記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
会社を辞めたいです。馴染めなくて毎日苦しんでいます。転職も考えましたが、もう40代半ばで子供も小学生、家族には猛反対されています。すでに3度の転職経験があり、それもネックになっています。一生できる仕事をして、落ち着いた人生を送りたいのですが、私はどうすれば良いでしょうか?

● 回答
苦しい毎日を抱えながら、家族のことも考えていらっしゃる。とても誠実な姿勢だと感じます。結論からお伝えすると、いまの会社は辞めず、起業準備の形で「一生できる仕事」を育て始めるのがいちばん安全で、家族にも納得してもらいやすい道です。
私のこれまでの起業支援の経験では、40代で家族に反対される方の多くは「いきなり辞める前提で話を持ちかけてしまう」ところでつまずいています。家族が反対しているのは「あなたの人生」ではなく、「収入が止まる未来」です。ここを切り分けるだけで、会話がぐっと楽になります。
日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」では、開業者全体に占める40代の比率は37.4%と、全世代の中で最大ボリュームでした。つまり40代半ばでの起業準備は、けっして遅くも珍しくもありません。むしろ職務経験の厚みを武器にできる「ベストゾーン」です。
家族が反対するのは「あなた」ではなく「収入が止まること」
「猛反対」という言葉の裏にあるのは、ほぼ100%「収入が下がったらどうするのか」「子供の教育費は」「住宅ローンはどうする」という、ごく現実的な未来不安です。あなたの人格や能力を否定しているわけではありません。
ところが、苦しさを抱えた状態で「もう辞めたい」と切り出すと、家族には「収入を捨ててまで突っ走ろうとしている」と聞こえてしまいます。ここで会話は対立に変わってしまうのです。
- 「もう限界。辞める。次は自分でやる」と一方的に宣言
- 家族を説得材料に向き合わず、感情論で押し切ろうとする
- 「3度転職している」事実を切り札のように使ってしまう
- 退職後の収入計画を白紙のまま見せる
これらは、家族の不安をそのまま引き出すNGの伝え方です。家族の反対はあなたの敵ではなく、あなたを守ろうとして出ているサイン。いきなり「辞める」を持ち出さず、「会社を続けながら準備する」を前提に話すだけで、空気は変わります。
「闘争力」より「逃走力」――辞めない勇気が一生の仕事をつくる
拙著『起業がうまくいった人は一年目に何をしたか?』に「闘争力より逃走力」という章があります。闘って勝とうとするより、リスクから上手に逃げ切る人のほうが、結局は事業を続けられるという考え方です。
40代半ばのあなたの場合、「会社を辞める」のは闘争。「会社で働きながら一生の仕事を育てる」のが逃走力です。一見、後ろ向きな響きですが、実は逃走力こそが、家族・住宅ローン・子供の進学費という「守るべきもの」を抱えた人の最強戦略なのです。
- 退職前に起業準備の収入で月5万〜10万円を2年継続
- 退職時には起業準備の収入が会社月収の半分以上ある状態を目標
- 家族に毎月「起業準備の収入の数字」を見せる(信頼の積み上げ)
- 会社の退職金・健康保険・住宅ローン控除の影響を一覧で家族と共有
このステップを踏むと、家族の反対は「条件付きの容認」に変わっていきます。「数字が出ているなら考えてもいい」「住宅ローンの目処が立つならいいよ」という具体的な合意点が見えてきます。
会員Yさんの事例:金融営業45歳、家族猛反対から月25万円まで
起業18フォーラム会員のYさん(45歳・男性・元金融機関営業)も、まったく同じ状況でした。営業ノルマと社内人間関係に消耗し、退職を口にしたところ、奥さま(パート勤務)と中学生・小学生の2人のお子さんから猛反対を受けたそうです。
Yさんがまず行ったのは、退職をいったん完全に取り下げ、奥さまに「2年間、会社を続けながら起業準備で月10万円の収入を作る」と約束したことでした。最初の半年は、FP資格を生かして家計相談のスポット相談(1回5,000円)を週末に受けるところから。起業セミナー・人脈交流会には「家族に時間を取られていないか」を確認しながら参加し、家族との時間を最優先したそうです。
1年経過時点で月収は12万円に到達。2年目には法人向けFP研修と個別コンサルが加わり、月収25万円を超えました。この段階で奥さまから「条件付きでなら、会社を辞めても大丈夫」という言葉が出たそうです。Yさんは結局、退職を決断したのは3年目に入ってから。「家族の納得を待つ時間こそが、自分の事業を強くしてくれた」と振り返ります。
3度の転職経験は「ネック」ではなく「資産」になる
ご質問のなかで「3度転職した経験がネック」とおっしゃっていますが、起業の世界では事情がまったく逆になります。3つの会社・業種を経験している人は、業界横断の視点・複数の人脈・幅広い顧客像の理解を持っています。これは新卒で1社しか経験していない人には真似のできない強みです。
転職を繰り返したことで「自分には何が向かないか」が明確になっているはずです。これは、起業の方向を絞り込むうえでこの上ない判断材料になります。
- 転職した3社の業種・職種を時系列で書き出す
- 各社で「うまくいった仕事」と「合わなかった仕事」を分ける
- うまくいった仕事のうち「在職中もできる」ものを3つ選ぶ
- その3つを、次の半年で起業準備として小さく試す
転職経験は「不安定な人」のラベルではなく、「いろいろ見てきた人」のラベルに張り替えられます。過去をネガティブにとらえる必要はありません。あなたの履歴は、起業準備の素材そのものです。
今日からできる3つのアクション
最後に、今日・今週から動けることを3つだけ提示します。
- 退職の話を2年間、家族の前で「凍結」すると宣言する
- 過去3社で得たスキル・人脈・実績を、A4一枚に書き出す
- 週末2時間だけ「起業準備として何ができるか」を考える時間を確保する
家族はあなたの敵ではありません。むしろ、いちばんの応援団になり得る存在です。在職のまま、ゆっくりでいい。一生できる仕事を、家族と一緒に育てていく。その道を選んだ人を、私は何百人も見てきました。

苦しい毎日を抱えながら家族と向き合っているあなたへ。退職という大きな決断を急がず、まずは「会社を続けながら準備する」一歩を、今日から始めてみてください。
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