想像以上に難しく、集客のための営業力も欠かせない点です。

プログラマー:単価が高いが習得に時間がかかる

メリットは、大きな案件だと1件で数十万円から数百万円規模になることです。技術があれば、短時間で月給ぶんを稼ぐことも可能です。

デメリットは、実力がなければ案件を取れない点です。企業から仕事を受けるには、技術と並んで営業の準備も欠かせません。

サロン経営:気軽に働けるが固定費に注意

メリットは、好きなときに気軽に働けることです。店舗を持たなければ、週末だけ、予約が入ったときだけといった働き方も選べます。

デメリットは、定期的に営業しないと身内中心の集客になり、収入が安定しない点です。広告費が高騰しやすいので、Instagramやショート動画で土台を作っておきましょう。

動画投稿:当たれば大きいが手間と情報管理に注意

メリットは、当たったときの見返りが大きいことです。動画は残り続けるので、宣伝費を抑える資産にもなります。

デメリットは、原則として高い頻度で投稿が必要な点です。撮影や編集に時間がかかり、外注すると1本あたり数万円かかります。有名になると個人を特定されるリスクも出てきます。

レンタル業:アイデアで伸びるがセンスが要る

メリットは、アイデア次第で大きく育てられることです。モノを長く使う流れにも合っています。

デメリットは、知名度を高める工夫と、お金になるニーズを見つける発想力が要る点です。隠れた需要を掘り当てるセンスがないと、思うように稼げません。

ポイント 自分に合う業種の選び方|3つのチェックで絞り込む

市場性・実現可能性・差別化の3つで選ぶ判断軸

フリーランス

9業種を見比べても、結局どれにすればいいのか迷う方は多いはずです。そこで役立つのが、候補を3つの問いで点検する方法です。

拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』。第3章では、事業のタネを見極める視点として「市場性」「実現可能性」「差別化可能性」の3つを紹介しています。むずかしく聞こえますが、要は次の問いを自分に投げかけるだけです。

  • 市場性:
    その仕事に、お金を払ってくれる人は実際にいるか
  • 実現可能性:
    今の自分の時間・お金・スキルで、無理なく始められるか
  • 差別化可能性:
    ほかの人と少しでも違う色を出せるか

たとえばライティングに惹かれていても、書くことが続かない人は実現可能性で引っかかります。逆に、家事が得意で近所づきあいも多い人なら、代行業は市場性と実現可能性の両方で丸がつきます。3つすべてに丸がつく業種ほど、最初の壁を越えやすくなります。

このとき意識したいのが、AIに置き換えられにくい色をどう足すかです。フリーランス人口は1,303万人、経済規模は20兆3,200億円に達し(ランサーズ「フリーランス実態調査 2024年」2025年3月公表)、ひとりで働く人はすでに珍しくありません。そのぶん、誰でもできる仕事は競争に巻き込まれます。差別化可能性という3つ目の問いは、これからますます効いてきます。

安さで消耗していた会員さんが、単価を見直して抜け出した話

40代でWeb制作を始めた三宅さんは、最初の半年、相場より安い料金で次々と案件を引き受けていました。安ければ選ばれると思っていたからです。ところが、安い仕事ほど細かい修正依頼が増え、手を動かすほど赤字に近づいていきました。

転機は、同じ仕事を自分の3倍の料金で受けている同業者を見つけたことでした。何が違うのかと調べるうちに、相手は「飲食店専門」と看板を絞り、写真の撮り方まで含めて任せられる人だと分かりました。三宅さんは、自分も得意だった飲食店向けに対象を絞り、料金を一度に上げました。

すると、3,000円で受けていた小さな修正が、同じ作業でも1万円で受けられるようになりました。仕事の数は減ったのに、手元に残るお金は増えたのです。三宅さんは「安さで戦っていた頃の自分に、早く選び方を教えたかった」と振り返ります。

ポイント 起業のおすすめ業種に関するよくある質問

業種選びでよく届く疑問にまとめてお答えします

起業前質問集

初心者が一番始めやすい業種はどれですか?

初期費用がほぼ0円のアフィリエイト・SNS運営やライティングは、金銭的なハードルが最も低い業種です。ただし「始めやすい=続けやすい」ではありません。発信や執筆が苦にならないかを、先に小さく試してから決めるのが安全です。

資格がないと起業できない業種はありますか?

今回の9業種は、いずれも資格がなくても始められます。コーチングやコンサルも、国家資格ではなく実体験や得意分野が元手になります。一方で、サロン経営の一部など、人の身体やお金を扱う仕事には届け出や許可が要る場合があるため、選んだ業種ごとに公式の窓口で確認しておくと安心です。

AIに仕事を奪われない業種はどれですか?

サロン経営のように人が直接ふれるサービスや、取材・実体験に裏づけられた発信は、AIに置き換わりにくい分野です。逆に、情報をまとめるだけのライティングや単純なプログラミングは影響を受けやすくなります。どの業種でも、AIを敵にせず道具として使う姿勢が、これからの分かれ目になります。

複数の業種を同時に始めてもいいですか?

最初のひとつに手応えが出るまでは、業種を絞ることをおすすめします。同時にいくつも始めると、どれも中途半端になりやすいからです。ひとつが軌道に乗ってから相性のよい業種を足すほうが、結果的に早く前に進めます。

ポイント まとめ|低コストで個人で始められる業種から選ぼう

手持ちの強みで無理なく始める業種選びのコツ

生きがいとバランス

これから起業するなら、初期費用が少なく、個人で営業できる業種から選ぶのが堅実です。フリーランスとして起業する人は全体の46.2%にのぼり(中小企業庁「2019年版小規模企業白書」)、ひとりで始める道は特別なものではなくなりました。

ただし、同じように低コストで始められても、向き不向きは必ずあります。向いていないことに力を入れても結果は出にくいので、自分の得意なことを軸に業種を選びましょう。気になる業種が見つかったら、いきなり開業せず、まずは知り合い1人に有料で1件だけ引き受けてみてください。お金をもらって成立するかどうかが、どんな調査よりも確かな答えになります。

どの業種を選ぶかに、たった一つの正解はありません。今すぐ動くのも、知識を蓄えてから動くのも間違いではありません。大切なのは、自分で選んだという感覚を持って一歩を踏み出すことです。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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