種子島で起業を考えたら押さえる地域資源と支援|本土との二拠点という選択肢

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

種子島でお勤めの方や、移住を視野に入れた方から、起業準備をどう始めたらよいかご相談いただくことが増えてきました。鹿児島県の離島・人口約2万7,700人の種子島は、JAXAの種子島宇宙センターという観光資源と、安納芋・サーフィン・農業という産業基盤を持ち、起業を考える角度が他の地方とは異なる地域です。

鹿児島港から高速船で約1時間35分、鹿児島空港からプロペラ機で約40分。離島の中では本土へのアクセスが比較的整っており、関係人口・二拠点居住の起点としても近年注目されています。本記事では、種子島で勤めながら起業準備に動く場合の現実的な道筋を整理します。

ポイント 種子島で起業準備を始める前提

宇宙と安納芋とサーフィンが重なる種子島の事業立地

種子島

種子島は鹿児島県に属し、西之表市・中種子町・南種子町の3自治体で構成されます。総務省「令和2年国勢調査」によれば、島全体の人口は西之表市14,706人・中種子町7,539人・南種子町5,445人の合計27,690人です。離島ながら本土へのアクセスが整っており、関係人口型の起業や島外マーケット向けの事業が成立しやすい環境です。

中小企業庁が毎年公表する中小企業白書・小規模企業白書でも、人口減少地域・離島における観光・地場産業を活かす中小企業・小規模事業者の役割が大きな論点として継続的に取り上げられています。種子島の場合、宇宙観光と農産品ブランドという2つの軸があるため「島内の困りごとを解決する」起業に加えて「島外に届ける」起業の両軸が成立しやすい構造があります。

ポイント 知っておきたい支援施策

先に全体像だけ押さえたい支援制度の道具群

種子島

種子島内・鹿児島県内には、起業準備中の方が将来活用できる支援施策があります。重要なのは、いますぐ駆け込むことではなく、方向性が固まったあとに使う道具として知っておくことでした。

  • 特定創業支援等事業:
    各自治体の支援を受けて証明書を取得すると、要件を満たす会社設立時に登録免許税の軽減を受けられる場合がある
  • 各自治体の産業振興課・商工会:
    創業相談・地域内の事業者ネットワーク紹介の窓口
  • かごしま「よかとこ」暮らし支援センター:
    鹿児島県の移住×創業相談窓口・移住支援金(世帯最大100万円・要件あり)との組み合わせも可能
  • 日本政策金融公庫鹿児島支店:
    新規開業資金・女性、若者/シニア起業家支援関連融資の窓口

支援施策は、行き先が決まった人にとって強力な道具になります。逆に「何をやるか」が見えていない段階で相談に行っても、担当者も答えに迷ってしまいます。まずは自分の方向性を決める時間を確保するほうが先になります。

ポイント 種子島で見える3つの起業機会

観光・農産品・島外提供の三軸から起点を選ぶ

種子島

種子島で勤めながら動ける起業の方向性は、大きく次の3つに分けられます。

  • 観光客導線活用型:
    ロケット打ち上げ見学・宇宙センター来訪者・サーフィン来訪者向けのガイド・体験型サービス・オンライン物販
  • 農産品ブランド加工型:
    安納芋・島バナナ・黒糖など島の特産品をECサイトや産直プラットフォームで島外に販売
  • 島外スキル提供型:
    本業のスキル(ライティング・デザイン・編集等)を島外の企業・個人に届ける形。島に住みながら島外受注

拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』に「好きなことの中で時間を忘れて話せる部分を切り出す」と書いています。離島で勤めながら動く人は、好きなことそのものではなく、好きなことの中の一部分を切り出して定点で出していくことが続けやすい設計でした。島の魅力を商品にしようとするより、本業で磨いたスキルを島外マーケットに届ける角度のほうが立ち上がりやすくなります。

ポイント 会員さんの事例

種子島で動き出した広報スキル活用の歩み方

種子島

会員さんのHさん(仮名・44歳・既婚・中学生の子1人・東京のメーカーの広報担当)は、ロケット打ち上げ見学ツアーで種子島を初めて訪れ、島の空気感と地元の方々との出会いから「ここで何かやってみたい」という気持ちが芽生えました。

自己流で動いた最初の半年は「宇宙体験をテーマにした記事を売る」という方向で進めましたが、島内の企業や施設にコンタクトしても「実績がない個人に頼む理由がない」と断られ続けたそうです。起業18フォーラムの勉強会で「好きなことのほんの一部分を切り出す」という視点に出会い、宇宙への愛着ではなく、本業で磨いた広報スキルが切り出せる部分だと整理し直したとのことです。

方向を切り替えてから動きが変わりました。島内の農泊施設・民宿を訪問し「SNS投稿文と宿のコンセプト説明文を整える」という具体的な提案を持ち込んだとのことです。最初の契約は農家民宿1軒・月2万円から始まり、半年後には種子島内の農家民宿3軒と契約が続いて月収8万円ラインに届きました。

準備18ヶ月目で月10万円、26ヶ月目で月15万円の継続収入になり、現在も東京の会社勤めを続けたまま、二拠点準備を少しずつ進めているとのことです。いきなり移住するのではなく、東京と種子島を往復する関係人口の形が、結果として続けやすい設計になったとのことでした。

ポイント 種子島で起業準備を続ける順番

基礎を学んでから支援施策へ進む流れの整理

種子島

種子島で起業準備を続けたい方には、次の順番をお勧めしています。

  • STEP1:
    まず起業18フォーラムの動画・セミナーで起業の基礎と全体像を学ぶ
  • STEP2:
    種子島で見える島の困りごと・島外マーケットで売れる素材を100個メモする(3ヶ月かけて構わない)
  • STEP3:
    方向性が見えてきたら、自治体の特定創業支援等事業・かごしま「よかとこ」暮らし支援センターを使い始める
  • STEP4:
    二拠点で始める場合は、最初の半年は移住せず、月1〜2回の往復で関係人口として動く

種子島の起業は、宇宙・農産品・サーフィン・離島というポジションを抱えて進むことになります。条件の多さに圧倒されるより、自分の本業や経験と重なる軸を1つに絞って動くほうが、地域にも自分にもやさしい着地点にたどり着けます。

離島で勤めながら始める準備は、急がずに3年単位で組み立てるのが現実的です。今夜まず、種子島で気になっている地域資源を3つ思い浮かべてみてください。半年後の方向性の輪郭が、少しずつ見え始めます。


さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

起業アイデア診断
【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!

【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!

ポイント この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます!