起業を笑われそうで言い出せないときは、どう考えればいい?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

会社を辞めて起業したいという気持ちはあるのですが、こんなことを口にしたら周りに笑われそうで、なかなか言い出せません。もしうまくいかなかったら「それみたことか」と言われそうで、世間体も気になってしまいます。

まだ何も始めていない段階で、この笑われる怖さや周囲の目とは、どう向き合っていけばいいのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

「笑われそうで、何年も誰にも言えない」。起業準備の勉強会でも、同じ怖さを胸にしまってきた方は珍しくありません。周りにどう見られるかが気になって動けないのは、意志が弱いからではありません。起業に踏み出すのに、全員の賛成は要りません。本気で背中を押してくれる人を一人だけ見つけられれば、そこから前に進めます。

「笑われそう」という怖さの正体

まず知っておいてほしいのは、この怖さの大部分が頭の中でふくらんでいるということです。実際に笑う人が現れるかどうかは、口に出してみるまで誰にも分かりません。しかも厄介なことに、否定してくるのは、たいていあなたに近い人です。

拙著『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』では、身近な人ほど夢に水を差しやすいという「ドリームキラー」の考え方を紹介しています。ただ、その否定は悪意から出ているとはかぎりません。「危ないからやめておけ」という言葉の多くは、あなたを心配する気持ちの裏返しです

  • 心配:
    失敗して落ち込むあなたを見たくない、という身内の不安
  • 戸惑い:
    今までのあなたと変わってしまうことへの寂しさや警戒
  • 自己投影:
    自分にはできなかった挑戦を、認めたくないという気持ち

どれも、あなたの実力を正しく測った評価ではありません。だからこそ、否定の言葉をそのまま「起業に向いていないサイン」と受け取る必要はないのです。

全員の理解は要らない。味方を一人見つける

実際に起業した人が何を大事にしているかも、参考になります。日本政策金融公庫が融資した開業後1年以内の企業を対象とする2025年度新規開業実態調査では、開業動機の第1位は「自由に仕事がしたかった」で、59.7%を占めました。この調査では、自分がどう働きたいかという動機が最も多く選ばれています

つまり、周りの何人が賛成してくれるかは、起業できるかどうかとほとんど関係がありません。大切なのは賛成の数ではなく、心から味方になってくれる人が一人いるかどうかです。

全員の理解を待たなくて大丈夫です。応援してくれる人を一人見つけられれば、起業準備はそこから動き出します

起業18フォーラムの会員に、蒲生さん(仮名・20代後半・男性)という方がいました。以前、職場で「いつか起業したい」と口にしたら同僚に鼻で笑われ、それから1年ほど、誰にも言えないまま準備が止まっていたそうです。流れが変わったのは、勉強会に通い始めてからでした。自分と同じ20代で、同じように笑われるのが怖いと話していた別の会員が、たった一人の理解者を得てから動き出し、収入を育てていると知ったのです。

肩の力が抜けたのは、「怖いのは自分だけじゃない」と分かった瞬間だったといいます。勉強会でドリームキラーへの向き合い方を学んだ蒲生さんは、全員に打ち明けるのをやめました。否定しなさそうな先輩一人にだけ相談し、週末に頼まれた仕事を1件だけ受けてみたのです。それを1年半ほど続けた今では、副収入が本業の月収の3割ほどを占めるまでになりました。

  • 否定しない人を選ぶ:
    まず、頭ごなしに反対しなさそうな人を一人だけ思い浮かべる
  • 相談として話す:
    「決めた」と宣言せず、「考えているんだけど」と意見を聞く形で切り出す
  • 調べた事実を添える:
    気持ちだけでなく、自分で調べたことや試したことを一つ見せる
今日からできる、最初の打ち明け方

最初の一歩は、大勢に向けて発表することではありません。頭ごなしに否定しなさそうな人を一人だけ思い浮かべ、その人にだけ打ち明けてみてください

一人に話して受け止めてもらえると、それだけで気持ちがずいぶん軽くなります。反応が薄くても、それはあなたを否定したわけではありません。

そのうえで、頭の中の不安を行動で薄めていきます。笑われる前提でかまわないので、週末に頼まれごとを1件だけ引き受けてみるところから始めれば十分です

  • 怖さの正体:
    否定の多くは実力評価ではなく、身近な人の心配や戸惑い
  • 必要な味方:
    全員の賛成ではなく、本気で応援してくれる一人
  • 最初の一歩:
    その一人に打ち明け、週末に頼まれごとを1件試す

起業を「するかどうか」を今日決める必要はありません。決めるのは、たった一人に打ち明けるという、その一歩だけです。

同じ怖さを抱えながら動き出した人を、私はこれまで何人も見てきました。こうして質問できている時点で、あなたはもう、笑われる怖さの向こう側へ足を踏み出しかけているのではないでしょうか?


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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