SNSで他人の成功ばかり見えて焦るのはどう考える? 比べる相手を過去の自分に変える

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

起業準備を始めて半年ほどになります。SNSを開くと、同世代でもう会社を辞めて独立した人や、着々と結果を出している人が次々と目に入ってきて、そのたびに落ち込みます。

自分はまだ何ひとつ形にできていなくて、周りと比べては焦る毎日です。この焦りと、どう付き合っていけばいいのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

本も読んだ、セミナーも見た、同世代の発信も毎日のように追っている。知識も情報も増えているのに、焦りだけが濃くなっていく。まず言えるのは、その焦りは力が足りないサインではなく、比べる相手を間違えているサインだということです。

比べる相手を、周りやSNSから「先月の自分」に変えるだけで、同じ景色が違って見えてきます。周りの誰かに勝つことが起業準備のゴールではありません。半年前の自分より一歩でも前に出られたか。見るべき物差しは、本来それだけです。

SNSでは他人の「完成形」だけが見えてしまう

SNSやニュースで流れてくるのは、独立した瞬間や、うまくいった報告といった「完成形」ばかりです。その人が何ヶ月も動けずにいた時期や、ひとりで地道に調べ物を続けた夜は、まず表に出てきません。あなたは自分の準備の途中経過を、他人の編集済みのハイライトと並べて眺めている。これでは、勝てるはずのない比べ方になってしまいます。

そもそも、起業に「正しいペース」や「間に合う年齢」といったものは存在しません。

日本政策金融公庫の2025年度新規開業実態調査では、同公庫の融資先のうち融資時点で開業後1年以内の企業などを対象に調べた結果、開業時の平均年齢は43.9歳、内訳は40代が36.9%で最も多く、次いで30代が28.0%でした。

始める時期は人によってこれだけ大きく散らばっています。だからこそ、20代後半という時点は「出遅れ」ではなく、むしろ準備に時間を使える早い段階だと言えます。

他人が自分より先に進んで見えるのは当たり前で、走っている距離もスタート地点も一人ひとり違うからです。同じトラックを走っているという前提そのものが、思い込みにすぎません。

比べる相手を「先月の自分」に変える

では、焦りをどこに向け直せばいいのか。ここで役に立つのが、拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』で紹介している「知・人・金」を順に鍛えるという考え方です。最初に取り組むのは知、つまり自分のやることを知り、必要な力を仕込む段階で、人脈やお金の話はその後に回します。順番があるということは、今の自分がやるべき一歩も一つに決まる、ということです。

他人の「金」の成果と、自分の「知」の仕込みを並べて比べても、段階が違うので落ち込むだけです。今日の自分がやる一歩に目を戻すと、比べる余地そのものが小さくなっていきます。

  • 周りと比べる:
    他人の完成形と自分の途中経過を並べ、差にばかり目がいく
  • 過去の自分と比べる:
    半年前より増えた知識・試したことを数え、進み具合が見える
  • 誰とも比べない:
    今日やる一歩だけに集中でき、焦る材料が手元から消える

焦りが湧いたときは、まずSNSを閉じることです。画面を閉じて、今日の自分がやる一歩に視線を戻してみてください。比べる相手が視界から消えれば、焦りは行き場をなくします。

先月の自分を物差しにした人の話

起業18フォーラムの会員さんに、二宮さん(仮名・20代後半・女性)という方がいます。事務の仕事で培った資料づくりのコツを教える講座を準備していたのですが、始めた当初は、同世代の発信を見ては「自分だけ止まっている」と落ち込む日が続いていました。

焦りが薄れたのは、フォーラムの勉強会で先輩会員の話し方に触れ、比べる先を過去の自分に置いてみようと自分で決めたときからでした。二宮さんはそこで、比べる相手を周りから先月の自分に置き換え、SNSを眺める時間を、講座の中身を一つずつ整える時間に振り替えていきました。

知の仕込みに集中する日々を積み重ねた結果、告知を続けるうちに受講者は少しずつ増え、気づけば延べ40名がその講座を受けてくれるまでになりました。華々しい報告ではありませんが、先月より確実に前へ進んだという手応えが、焦りの居場所を少しずつ埋めていきました。

  • 他人の投稿を見て焦ったら「これは完成形の一枚」と思い出す
  • 比べるのは半年前・先月の自分に限定する
  • 今日やる一歩を一つだけ決めて、そこに時間を寄せる

周りが速く見えるのは、あなたが真剣に自分の準備に向き合っている証拠でもあります。どうでもいいことなら、比べて落ち込んだりはしません。

今日やってみてほしいのは、周りでもSNSでもなく、先月の自分と一度だけ向き合って、この1ヶ月で増えた知識や試したことを振り返ることです。数は少なくてかまいません。ゼロでなければ、あなたはちゃんと前に進んでいます。

起業を笑われそうで言い出せないときは、どう考えればいい?
● 質問 会社を辞めて起業したいという気持ちはあるのですが、こんなことを口にしたら周りに笑われそうで、なかなか

同じ場所を走っているように見えても、進む速さも距離も一人ひとり違います。周りの誰かではなく、あなたが先月より前に出られたかどうか。そこだけを見ていけば、焦りに振り回される日は少しずつ減っていきます。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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