高松で起業するには? 四国拠点とうどん県・アート県の広域立地を活かす始め方

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

あなぶきアリーナ香川は2025年2月24日に開館し、高松駅周辺では新しい人の流れが生まれています。起業支援の現場で「やっぱり都会のほうが起業に有利では」と迷う声を受けるたび、「半分だけ当たっていて、半分は違います」と答えてきました。

高松で起業するなら、四国の交通拠点、うどん県とアート県という全国認知、そしてサンポート周辺の整備。この3つの特徴を約40万人という都市規模に合った顧客層で受け止める考え方があります。高松市公式サイトによると、推計人口は2026年6月1日時点で405,799人です。

ポイント 高松で起業を考えるときの3つの立地優位

四国拠点・うどんアート・再開発の三位一体

高松

高松はJRで瀬戸大橋を経由して岡山方面へつながり、高松港の航路や高松空港も利用できます。市内だけでなく、四国内や中国・関西方面との移動を組み合わせやすいのが特徴です。なお、かつての宇高航路の定期旅客船は2019年に休止しており、現在の移動手段として案内することはできません。

高松で起業を考えるなら、「地元密着」と「広域向け」の二段構えを最初から意識するのが、他都市との違いを活かす鍵になります。この二段構えは頭で決めるのではなく、次の3類型のどれから入るかで具体化します。

  • 四国拠点型:
    四国の中小企業・自治体を主な顧客候補にする設計と、地図による訪問可能範囲の確認
  • うどんアート型:
    うどん県・アート県の認知を活かした全国・海外顧客向けの設計
  • サンポート再開発型:
    イベント来訪者の動きと周辺事業者の課題を調べる、宿泊・飲食以外のサービス需要の検証

この3類型は排他ではなく重ねられます。たとえば四国4県の中小企業向けにITサポートを提供しながら、瀬戸内国際芸術祭シーズンだけ観光客向けの英語対応を組み合わせる、といった重ね方は高松では現実的な設計です。都会よりも顧客の顔が見えるぶん、二段構えの精度も上げやすいのが実感です。

ポイント 高松市の公的支援と、何から使うか

窓口の役割と使いどきを判断する事前確認項目

高松

高松では、市の産業振興課、高松商工会議所、市内商工会、香川県よろず支援拠点など複数の相談先があります。経済産業省が所管する創業支援等事業計画の制度と高松市の公式案内を確認し、事業内容、創業予定地、希望する支援に合う窓口を選びます。

役割別に整理すると、使える公的支援は次の3つに分かれます。

  • 相談窓口(無料):
    香川県よろず支援拠点などの経営相談と、受付方法・予約・相談回数の最新条件
  • 特定創業支援等事業:
    指定講座の修了と市の証明による登録免許税の軽減、利用前に確認する最新条件
  • コワーキング・活動拠点:
    Setouchi-i-Baseなどの施設と、利用料金・会員登録・相談条件の最新案内

順序としては、自分の相談内容に合う窓口を一つ選び、事業案と創業予定地を伝えて対象支援を確認します。特定創業支援等事業の証明や各種優遇にはそれぞれ要件があり、証明書だけで利用が保証されるわけではありません。

ポイント 約40万人の街で「0.1%×0.1%理論」がどう働くか

四国と広域を重ねて顧客層を数える設計手順

高松

拙著『会社を辞めずにあと「5万円!」稼ぐ』に「0.1%×0.1%理論」という考え方が出てきます。出版時の説明では、日本の人口を1億3000万人と置いた計算例を使いました。これは現在人口の統計ではなく、対象を段階的に絞るための思考例です。実際の事業では、必要顧客数を単価、継続率、対応能力から逆算します。

この考え方を高松の約40万人にそのまま掛けても、顧客数の根拠にはなりません。市内だけで足りるのか、県内、四国、オンラインへ広げる必要があるのかを、候補顧客へのヒアリングと交通・提供コストで確かめます。

高松で起業を設計するときは、市内、香川県内、四国、オンラインの順に提供範囲を広げ、各範囲の候補数を実数で確かめます。後に紹介する森下さんの例でも、宿泊施設数や支払意思を推測で置かず、対象施設への聞き取りから需要と価格を検証することが重要です。

ポイント 「AIコンサルの森下さん」が「高松の森下さん」に呼ばれるまで

健康の転機から始まる呼ばれ方の変化の記録

高松

起業18フォーラムの会員さんに、四国内の大手SIerで20年勤めてきた森下さん(45歳・仮名)がいます。もともと東京で生まれ、大学から高松に来て地元企業に就職した方で、家族は妻と中学生の子ども2人。健康診断で肝機能のC判定を受けた月に、「定年まで持たないかもしれない」という思いが、それまで先送りしてきた起業準備を本気にさせた、と話していました。

最初の半年は、3つの失敗が続いたそうです。(1)大学時代の同期経由でSNS発信を始めたが反応がゼロ。

(2)高松市内の観光宿泊施設に「AI導入コンサル」で売り込むと、「うちは10室しかないので予算が合わない」と即断りが続いた。(3)大手コンサルの真似で20枚のスライド提案を持って行ったが、「話が難しくて分からない」と言われて商談が止まった。「量が足りないのではなく、方向が違っていた」と本人が振り返ります。

流れが変わったのは、起業18フォーラムの勉強会で、離島の宿泊業を相手にしている先輩会員の事例を聴いたときでした。「AI導入」ではなく「紙の予約表をGoogleフォームに置き換える月1万円の作業代行」という、単価は低いが必ず頼まれる仕事から入っている事例だったそうです。

「10室しかない宿こそが、自分の練習相手だ」と初めて言葉になった、と森下さんは言います。翌週から、サンポート近辺の10〜20室規模の宿3軒に「初回相談無料・その後は月1万円台の予約管理サポート」で声をかけ直しました。

そこから告知8ヶ月目に、3軒目の宿から「森下さんに任せる」と言われて予約管理の月額契約が始まりました。13ヶ月目には近隣宿からの紹介で契約先が7軒になり、宿の外の観光関連事業者からも「うちの予約表も見てほしい」と名前で問い合わせが入るようになりました。

売上の絶対額はまだ大きくありません。ただ、「AIコンサルの森下さん」ではなく「高松の予約表の森下さん」と呼ばれるようになったのが、本人にとってはいちばん大きな変化だと聞いています。

ポイント 高松発の起業でよく見かける3つの失敗

現場で繰り返される3つの失敗と回避策の整理

高松

地域名だけで価格を決めず、顧客の課題と提供コストを確かめることが大切です。ここで見てきた典型的な失敗を3つに整理します。

  • 失敗1:東京の単価感覚をそのまま持ち込む
    対象顧客への聞き取り、作業量、成果、原価から決める価格
  • 失敗2:うどん県ブランドを商品名に頼りすぎる
    流入だけで終わらせない、再利用につながる商品内容
  • 失敗3:芸術祭シーズンだけで成立させようとする
    芸術祭以外の日常需要でも回る事業設計

この3つは、準備段階で検証できます。小さな試行サービスを作る場合も、作業範囲と採算が合う価格を置き、候補顧客に価値と支払意思を聞いてください。安さだけを入口にせず、何を任せられる人として覚えてもらうかを明確にします。

ポイント 会社に勤めながらの起業準備で迷いやすい論点

先に読んでおくと判断が軽くなる関連Q&A集

高松

高松に限らず、地方から起業準備を始める方がよく詰まる論点をQ&Aで整理しています。「勤め先の就業規則の確認方法」「開業届のタイミング」「初期費用の考え方」など、順に読んでみてください。

いま高松で気になっている問いを1つ選んで、答えを合わせておくと、次の一歩の判断が軽くなります。

Uターン先で知り合いも顧客もいないまま起業できる? 地方に戻る人の最初の一歩
● 質問 年内に地方の実家近くにUターンで戻る予定で、戻ってから会社勤めを続けつつ自分の仕事も少しずつ始めたい

ポイント よくある質問

高松で起業する前に押さえたい代表的な論点集

起業前質問集

Q.高松で起業する場合、東京よりも不利なのでしょうか?

人口や事業者数、移動時間、生活費、競合数が異なるため、東京と高松のどちらが有利かは一律に決められません。高松市内、香川県内、四国、オンラインの各範囲で候補顧客へ話を聞き、必要顧客数と提供コストを確かめて判断します。

Q.高松市の特定創業支援等事業を受けると、何が変わりますか?

経営、財務、人材育成、販路開拓について4回以上・1か月以上の支援を受け、市の証明を取得すると、会社設立時の登録免許税の軽減などを利用できる場合があります。創業予定地や現在の事業状況など個別要件があり、証明書が優遇を保証するものではありません。

Q.勤め先の規則も気になる段階で、まず何から手をつけるとよいですか?

就業規則、雇用契約、必要な届出を確認したうえで、事業内容に合う創業相談窓口を一つ選びます。受付条件と予約方法は公式サイトで確認してください。

Q.創業相談へ行く前に、事業計画書を完成させる必要がありますか?

完成した事業計画書がなくても、相談できる窓口はあります。誰に何を提供したいか、創業予定地、困っている点を1枚にまとめ、必要書類と受付条件を予約前に確認してください。

ポイント 高松で最初の一歩をどこに置くか

電話1本から始める相談準備と申し込みの手順

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高松で起業を考え始めた段階でお勧めしたいのは、香川県よろず支援拠点、高松商工会議所、高松市の案内から、自分の事業案に合う相談先を一つ選ぶことです。相談料金、予約方法、対象地域を公式サイトで確認してから申し込みます。

Setouchi-i-Baseなどの活動拠点を使う場合も、最新の会員区分、利用料金、相談条件を確認します。窓口を一つ決めておくと、あとから調べる資料も絞られていきます。

地名を冠した自分の名前を掲げた一枚は、会社の名刺とは違う重みを持つはずです。高松の看板を作る一歩目は、来週の隙間時間で済ませられる相談枠の予約1本で十分です。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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