中古品の転売は違法? 古物商許可が必要なケースと不要なケースの線引きとは?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

起業ネタとはまだ言えないのですが、とりあえず始めているヤフオクやアマゾンを使った転売(せどり)で、利益を増やせないかを考えています。

ヤフオクを見ると本やDVDの転売がされていますし、アマゾンにも中古本がたくさん並んでいます。これらは、そもそも法的に問題ないのでしょうか?

新井さんの本の中古を私が転売しても、著作権の面で大丈夫なのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

中古品の転売そのものは違法ではありませんが、利益目的で仕入れて転売するなら古物商許可が必要になる場合があります。一方で、自分が使った不用品を売るだけなら許可は要りません。まずはこの「線引き」をはっきりさせるところから始めましょう。

ご質問には、大きく2つの心配が含まれているとお見受けします。ひとつは古物商許可のこと、もうひとつが本やDVDの著作権のことですね。順番に整理していきます。

古物商許可が「必要なケース」と「不要なケース」

分かれ目は、売るかどうかではなく「利益を目的に仕入れて転売しているか」です。原則として、法律や条例で禁止されていない限り、物を売ること自体は自由です。ただし、転売して利益を出すために仕入れた物を反復して売る場合は、古物営業法上の許可が必要になります。

ここで見落としやすいのが「古物」の定義です。古物営業法では、一度でも消費者の手に渡った物は、たとえ未使用・未開封でも「古物」として扱われます。新品のつもりで仕入れても、誰かが一度買った物を転売目的で仕入れれば、許可の対象になり得ます。

  • 許可が必要になりやすい:
    利益目的で仕入れた中古本・DVD・家電・ブランド品を反復継続して転売
  • 許可が必要になりやすい:
    リサイクルショップで安く買って高く売る、いわゆるせどり
  • 許可が不要になりやすい:
    自分が使った不用品をメルカリ等で売る
  • 許可が不要になりやすい:
    無償でもらった物を売る

許可なく古物営業を営むと、古物営業法ではかなり重い罰則が定められています。無許可営業は3年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金の対象になり得ます(古物営業法第31条)。許可は営業所のある都道府県の公安委員会へ申請します。判断に迷う場合は、東京都であれば下記の窓口、それ以外の地域はお住まいの都道府県警の生活安全担当に確認するのが確実です。

確認先の例:古物商許可窓口(東京の場合・警視庁)

本やDVDの中古転売と著作権はどうなるのか

では、本やDVDといった中古の著作物を転売することは、著作権の面で問題ないのでしょうか。これも結論からお伝えすると、適法に売られた本やCDを買って転売するのは、原則として問題ありません。

著作権には「譲渡権」という権利があり、著作物を公衆に渡すことを制限できます。ところが、いったん適法に譲渡された物については、その後の再譲渡に譲渡権が及ばなくなります。これを「権利の消尽(しょうじん)」と呼びます。文化庁の著作権テキスト(令和6年度版)でも、適法に譲渡された後の中古品の流通について、著作権者の許諾は不要と整理されています(著作権法第26条の2第2項)。

ですから、書店で買った私の本を読み終えて中古として転売することも、法的にはまったく問題ありません。ご質問のように「著者の本を勝手に売っていいのか」と気になったときは、海賊版や違法コピーでない限り大丈夫、と覚えておいてください。ただし違法に複製された本やCDには譲渡権が働くため、海賊版を売れば別の問題になります。

情報商材やデジタルコンテンツの転売は避けたほうがよい

一方で、購入して不要になった情報商材を転売している人を見かけることもありますが、これはおすすめできません。理由は2つあります。

ひとつは、デジタルコンテンツが先ほどの「消尽」の対象になりにくいことです。消尽は「物」として渡った複製物を前提にしているため、ダウンロード販売のようにデータで渡るものには、原則として当てはまりません。もうひとつは契約上の問題です。販売時に「転売禁止」と明記されている商材を転売すると、契約違反として民事トラブルに発展しかねません。

  • 転売禁止と明記された情報商材の再販売
  • ダウンロード形式のデジタルコンテンツの転売
  • 規約で再販売を禁じたソフトやライセンスの横流し
  • 正規品か判断できないグレーな中古の仕入れ

「転売しない約束で売った」と主張されて訴訟になると、得られる利益に比べて失うものが大きすぎます。物としての中古品から始めて、デジタルや情報商材の転売には手を出さない、という線を最初に引いておくと安全です。

中古品の転売と古物商許可を確認する様子

転売を「起業準備」に育てた会員さんの話

起業18フォーラム会員の大隅さん(仮名・30代後半・物流会社の倉庫管理)は、最初ヤフオクとアマゾンの中古転売を自己流で始めました。出だしでつまずいたのは、利益を出すために中古本を大量に仕入れて売り続けていたのに、古物商許可のことをまったく知らなかった点です。SNSで見た「許可なんて要らない」という情報をうのみにしていました。

その後、起業18フォーラムの勉強会で「仕入れて反復して売るなら許可の対象になる」と学び直し、地元の県警に相談して古物商許可を取得しました。許可を取ってから、仕入れの記録と帳簿をきちんとつけるようになったのが大隅さんの転機でした。後ろめたさが消え、扱う商品を絞り込めたことで、かえって利益率が上がっています。

起業準備から1年ほどたった今、月の利益は2万2千円台で安定しています。大きく稼げてはいませんが、法的にクリアな状態で続けられる安心感のほうが、本人にとっては大きいそうです。拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』では、技能や時間の切り売りではなく自分のビジネスを持つことの大切さを紹介しています。転売も、許可と記録という土台を整えれば、立派な自分のビジネスの入り口になります。

ポイント 中古品の転売についてよくある質問

許可・著作権・始め方でつまずきやすい点の整理

起業前質問集

メルカリで自分の不用品を売るだけでも古物商許可は要りますか?

自分が使っていた不用品を売るだけなら、許可は要りません。古物商許可が問題になるのは、利益目的で仕入れた物を反復して転売する場合です。まずは家の不用品から始めて、仕入れて売る段階に進むときに許可を検討してください。

いくら稼いだら古物商許可が必要になりますか?

金額で線が引かれているわけではありません。判断の軸は「転売目的で仕入れたか」と「反復継続して売っているか」です。少額でも転売目的の仕入れを繰り返していれば対象になり得ますので、迷ったら都道府県警の窓口で確認するのが確実です。

古物商許可はどこで申請しますか?

営業所のある都道府県の公安委員会に申請します。実際の窓口は、お住まいの地域を管轄する警察署の生活安全担当です。申請には手数料がかかり、書類審査に1か月ほど見ておくと安心です。

メルカリから本格的な物販に進むとき何に気をつけますか? 売る前に決める3つの線引き
● 質問 メルカリで不用品を売っていたのですが、もう少し本格的に物販を始めたいと思っています。何を仕入れて売れ

転売は「許可が要る場合と要らない場合の線引き」さえ押さえれば、過度に怖がる必要はありません。自分の不用品から小さく始め、仕入れて売る段階に進むときに古物商許可を整える。この順番なら、法的なリスクを避けながら無理なく続けられます。

今日できることは、自分がやろうとしているのが「不用品の整理」なのか「仕入れての転売」なのかを書き出してみるだけで十分です。そこがはっきりすれば、次に取るべき手続きも自然と見えてきます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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