記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
整理収納アドバイザーの資格を取ったのに、肩書きが一つ増えただけのように感じている方は少なくありません。片付けが好きで、自分の家を整えてきた経験もあり、講座もきちんと修了しました。それなのに依頼は来ず、何から動けばよいのかも分からないままです。
こんな質問が毎年たくさん来ます。実は、整理収納アドバイザーは、資格を取れば仕事が舞い込むと誤解されやすい職種です。けれども実際には、資格はスタート地点にすぎません。
この記事では、整理収納アドバイザーとして起業を考える方が、勤めや家事を続けながら最初の依頼にたどり着くまでの手順を、現実に沿って見ていきます。
整理収納アドバイザーが起業する前に知っておきたいこと

整理収納アドバイザーとして起業を考えるとき、最初に知っておきたいのは、資格と仕事は別物だということです。資格は知識を証明してくれますが、依頼を運んできてはくれません。ここでは、これまでの片付けの経験がなぜ価値になるのか、何から準備すればよいのか、収入の柱はどう作るのか、どこでつまずきやすいのかを順番に見ていきます。
整理収納アドバイザーの経験が仕事になる理由

整理収納アドバイザーとして起業するとき、多くの方が「資格があるから大丈夫」と考えます。けれども、本当の強みは資格そのものではありません。これまで自分の家を整えてきた時間や、家族の暮らしに合わせて収納を工夫してきた経験の積み重ねこそが、人に頼られる土台になります。
ハウスキーピング協会によると、整理収納アドバイザーの有資格者は累計で20万人を超えています。資格を持っているだけでは、その20万人のなかに埋もれてしまいます。差がつくのは、どんな家の、どんな困りごとを、自分の経験で解決できるのかという一点です。
ここで思い出してほしいのは、これまでの暮らしのなかで自然にやってきたことです。家族が使いやすいように物の置き場所を工夫したり、散らかった部屋を短い時間で元に戻せる仕組みを整えたりしてきたはずです。誰にも教わらず続けてきたその積み重ねは、片付けに悩む人にとっては手の届かない技術になります。
拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』に、取り柄がないと感じている人ほど起業に向いている、という考え方が出てきます。整理収納が好きで、つい人の家の収納まで気になってしまうことはないでしょうか。その「好き」と日々の工夫の積み重ねが、そのまま起業の元手になります。特別な実績がなくても、暮らしを整えてきた経験は立派な出発点です。
整理収納アドバイザーの起業準備で最初にやること

準備の順番をまちがえると、動いているのに前に進まない状態になります。整理収納アドバイザーの起業準備で先にやっておきたいことを見ていきます。
まず資格についてです。ハウスキーピング協会の整理収納アドバイザーには2級・準1級・1級があり、整理収納アドバイザーとしてプロの仕事をするなら1級が前提になります。2級や準1級は知識を深める段階で、整理収納アドバイザーの肩書きで依頼を受けるには1級まで進んでおくのが基本です。
次に、誰のための整理収納アドバイザーになるのかを決めます。「片付けに困っている人すべて」を相手にしようとすると、何を伝えればよいのか自分でも分からなくなります。共働きの家庭、小さな子どものいる家、定年後に物を見直したい世帯など、どこか一つに絞ると、サービスの言葉が決まってきます。
そして、最初の実績を作ります。資格を取ったら、知人や友人3名ほどに無料か低い価格でモニターを引き受けてもらい、作業前と作業後の写真と感想を残しておきます。この記録が、次の依頼を呼ぶ最初の材料になります。
- 仕事にするための1級の取得
- 対象とする家庭や悩みの絞り込み
- 知人3名へのモニターでの実績づくり
気をつけたいのは、不安なときほど次の資格に手を伸ばしたくなることです。資格をいくつ増やしても、それだけで依頼が増えるわけではありません。学びを足すよりも、まず一軒の家を整えた経験を持つほうが、起業準備は前に進みます。
整理収納アドバイザーの起業で考えられる仕事の方向

整理収納アドバイザーの起業は、訪問して片付ける仕事だけではありません。収入の柱になりうる方向を三つに分けて見ておくと、自分に合った進め方が見えてきます。
訪問して片付けるサポート
依頼者の家に出向き、一緒に片付けや収納の見直しを行う仕事です。三つのなかでも最もイメージしやすく、訪問サポートの料金は1時間あたり5,000円前後が一つの目安とされています。子育て家庭のキッチン、共働き世帯の収納など、対象を決めておくと依頼者にも伝わりやすくなります。
整理収納を教える仕事
自分が片付けるのではなく、片付け方を教える方向です。少人数のセミナー、地域の講座、オンラインの片付け相談など、形はさまざまです。教える仕事は一度に複数の人へ届けられるため、訪問サポートと組み合わせて続ける方が多くいます。
発信と仕組みで広げる
収納の工夫や作業の記録を、ブログやSNS、写真で発信していく方向です。すぐに収入にはなりませんが、発信はそのまま集客につながります。片付けを仕事にする道は、待っていて依頼が来るものではなく、知ってもらうところから始まります。
- 依頼者の家での訪問サポート
- セミナーや講座で教える仕事
- 発信と記録による集客の仕組み
三つのうちどれか一つに絞る必要はありません。最初は訪問サポートで経験を積み、発信を並行して続け、依頼が安定してきたら教える仕事を足していきます。この順番なら無理がありません。
整理収納アドバイザーの起業準備でつまずきやすいパターン

整理収納アドバイザーの起業準備には、よく似たつまずき方があります。最も多いのは、資格を取った時点で開業の準備が終わったと感じてしまうパターンです。
講座を修了して肩書きを得ると、それだけで仕事が始まる気がしてしまいます。けれども実際には、資格は名乗る権利であって、依頼が来る保証ではありません。ここを取り違えると、ホームページだけ作って依頼を待ち続ける時間が続いてしまいます。
整理収納アドバイザーとして起業準備に動くのは30代から50代の方が多く、子育てや住まいの変化をきっかけに資格を取る方が目立ちます。次に紹介するWさんも、その一人です。
Wさんはメーカーで事務の仕事を続けてきた、40代の方です。整理収納アドバイザー1級を取得し、片付けには自信もありました。それでも起業準備を始めてから半年のあいだ、依頼は一件も入りませんでした。自己流でチラシを配り、不安からさらに別の資格を取りましたが、状況は変わりませんでした。
転機は、起業18フォーラムの勉強会に参加したことです。そこでWさんは、資格ではなく「誰のどんな困りごとを解決するのか」を先に決めるという考え方を学びました。
学んだあとのWさんは、対象を「共働き家庭のキッチンと子ども用品の収納」に絞り直しました。知人3名に無料モニターを引き受けてもらい、作業前後の写真と感想を記録し、SNSでの発信も重ねていきました。起業準備から10ヶ月目に初めての有料依頼が入り、モニターの口コミから依頼が少しずつ広がっていきました。
対象を一つに絞り、小さな実績を目に見える形で残すことが、Wさんの流れを変えました。現在は事務の仕事を続けながら、週末を中心に訪問サポートを行い、月収8万円ほどになっています。
- 資格取得で立ち止まらない意識
- 対象とする家庭や悩みの一点集中
- 無料モニターでの写真と感想の記録
整理収納アドバイザーとして起業を進める順番

最後に、整理収納アドバイザーとして起業を現実に進める順序を整理します。大切なのは、勢いではなく順番です。
共働き世帯は増え続けています。総務省統計局の労働力調査によると、2024年の共働き世帯は1,300万世帯にのぼります。家事や片付けに手が回らない家庭は着実に増えていて、整理収納アドバイザーが力になれる場面は広がっています。需要がないのではなく、出会えていないだけ、という見方もできます。
はじめにすることは、仕事として活動するための1級を取り、対象とする家庭や悩みを一つに決めることです。次に、知人へのモニターで最初の実績と写真を作ります。そのうえで、発信を続けて自分の存在を知ってもらい、訪問サポートから少しずつ依頼を積み上げていきます。
- 仕事にするための1級の取得と対象の決定
- 知人へのモニターでの実績と写真づくり
- 発信を続けて存在を知ってもらう取り組み
- 訪問サポートからの依頼の積み上げ
一人で進めようとすると、何から手をつけるべきか迷い、手が止まりがちです。起業の基礎を学べる場や、同じように準備を進める仲間がいると、順番を見失わずにすみます。勤めや家事を続けながら、まずは知人一軒の片付けを引き受けるところから始めてみてください。

整理収納アドバイザーの資格は、暮らしを整えてきたあなたの経験に、形を与えてくれるものです。資格を依頼に変えるのは、完璧な準備ではなく、目の前の一軒に向き合った経験です。今いる場所でできることから、少しずつ始めていきましょう。
さらに詳しく知るには、以下より検索してみてください!
★【起業セミナー】会社員のまま始める起業準備・6ヵ月で起業する!
★【動画セミナー】あなたのタイミングで学べる動画版もあります!
