記事執筆/監修:新井一(起業18フォーラム代表)
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● 質問
会社に勤めながら起業準備を始めて半年がたちました。週末にノートを開いて、事業の名前やサービスのメニュー、価格を一人で考えているのですが、どれもしっくりこず、何ひとつ決まらないまま時間だけが過ぎています。
一人で全部を決めてから動き出そうとしているのですが、この進め方で合っているのでしょうか?

● 回答
「この進め方で合っているか」というご質問に、まず一つ、問いをお返しさせてください。その事業名やメニューを、これまでに誰か一人にでも見せたことはありますか。半年動けていない方のお話をうかがうと、ほとんどの場合、答えは「まだ誰にも見せていない」です。つまり、決まらない本当の原因はアイデア不足ではなく、自分の頭の中だけで正解を出してから見せようとしている、その順番のほうにあります。
週末にノートと向き合い、何十パターンも事業名を書いては消している。それは怠けではなく、むしろ真剣さの表れです。ただ、真剣であることと、前に進めることは、残念ながら別の話なのです。
つまずきの正体は「一人で正解を出そうとしている」こと
起業18フォーラムにも、SNSやスキル販売サイトに登録して「待っているのに反応がない」という相談がよく届きます。一人で完成させてから世に出す、という進め方が共通しているのです。拙著『起業神100則』に「競合分析よりも顧客分析」という言葉が出てきます。個人で起業するとき本当に見るべきは、ライバルの動きでも自分の頭の中の理屈でもなく、目の前のお客様が何に困っているかという一点です。
- 正解を一人で抱えるため、合っているかどうかを誰も確かめられない
- 頭の中の想像で考えるので、表現が独りよがりになりやすい
- 「まだ完璧ではない」と感じ続け、見せるタイミングが永遠に来ない
事業名もメニューも価格も、一人で完成させてから見せるものではなく、見込み客に近い人に見せながら一緒に削っていくものです。決めてから聞くのではなく、聞いてから決める。順番を入れ替えるだけで、止まっていた準備が動き出します。
決める順番を変える3ステップ
とはいえ、いきなり「人に聞いてください」と言われても戸惑うはずです。次の3ステップで進めてみてください。
- STEP1:完成版ではなく「誰のどんな困りごとを解決するか」だけを仮で一文に書く
- STEP2:その一文を、見込み客に近い知人3人に見せて「これ、要りますか」と聞く
- STEP3:返ってきた言葉でメニューと価格を直す。決めるのは聞いた後にする
今週末は、事業名を考える時間をいったんやめて、かわりに「自分のサービスを必要としそうな知人」を3人だけ紙に書き出してみてください。事業名は、その3人と実際に話したあとのほうが、驚くほどすんなり決まるものです。
身近に相談相手が思い浮かばないときは、中小企業庁が全国47都道府県に置いている「よろず支援拠点」という無料の経営相談所もあります。創業前の段階から、商品の見せ方や価格の考え方を専門家に相談できます。一人で抱え込まなくて大丈夫です。
生命保険会社で内勤をしているTさん(仮名・50代前半・男性・中高生のお子さんが二人)も、半年のあいだ事業名と価格を一人で練り続け、何も決められずにいました。転機は、勉強会で「決める前に聞く」という順番を知り、保険や家計のことをよく相談されてきた知人3人に、仮の一文を見せたことです。返ってきたのは「名前より、何をどこまでやってくれるのかが知りたい」という、Tさん一人では思いつかなかった声でした。
Tさんはその声どおりにメニューを直し、声をかけた知人の一人が最初のモニターになりました。今は会社員を続けながら、家計の見直し相談で月6万円ほどの収入が続いています。

あなたのノートにある事業名は、まだ誰の目にも触れていないのではないでしょうか。決まらないのは考える力が足りないからではなく、考える相手が、まだあなた一人だけだからです。今週末、その考える輪に、信頼できる知人を3人だけ加えてみてください。
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