記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:
● 質問
起業準備中にセミナーや書籍にかなりのお金を使いました。これらは経費として認められますか?
開業前に使ったお金なので、経費にできないのではと心配しています。具体的な扱い方を教えてください。

● 回答
まず全体像を整理します。起業前に使った費用を経費にするには、大きく2つの考え方があります。「開業費(繰延資産)」として計上する方法と、「事業所得に係る必要経費」として扱う方法です。国税庁の税務上の区分では、開業前に支払った費用のうち、事業の開始に関係するものは「開業費」として認められます。
STEP① 開業日を先に決める
「開業費」として計上するためには、まず開業日を確定させる必要があります。税務署への開業届(開業日から1ヶ月以内が目安)を提出することで、開業日が明確になります。開業日より前にかかった費用が「開業前費用」、以降が「事業経費」です。
STEP② 開業費の対象となる支出を記録する
セミナー受講費、書籍代、市場調査費、広告費、名刺印刷代などは、開業費の対象になります。領収書を保管し、いつ・何のために使ったかをメモしておくことが大切です。開業前の数年分まで遡れる場合もありますが、「その事業に関連するもの」という要件は満たす必要があります。
STEP③ 繰延資産として計上し任意償却を選択する
開業費は「繰延資産」として貸借対照表に計上し、最長5年間で償却することができます。また、国税庁の基準では任意償却が認められており、利益が出た年に一括で全額経費化することも可能です。これにより、初年度の利益が大きい場合にまとめて経費として差し引けます。
- セミナー・研修費(事業に直接関連するもの)
- 書籍・テキスト代
- 市場調査・リサーチ費用
- 名刺・チラシなどの印刷物制作費
- ホームページ作成費(開業前)
- 旅費・交通費(事業準備のための移動)
拙著『会社で働きながら6カ月で起業する』にこんな話が出てきます。起業準備中に本を読み、セミナーに通い続けるインプット中毒になる方がいます。そのインプットに費やした費用はすべて無駄にならず、開業後に「開業費」として経費化することができます。学びへの投資が、税務的にも回収できるのです。
起業18フォーラムの会員さんに石田さん(仮名・30代後半)がいます。フリーランスのライターとして開業する前の6ヶ月間に、セミナー費用32万円・書籍代4万円を使いました。開業後、これらをまとめて開業費として計上し、初年度の利益が出た段階で一括経費化しました。「開業前の学びを経費化できると知っていたら、もっと積極的にセミナーに参加できた」と石田さんは話しています。
起業から12ヶ月目には月収が安定してきました。現在は月収15万円前後で仕事が継続しています。
開業前に使ったお金は「消えた費用」ではなく、開業費として事業に引き継げる資源です。領収書の保管と日付・目的のメモを今日から始めてください。

税務の詳細は税理士や税務署の無料相談窓口で確認することをお勧めします。ただ「開業費という制度がある」と知っているだけで、準備期間の支出に対する気持ちが変わります。
まず今日、手元の領収書を1枚取り出して「開業費候補」としてファイルにまとめる作業から始めてみてください。
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