20代で成功した女性起業家の共通点は? 5つの特徴と小さく始める設計

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

SNSやネットニュースで、同世代の女性起業家を見かけることが増えました。20代で起業して成功した女性には、どんな共通点があるのでしょうか?

私は社会人3年目の26歳です。貯金は多くなく、特別な実績もありません。それでも、自分の仕事を小さく始めることはできるのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

先に答えをお伝えします。20代で成功した女性起業家に共通するのは、資金力や経歴ではなく、狙いを絞り、SNSで共感を集め、手元のお金で始める小さな設計です。貯金の額は、共通点のリストには入っていません。

「同世代の活躍がまぶしいのに、自分には何もない」。起業18フォーラムの相談でも、20代の女性からこの言葉をよく聞きます。身近にお手本がいないのですから、不安になるほうが自然です。

数字の上でも、20代の起業家はまだ少数派です。日本政策金融公庫総合研究所の2025年度新規開業実態調査(2025年12月公表)では、開業者に占める女性の割合は25.7%と、4年連続で過去最高を更新しました。少なくとも同調査の開業者に占める女性割合は、上昇傾向が続いています。

一方で、日本政策金融公庫の同じ調査では、開業時の年齢が29歳以下の人は7.0%にとどまります。およそ14人に1人ですから、身近にお手本が見当たらないのは、あなたの探し方のせいではありません。前例が薄いからこそ、先に動いた人の共通点には、型として学ぶ価値があります。

まず、ご質問の中心である共通点を5つに整理してお答えします。どれも、まとまった資金や珍しい経歴がなくても再現できる「行動の特徴」です。

20代女性起業家

1.大手が狙わないニッチに絞っている

大学在学中にランジェリーブランド「feast」を立ち上げたハヤカワ五味さんは、「バストが小さい人のための下着」という一点に狙いを絞り、累計2万5,000枚(2021年時点の公表値)を販売しました。ブランドは2023年に下着づくりの専門企業へ事業譲渡され、本人は新しい分野に進んでいます。

これがもし「若い女性向けのおしゃれな下着」という広い狙いだったら、大手と同じ土俵で埋もれていたはずです。資金の少ない20代が勝てる場所は、大企業がロットの都合で拾えない、小さくても切実な悩みのすき間にあります。

2.違和感や「欲しいのに無い」を企画に変えている

飲食店を予約すると発展途上国の子どもに給食が届く仕組みを作った城宝薫さんは、大学在学中の2014年に株式会社テーブルクロスを設立しました。現在は訪日客向けのグルメ予約サイト「byFood.com」を運営し、予約のたびに寄付が積み上がる形を続けています。

出発点は、学生時代に海外で見た「利益を出しながら社会貢献する活動」への驚きだったといいます。日常で感じた違和感や感動を、感想のままで終わらせずに企画へ変える姿勢が、2つ目の共通点です。

SNSでの発信

3.SNSを「共感が積み上がる場所」として使っている

広告費をかけられない20代にとって、InstagramやX(旧Twitter)、TikTokは事実上の広告部門です。ただ、成功した人の使い方は宣伝の連投ではなく、商品の裏側や自分の考えを発信して、買う前から応援される関係を作るやり方です。

フォロワーの数より、コメントや保存といった反応の濃さを見ている点も共通しています。共感が先で販売が後という順番が、無名でも選ばれる理由になります。

4.自分が「最初のお客様」になれる悩みを選んでいる

feastの下着も、もとはハヤカワさん自身の「自分に合う下着が見つからない」という実感から生まれたと語られています。自分が当事者である悩みなら、商品の出来を自分の感覚で確かめられ、発信の言葉にも実感がこもります。

20代にとっては、市場規模の資料より、自分の困りごとの記憶のほうが確かな手がかりになります。等身大であることは弱みではなく、検証の手間とお金を減らす強みです。

5.早い段階で相談相手を見つけている

5つ目は、ひとりで抱え込まないことです。社会人経験の浅い20代は、判断に迷う場面がどうしても多くなります。成功した人ほど、起業の早い段階で先輩起業家や支援窓口に質問できる関係を作っています。

いまは、よろず支援拠点や商工会議所の創業相談など、起業前の人でも無料で使える窓口が各地にあります。メンター探しは人脈自慢の世界ではなく、公的な窓口からでも始められます。

開業資金の設計

貯金が少なくても始められる「小さな設計」

とはいえ、「起業にはまとまったお金が要るのでは」という不安は残るはずです。ここも数字で確かめておきましょう。

同じ2025年度新規開業実態調査では、開業費用の平均は975万円である一方、250万円未満で開業した人が20.1%と、およそ5人に1人を占めています。平均値は店舗や設備に投資した人が押し上げているだけで、少額で始める層は長期的に増える傾向にあります。

拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』では、起業の入口で「自己資金で立ち上げられるか」を最初に確かめる考え方を紹介しています。初期費用だけでなく、半年分の運用費用まで自分のお金で出せる規模に収めるという判断基準です。

20代の側から読み替えると、「貯金が足りないから始められない」ではなく、「いまの貯金で半年回る大きさまで、事業のほうを小さくする」となります。借りて大きく構える道は、設計を体で覚えたあとに選んでも遅くありません。

比較 先に大きく構える設計 手元資金に収める設計
初期費用 店舗・内装・在庫で数百万円 SNSと受注生産で数万円から
失敗したとき 借入が残り、撤退の判断が遅れる 失うのは時間と少しの材料費だけ
試せる回数 実質1回勝負 何度でも企画を出し直せる

右の列で始めて、手応えのあった部分にだけあとからお金を足していくのが、貯金の少ない20代に最も合う順番です。

SNSで発信する女性

「左利きの妹」に絞って動き出した三輪さんの例

起業18フォーラム会員の三輪さん(仮名・20代後半)は、文具メーカーで販売企画を担当しています。雑貨が好きで、おすすめ文具を紹介するアカウントを見よう見まねで1年近く続けていましたが、フォロワーは横ばいで、紹介した商品が売れた実感もありませんでした。

動きが変わったのは、ある投稿の数字に気づいてからです。左利きの妹のために選んだはさみとノートを紹介した1本だけ、保存の数と「私も左利きです」というコメントが突出していました。

勉強会でその画面を見せると、話題は「何を足すか」ではなく「何を削るか」に集まりました。三輪さんは紹介する文具を左利き向けだけに絞り、買って試した感想を妹との会話つきで載せる形に変えました。

絞ってから10ヶ月ほどたった現在も、フォロワー数は派手には増えていません。それでも、プロフィール経由で「うちの子も左利きで、入学準備に何を選べばいいか知りたいです」という相談が届くようになり、アカウント名を検索して来てくれる人が初めて現れました。

いまは相談をもとに選んだ文具セットの受注販売を、月に数件ずつ続けています。仕入れは注文を受けてからなので、かかったお金は撮影用の文具代くらいで、貯金の範囲に収まったままです。

発信が伸びずに悩んでいるなら、新しく何かを足す前に、反応が突出した過去の1本を探して、そこへ絞れないかを試してみてください。三輪さんの転機も、特別な才能ではなく、すでに手元にあった数字の中にありました。

支援制度の相談

20代女性が使える支援制度の現在地

手元のお金だけでは心細いときのために、公的な支援の入口も現在の形で整理しておきます。覚えるべきは制度の名前ではなく、信頼できる探し場所です。

公的支援を探す2つの入口

  • J-Net21の支援情報ヘッドライン:
    中小企業基盤整備機構が運営し、国や都道府県の補助金・助成金・セミナー情報が随時更新される
  • 市区町村の創業相談窓口:
    商工会議所やよろず支援拠点を含め、地域限定の制度はネット検索より窓口に聞くほうが早い

このうちJ-Net21の「支援情報ヘッドライン」では、地域と分野で絞り込んで、いま募集中の支援情報を検索できます。古いまとめ記事の制度名で探すより、今日の募集状況を見るほうが確実です。

融資にも、女性と若者を後押しする枠があります。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」では、女性または35歳未満の方に通常より低い特別利率が適用されます(2026年6月時点)。すぐ借りる予定がなくても、この枠の存在は心の保険になります。

ただし、補助金の多くは精算払いで、お金は先に出ていきます。制度はあくまで上乗せと考えて、土台は前の章の「手元資金に収める設計」で作る順番を守ってください。

ポイント よくある質問

20代女性の起業準備で迷いやすい疑問3つ

起業前質問集

Q.会社を辞めてから集中して準備したほうがいいですか?

急いで辞める必要はありません。給料という安定収入は、小さく試す時期の最大の味方です。売上がない期間の生活費を給料が支えてくれるあいだに、絞り込みと発信を進めるほうが、結果として失敗に強くなります。

Q.SNSのフォロワーが少ないままでも始められますか?

始められます。三輪さんのように、数より先に反応の濃さが変わるのが普通です。フォロワーが少ない時期は、一人ひとりのコメントに丁寧に返せる時期でもあります。濃い10人は、薄い1,000人より強い土台になります。

Q.何の分野で始めるかが決まりません。どう絞ればいいですか?

大きな市場から選ぼうとすると決まりません。自分が時間とお金を使ってきたことや、人からよく質問されることの中で、「困っている特定の誰か」の顔が浮かぶものから試してください。ニッチとは狭さのことではなく、顔が見える近さのことです。

最後に、今日からの一歩をひとつだけ提案します。気になる分野で半歩先を行く同世代の発信者を3人選び、「誰のどんな悩みに絞っているか」「最初の商品は何か」「値段はいくらか」の3項目だけで小さな比較表を作ってみてください。埋め終わる頃には、5つの特徴が自分の言葉に変わり始めています。

その表に、いつか自分の名前を並べるつもりで眺めると、先輩たちの絞り込みの思い切りのよさが見えてきます。20代の起業で本当に怖いのは、貯金が少ないことより、狙いが広いまま走り出すことのほうです。

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ロールモデルが見つからないのは、あなたが誰の真似でもない場所に立っている証拠でもあります。数年後、いまのあなたと同じ言葉で検索した誰かが、あなたの発信にたどり着くかもしれません。その連なりは、今日の小さな絞り込みから始まります。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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