雇用形態が違うと起業準備の組み立て方も変わるのか? 正社員・契約・派遣で何がどう違う?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

私はIT業界の契約社員で、契約期間は1年更新を5年続けています。職場で「起業準備するなら正社員より契約社員のほうが時間が取れて有利」と言われましたが、本当にそうなのか疑問です。雇用形態が違うと、起業準備の組み立て方や注意点もやはり変わってくるのでしょうか?

起業前質問集

● 回答

雇用形態が違うのに同じ起業準備の進め方をしていた、という相談が起業18フォーラムには毎月のように届きます。実際、契約社員・派遣社員・正社員では「使える時間」「使える信用」「離職リスク」「兼業ルール」が大きく違うので、組み立て方は別物として設計するほうが現実的です。

雇用形態別の前提条件:時間と信用の違い

総務省統計局「労働力調査」などを見ると、非正規雇用は雇用者全体の3割台後半で推移しています。ただし、起業準備に使える時間や信用力は、雇用形態だけで単純に決まるものではありません。「契約社員のほうが時間が取れて有利」は半分本当で、半分間違いです。

  • 正社員:時間制約は強いが、給与の安定・社会的信用・家族の安心感を活かしやすい
  • 契約社員:時間は確保しやすい場合がある一方、契約更新や終了リスクが起業準備を揺らしやすい
  • 派遣社員:複数現場の経験を活かせるが、派遣元・派遣先の兼業ルール確認が必要
  • パート・アルバイト:自分のペースで動きやすいが、家計の安定確保が先
Yさんの教訓:契約終了直前の停滞

39歳・IT契約社員のYさん(独身・契約期間1年更新を6年継続・契約上の月収42万円)。最初の半年は起業準備のランキング情報を頼りに動いて成果ゼロ、起業18フォーラム参加後は契約更新の時期を意識した「契約軸の起業準備」に切り替えました。Yさんの場合、契約更新の3ヶ月前は本業の稼働が増えやすいことが見えてきたため、起業準備の重い作業(商品設計・新規開拓)はその3ヶ月を避けて配置しています

7ヶ月目に「中小企業向けクラウドツール導入の代行」サービスを開始し、初回モニター単価2万5,000円。13ヶ月目に法人3社・月14万円継続。契約更新の度に揺れていた精神状態が、自分起点の収入が育ったことで安定しました。現在は会社員のまま土日中心で月19万円を維持しています。

  • 契約更新前後は本業稼働や心理的負荷が増えやすい時期と認識する
  • 重い作業はそこを避けてカレンダーに先に固定する
  • 起業準備の月収軸を月5万円→月10万円と段階的に育てる
  • 契約終了時に焦って独立しない設計を月単位で持つ
未来からの逆算:雇用形態別の組み直し順序

拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』に「未来の自分から逆算して、いまの雇用形態が果たすべき役割を決める」という考え方が出てきます。雇用形態は条件ではなく設計の前提。会社員雇用が続いている期間は、自分の起業準備の中で「家計の保険」と「市場検証の時間」という2つの役割を担っています

会社員時代の人脈はどう起業準備に活かす? 気をつけるべき点は?
● 質問 会社員10年目です。社外の交流会に時間とお金をかけて人脈を広げてきましたが、起業準備を始めてみると、

この役割を意識すると、雇用形態を「変える対象」ではなく「使い切る対象」と捉え直せます。Yさんも当初は「契約社員のうちに独立しなきゃ」と焦っていましたが、契約期間を「市場検証の時間」と捉え直して、独立判断を月収・継続期間・生活防衛資金に置き換えてからは、契約更新のたびに揺れる癖が抜けました。明日からできるのは、自分の雇用形態が起業準備に対してどんな保険を提供しているかを1枚の紙に書き出すことです

  • 正社員は信用と給与の安定を「起業準備の保険」として最大限活用
  • 契約社員は契約周期を踏まえた重い作業の配置で停滞を防ぐ
  • 派遣社員は複数現場の経験を一次情報として商品設計に直結させる
  • 雇用形態に関わらず、判断は月収・継続期間・生活防衛資金で行う

雇用形態は障害ではなく、設計の前提条件です。自分の働き方に合った組み立て方を一緒に整えたい方は、起業18フォーラムにぜひご相談ください。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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