記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
40代になり、子どもが小学生になって少し先のことを考えるようになりました。いつかは自分でも何か始めたいのですが、起業となると専門の資格を取ったり、まとまった開業資金を貯めたりしないと始められないイメージがあります。
資格もないし貯金も多くありません。こういう状態では、やはり起業準備は始められないのでしょうか?

● 回答
「資格とまとまったお金がないと起業準備は始められない」と思っていませんか。実は、その順番が逆なのです。資格やお金は、何をやるかが決まってから必要に応じて用意するもので、準備のスタートに必須の条件ではありません。むしろ最初にお金をかけてしまうほうが、後戻りしにくくなって危険なこともあります。
- 資格を取ってからでないと人に教えられない
- 開業資金を数百万円貯めてから動き出すべき
- 事務所やホームページを先に用意しないと始まらない
これらはどれも、勤めながら起業を考える人が抱きやすい思い込みです。順に実態を見ていきましょう。
「お金がかかる」という前提を疑う
まず資金についてです。日本政策金融公庫の新規開業実態調査では、開業費用は平均と中央値に開きがあり、設備や店舗を持たずに少額で動き出す開業者も珍しくありません。店舗や設備を持たず、自分の経験やスキルを活かすサービス型の起業なら、最初から大きな資金を用意しなくても検証を始められます。
勤めを続けたまま、自分の知識や経験を相手に提供する形であれば、初期費用はほとんどかかりません。最初に必要なのはお金ではなく、誰のどんな困りごとを解決するかという一点だけです。設備投資から考え始めると、その金額の大きさに圧倒されて動けなくなってしまいます。
資格は「入口」ではなく「あとから」
資格についても同じことが言えます。起業18フォーラム会員の日下さん(仮名・41歳・塾講師・中学生と小学生の子あり)は、「指導の資格をもっと取ってからでないと独立できない」と長く準備が止まっていました。資格の勉強にお金と時間を注ぎ込むうちに、肝心の「誰に何を提供するか」が後回しになっていたのです。
勉強会で「資格がなくても、いま目の前の保護者は先生に相談していますよね」と指摘されたのが転機でした。日下さんは資格取得を一旦脇に置き、オンラインで小学生の作文指導を月1.2万円で6名に提供する形から始めます。資格の有無ではなく、実際に相手の悩みを解決できるかどうかが収入につながったのです。続けるうちに紹介で生徒が増え、会社員を続けたまま、10ヶ月目には月20万円で安定しました。
拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』でもこの点を取り上げていて、その都度動く仕事の積み重ね(フロー型)と、一度作れば繰り返し収入になる仕組み(ストック型)を意識して育てることの大切さを書いています。
日下さんは最初こそ毎月の指導というフロー型から入りましたが、そこで得た反応を教材という形に変えることで、少しずつストック型の収入も育て始めました。まずはフロー型で相手の反応を集め、その手応えが出てから資格や仕組みに投資する順番を意識してみてください。
- 初期費用ゼロで提供できる経験・知識を1つ選ぶ
- 身近に同じ悩みを持つ人がいないか思い浮かべる
- 資格は「いまの相手に必要か」で判断する
今日は「資格を取ったら」「お金が貯まったら」という条件を一度外して、いまの自分が無料でも人に教えられることを3つ書き出してみてください。その3つの中に、資格もお金もいらない出発点が隠れています。

始められない理由のほとんどは、本当の障害ではなく「始める前の思い込み」です。条件をそろえるより先に、いまの自分にできる小さな一歩を見つけることが近道になります。
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