起業するのに人付き合いが苦手。これで大丈夫?

新井一

記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
最終更新日:

● 質問

IT系の技術者として15年ほど働いています。昔から人付き合いが苦手で、社内の飲み会にもほとんど参加しません。起業を考え始めてからは、ますます家にこもってビジネスモデルや収益計画のことばかり考える毎日です。

友達もほとんどおらず、たまに来る誘いも「起業の役に立たないから」と断るようになりました。こんな状態で起業してやっていけるのか、正直不安です。

質問

● 回答

人付き合いが苦手で起業できるのか。このご不安、とてもよくわかります。私自身、大勢の飲み会が得意なタイプではありません。26年間で60,000人以上の起業相談に乗ってきましたが、内向的な方の起業成功例は数えきれないほどあります。

結論から申し上げると、人付き合いが苦手でも起業はできます。ただし「苦手だから一切やらない」と決め込んでしまうと、チャンスを逃す場面が出てきます。大事なのは、苦手なりの戦い方を持つことです。

内向的な起業家は珍しくない

IT系、芸術系、職人系。こうした分野で成功している起業家の多くは、実は内向的なタイプです。ひとりで深く考え、集中して仕事に打ち込める力は、起業においてむしろ武器になります。

飲み会で名刺を100枚配れる人だけが成功するわけではありません。静かに、しかし確実に成果を積み上げていく方法が存在します。あなたのようなIT技術者にはとくに相性の良い方法があるので、順に見ていきましょう。

IT技術者のアドバンテージを活かす「静かな営業術」

IT技術者には、他の職種にはない大きなアドバンテージがあります。自分でWebサイトを構築し、集客の仕組みを作れるという点です。外注費をかけずに、自分のペースでビジネスの土台を整えられます。

この強みを最大限に活かすのが「静かな営業術」。3本柱で構成されます。

「静かな営業術」3本柱

  • 専門ブログで見込み客を集める。自分の専門知識を記事にして検索経由でアクセスを獲得する
  • メルマガまたはLINE公式で関係を育てる。ブログ読者を登録者に変え、定期的に有益な情報を届ける
  • オンライン相談で成約につなげる。Zoomなどを使い、1対1で丁寧に提案する

この3つの流れを作れば、交流会で名刺配りをしなくても、お客様のほうから見つけてくれる状態が生まれます。対面での雑談が苦手でも、文章で専門性を伝えることは得意な方が多いはずです。

「ストック思考」と「フロー思考」の違い

営業には大きく分けて2つの考え方があります。「フロー思考」は、交流会に出る、テレアポをかける、飛び込み営業をするなど、その場限りの行動で売上を作ろうとするものです。人付き合いが苦手な方にとっては苦痛以外の何ものでもないでしょう。

一方の「ストック思考」は、ブログ記事やメルマガのバックナンバーなど、一度作ったコンテンツが資産として積み上がっていく考え方です。記事を100本書けば、100本が24時間365日あなたの代わりに営業してくれます。

IT技術者であるあなたが取るべきは、間違いなくストック思考です。家にこもって作業する時間が、そのまま将来の売上につながります。

Bさんの事例。50代元SEが年商800万円に到達するまで

ここで、あなたに近い背景を持つBさんの事例をご紹介します。

Bさんのステップアップ事例

  1. 50代の元SE。人付き合いは苦手で、営業経験ゼロからスタート
  2. 在職中に専門ブログを立ち上げ、業務効率化のノウハウを発信
  3. 半年でメルマガ登録者が300人に到達
  4. Zoomセミナーを月1回開催。少人数制で丁寧に対応
  5. 独立後、コンサルティング契約を積み上げて年商800万円を達成

Bさんは「対面営業は一切しない」と決めていました。その代わり、ブログ記事を週2本、メルマガを週1通、欠かさず続けました。コツコツ積み上げるストック型の営業が、内向的なBさんの性格にぴったりだったのです。

それでも人付き合いを避けてはいけない3つの場面

とはいえ、すべての人付き合いを排除していいわけではありません。独立すると、会社員時代よりもむしろ人とのつながりが重要になる場面が出てきます。以下の3つは、苦手でも避けないでください。

苦手でも避けてはいけない3つの場面

  • 専門家との面談。税理士、弁護士、社労士など。独立後は自分で判断しなければならない場面が増える。専門家との関係構築は事業を守る保険になる
  • クレーム対応。メールだけで済ませようとすると、かえってこじれる。電話や対面で誠意を見せることで信頼回復につながる
  • 同業者との情報交換。業界の動向、単価相場、新しい技術トレンド。ひとりでは拾いきれない情報が、同業者とのつながりから入ってくる

経営者同士のつながりは、ときに思いもよらない化学変化を生みます。紹介で仕事が舞い込んだり、協業のアイデアが生まれたり。その可能性を完全に閉じてしまうのはもったいないことです。

苦手な場面を乗り越える3つの工夫

「避けてはいけないと言われても、やっぱり苦手なものは苦手だ」。そう感じた方のために、具体的な乗り越え方をお伝えします。

工夫1:事前にアジェンダを用意する

話す内容を箇条書きにして持っていくだけで、会話のハードルは大きく下がります。「何を話せばいいかわからない」という不安が消えるからです。専門家との面談でも、同業者との情報交換でも、聞きたいことリストを3つ用意しておけば十分です。

工夫2:1対1の場を選ぶ

大人数の懇親会が苦手なら、無理に参加する必要はありません。「今度コーヒーでもいかがですか」と1対1で会う約束をするほうが、はるかに深い関係を築けます。Zoomでのオンライン面談なら、さらにハードルが下がるでしょう。

工夫3:手紙やお礼状を活用する

口下手な人ほど、文章で気持ちを伝えるのが上手なことがあります。セミナーに参加した後、講師にお礼のメールを送る。仕事で助けてもらったら、手書きのお礼状を出す。こうした小さな行動が、口数の少なさを補って余りある信頼を生みます。

「役に立つかどうか」で人を選ばない

ひとつ気になった点があります。「起業の役に立たないから」と誘いを断っているとのこと。お気持ちはわかりますが、少し立ち止まって考えてみてください。

損得勘定で人付き合いを切り分け始めると、周囲の人はそれを敏感に感じ取ります。「あの人は利用価値で人を見ている」と思われたら、本当に大切な場面で誰も手を差し伸べてくれなくなります。

もちろん、ネガティブな影響を与えてくる人との付き合いは減らすべきです。愚痴ばかり言う集まり、足を引っ張ろうとする関係。そういったものからは距離を置いて構いません。けれど「役に立たないから」という理由だけで旧友を切るのは、少し寂しい選択ではないでしょうか。

ビジネスと関係のないところで応援してくれる人の存在は、独立後の孤独な時期にあなたを支えてくれるはずです。

家にこもる時間を「仕組みづくり」に変える

あなたが今、家にこもってビジネスについて考えている時間。それ自体は決して悪いことではありません。ただ「考えているだけ」で終わってしまうともったいない。その時間を、先ほどお伝えした「静かな営業術」の仕組みづくりに充ててみてください。

在職中から始められることはたくさんあります。専門ブログの立ち上げ、メルマガ配信の準備、自分の強みの棚卸し。IT技術者であれば、WordPressの構築からSEO対策まで自力で進められるでしょう。こうした準備を着実に積み上げていけば、独立時にはすでに見込み客がいる状態でスタートを切れます。

よくある質問

Q.実名とペンネーム、どちらでブログを書くべきですか?

在職中であれば、ペンネームで始めて問題ありません。独立のタイミングで実名に切り替える方も多くいらっしゃいます。ただし、信頼性の面では実名のほうが有利です。就業規則に抵触しない範囲で判断してください。

Q.SNSが苦手ですが、やらないとダメでしょうか?

SNSは必須ではありません。ブログとメルマガの組み合わせだけで十分に集客は可能です。無理にSNSを頑張るよりも、得意なチャネルに集中するほうが成果は出やすくなります。余裕ができたら検討する程度で大丈夫です。

Q.オンラインセミナーを開くのが不安です。何人から始めればいいですか?

最初は2〜3人で十分です。少人数のほうが参加者との距離が近く、質問にも丁寧に答えられます。Bさんも最初は3人からスタートしました。場数を踏むうちに自然と慣れていきます。

Q.在職中にどこまで準備を進めておくべきですか?

理想は、独立前にブログ記事を30本以上公開し、メルマガ登録者を最低100人は確保しておくことです。この土台があれば、独立初月から売上をつくれる可能性が高まります。就業規則を確認しつつ、できる範囲で進めてください。

Q.起業セミナーに参加したいのですが、人見知りで踏み出せません。

起業セミナーには、あなたと同じように内向的な方が多く参加しています。「社交的な人ばかりだったらどうしよう」という心配は杞憂に終わることがほとんどです。まずはオンライン開催のセミナーから試してみると、心理的なハードルが低くなります。


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記事執筆/監修:新井一(あらいはじめ)起業支援キャリアカウンセラー

新井一
起業18フォーラム代表。「会社で働きながら6カ月で起業する(ダイヤモンド社)」他、著書は国内外で全13冊。最小リスク、最短距離の起業ノウハウで、会社員や主婦を自立させてきた実績を持つ。自らも多数の実業を手掛け、幅広い相談に対応している。

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